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安全第一異世界生活  作者: 笑田
”乙女ゲーム”の崩壊した国

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306/325

305話 湖の浄化はみんなでやれば…あら不思議

◆(猫田視点)


街の救出作業に駆り出されクレイたんと別行動の吾輩は、救出を終え湖で合流するため馬車に乗ってやって来ていた。

遠くで声がした。


「あれ…なんか声がする」


「あん?」


ミハイルがそう言うと、グレードも眉間に皺を寄せながら耳を澄ます。

少年二人も気づいたのか耳を澄ませて声を拾うように。


”きら … … きら~”


”みず ~も~れ~”


『歌?』


「歌ですか?」


『そうだな 童謡だな』


「湖で誰かピクニックでもしてんのか?」


今日はクレイたんやミホと山田たちがこっちに来てるけど…

嬢ちゃん達がなにかして遊んでいるのか…


『吾輩気になるから先に行く』


「あ!猫田さん」


「なんだ?妖精行っちまったのか?」


「歌が気になるみたい」


クレイたんは湖にいい思い出なんかない

ずっと一人で湖の浄化をさせられていたんだ


もしかして落ち込んだクレイたんの為にミホたちが歌でも歌ってくれてるのか?

吾輩は嫌な胸騒ぎがして飛んで湖に向かった。

——嫌な予感ほど、当たるものだ。



―――そして見たのは、歌いながら水を光らせる少女達の姿だった。



―――――


◆(カナメ視点)


広い湖の周りを、ウハハと一緒にトテトテと歩く。湖の中ではカイナール様や、妖精さん達がなぜかわらわらとついてくる。


何の行列?


まぁ妖精さんが、とても楽しそうだから良いんだけど――


岸から湖の中に在る、魔力を注いで浄化させる魔道具を見て首をひねる。


「ねー、カイナール様

あの魔力を浄化に変換する魔石…変換効率悪くありませんか?」


私の質問を聞いてカイナール様は困った顔をする。


「悪いかのぉ?どの魔力にも対応するようにしたから、どうしても悪くはなるのだが」


「これは1つしか設置できないんですか?」


「いや…出来るが、そんなにいくつも設置するのは難しいのぉーーー」


難しいのか…

他の方法…

私はミホと話し込んでいるクレイ嬢に疑問をぶつけてみた。


「クレイ嬢はどうやってこの広いところを浄化してたんですか?」


「え…そうですね…私はただ、祈ってました」


「祈り…祝詞を教えてください」


「文言ですか。祝詞は日々変わってましたけど…」


顔を空に向けクレイ嬢は思い出すように言葉を紡ぐ。


「え———と、

”水を司る精霊たち その尊き御身で

我が国、我が地、我が民に 祝福を

私の祈りを糧にお恵み下さい”

だいたいこんな感じでした」


あんまり浄化っぽくない文言が多いな…


「浄化のイメージがあって初めて出来ること…と言う事かな?」


ブツブツと呟きながら、今度はミホの意見を聞く


「ミホも浄化したんですよね。その時は魔力でした?祈りでした?」


「呪文と魔力と———イメージ?綺麗に掃除する感じで」


「イメージですか…」


「アタシ今回は側溝のどぶさらいしてるイメージで魔力込めたんだー」


「魔法と考え方は一緒ですね…。フム」


「では…歌で浄化するのはどうでしょう?」


「「歌?」」


「そう。歌です。

歌詞に意味を持たせ、イメージがわくように。

言葉を祈りの様な文言に

そして誰もが口ずさめる曲に」


「童謡だと子供でも歌えます」


「替え歌?」


クレイ嬢は戸惑いながら、


「難しいんじゃないですか?」


その不安げな言葉を聞いて、ニコリと私はクレイ嬢に笑いかける。

ミホもクレイ嬢にハートを両手で作って笑って、


「大丈夫ーー。日本人はなんでも魔改造するのが得意な人種ですから」


「魔改造?そのポーズなあに?」


「え?異世界ハート伝わらないの?残念――」


「フフフ。ミホも山田さんも、きっと猫くんも得意な部類ですよ。

替え歌。日本人だもの」


「にほんじん…ですか?」


「合いの手も得意ですよ。タンバリン欲しいです」


「山田カラオケで大活躍だったもんね。フフフ」

「童謡か~

キラキラひかる~とか?」


「どんぐりコロコロどんぶりこ~」


「かえるの歌が―きこえてくるよー」


くすくすと私たちは笑いあう。


「ふーん。―――ならこれならいいんじゃないかな?」


「「え?」」


「題名はそうだな―「みずのいのり」って所で」



”みずの いのりが

きこえて くるよ


さら さら さら さら

きら きら きら きら


みずよ もどれ”



ミホが楽しそうに歌う。

歌を聞いた私もクレイ嬢も拍手をしながら


「かえるの歌だね~良い選曲」


「意味は伝わります」


ミホは嬉しそうに同意する。


「でしょ」


「みんなで歌ってみようか!」


私も嬉しくなって、口ずさみ始める。


「みずの~ いのりが~」


ミホが続きをテンポよく続けてくれる。


「きこえて~ くるよ~」


3人で声をそろえ、区切りながら


「「「さら、さら、さら、さら」」」


少し声を高く、テンポを上げて


「「「きら、きら、きら、きら」」」


魔力を込め清い水のイメージを最大限に思い浮かべ


「「「みずよもどれ」」」


3人の声が重なりシュワリと魔力が弾ける。

蛍火のように揺蕩う光が背中を押してくれる。


綺麗だ。思わず、息を忘れるほどに。


「じゃあ次アタシから!

みずの いのりが―――――」


「きこえて~ くるよ~」


「さら さら さら さら」


「きら きら きら きら」


「みず~ もどれ~」


また水面がシュワリと煌めく。


「これ楽しいです」


「みんなでやればもっと楽しいと思うよ」


「じゃあお兄ちゃんやグレード君、イリーナちゃんも一緒に歌ってもらおう」


「良いねー良いねー」


「みずの中だったらもっと効果あるかな?」


「よしやってみよう」


皆で湖に入って私たちは3人手を繋ぎ丸い円を作り、皆で目くばせをして声を出す


「「「みずの いのりが~ きこえて~ くるよ~」」」


魔力を声に込め、そして湖を、綺麗に掃除するイメージで


「「「さら、 さら、 さら、さら」」」


「「「きら きら きら きら」」」


私達三人の魔力が淡くそして強く広がりはじめ

シュワリ、と水面が揺れた。

——まるで、湖が息を吹き返したみたいに。


「「「みずよ~ もどれ~」」」


歌い終わった時、浄化の光が湖全体を包み込み、やがて静かに消えていった。


「お!今の良いんではない?」


「わ、わたしもう一回歌いたいです」


「いいね~。じゃあ3回くらい続けて歌う?輪唱しても良いけど」


「わ、私こんな祈り方知らなかった。これ楽しいです。嬉しい。

一人じゃないのも嬉しいです」


笑う彼女の瞳には、きらきらと涙の膜が揺れていた。

浄化の光を受けてやさしく輝き、

その笑顔を、いっそう嬉しそうに見せていた。


この後数日間、子供達や、魔力がある人達と一緒に

歌う浄化を実施して5日ほどで湖の浄化が完了した。


そして―――


何気なく作った私たちの歌が、

この国に広がり、国民に愛され、

そして他国の浄化の儀式で、神聖な祝詞として使われていくことを――

この時の私たちは、まだ知らなかった。

読んで頂きありがとうございます(❁´ω`❁)

イイネ♥をぽちっとしていただくと私のモチベが上がるのでよかったらお願いします✿

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