第四章 冒険者になる
冒険者に僕もなりたいとこの頃も思うので、小説で叶えてます。自己願望ですいません。
「――というわけで、冒険者になろうと思う」
朝食の席でそう切り出した俺に対して、アリシアは持っていたポットを危うく落としかけた。向かいの席で優雅にパンを頬張っていたズィルガードだけが、まったく動じずに「ほう」と呟いた。
「れ、レイン様、今なんと」
「冒険者になろうと思う、って言った」
「王子様が、ですか。冒険者に」
「継承権もないし、堅苦しい貴族の付き合いも向いてない。だったら、自分の力でできることをやってみたいんだよ」
実際のところ、理由はもう一つあった。この十二年間、王城の中だけで完結する生活を送ってきて、正直そろそろ限界を感じていたのだ。前世で言うところの「実家暮らしの箱入り息子」状態である。魔族と戦えるだけの力もついた今、外の世界を見てみたいという気持ちが強くなっていた。
「陛下がお許しになるとは思えません」
「そこはズィルガードと交渉してもらう」
「なぜ私に振る」
ズィルガードはパンを咀嚼しながら、面倒くさそうに眉を上げた。
「竜が後ろ盾についてるって言えば、陛下も安心するだろ。それに、お前も暇なんだろ?」
「否定はしない」
「食えるやつめ」
実際、その日の午後に父上――国王陛下への謁見が叶った。玉座の間で頭を下げる俺の隣には、なぜか神妙な顔をしたズィルガードが控えている。
「レインよ、冒険者になりたいと申すか」
「はい、父上。継承権のない身ではありますが、王国のために何か力になりたいと思っております。魔族の脅威も増している折、冒険者として経験を積み、いざという時に国の役に立てればと」
我ながら綺麗事を並べたと思うが、半分は本音だった。父上はしばらく黙考した後、隣に控える宰相と何やら言葉を交わし、最後にこちらへ視線を戻した。
「よかろう。ただし条件がある。護衛として、腕の立つ者を一人つけよ」
「では、僭越ながら」
声を上げたのはズィルガードだった。人の姿のまま、恭しく礼をする。
「私、ズィルガードがレイン殿下の護衛を務めましょう」
その場にいた騎士や大臣たちがざわめいた。ズィルガードが竜であることは、あの魔族騒動以来、城の上層部にはある程度知れ渡っている。
「竜が、王子の護衛に……」
「これほど心強いことはあるまい」
父上も満足げに頷いた。
「うむ、よかろう。レイン、励むがよい。ただし、無茶な依頼だけは受けぬように」
「肝に銘じます」
こうして俺は、正式に冒険者としての活動許可を得ることになった。
よろしくお願いします




