第一章 第九王子に生まれる
英語から翻訳機能つかったので、あらすじの日本語訳がおかしかったらまた教えてください。
気がつけば、俺は赤ん坊になっていた。
いや、なっていた、というのもおかしな話で、正確には「生まれた」のだ。視界はぼやけているし、手足は思い通りに動かないし、腹は減るし、とにかく不便極まりない。だが、頭の中身――前世の記憶と人格だけは、はっきりと残っていた。
俺の名前は、レイン・ヴァル・アルスディア。
アルスディア王国という国の、第九王子として生を受けたらしい。父上――国王陛下は、正妃と側妃合わせて五人の妃を持ち、俺を含めて九人の王子と六人の王女をもうけていた。子だくさんにもほどがある。
母は側妃の一人で、ミレイユという名の、物静かで優しい人だった。第九王子という立場は、王位継承の序列でいえば限りなく末席に近く、そのぶん政治的なしがらみも薄い。女神様の言った通り、争いに巻き込まれにくい立場のようだった。
「レイン様、お目覚めですか」
俺の世話係として付いてくれたのは、まだ十代半ばに見える若いメイドだった。名をアリシアという。栗色の髪を後ろで束ね、いつも折り目正しいメイド服を着ている。
赤ん坊の頃から俺の面倒を見てくれていた彼女は、俺が言葉を話し始めた三歳の頃には、すでに家族のような存在になっていた。
「ありしゃ、おなかすいた」
「はい、すぐにご用意いたしますね」
舌足らずな喋り方をしながらも、頭の中身は元・高校生である。この状態でメイドさんに世話をされるというのは、なかなかに精神が試される日々だった。
王城での暮らしは、想像していたよりもずっと自由だった。第九王子ともなると、王族としての教育こそ最低限は施されるものの、跡継ぎ候補である上の兄たちほど厳しく管理されることはない。
剣術の稽古、簡単な礼儀作法、そして読み書き。俺はそれらを人並みにこなしながらも、心の中ではずっと、女神様に言われた「異能」のことを気にしていた。
(いつになったら、魔法とか使えるようになるんだろうな)
この世界には確かに魔法が存在した。城に仕える魔導士たちは、水を出したり、灯りを点けたり、時には炎の玉を飛ばしたりする。兄弟姉妹の中にも、幼い頃から魔力の片鱗を見せる者が何人もいた。
だが俺には、その気配すらなかった。
「レイン様は、魔力が少し人より遅れているだけかと。焦らずとも、いずれ発現なさいますよ」
アリシアはそう言って励ましてくれたが、七歳になっても、十歳になっても、俺の魔力は一向に目覚める気配がなかった。
周囲からは「魔法の使えない王子」「第九王子は落ちこぼれだ」などと陰口を叩かれることもあったが、正直、俺自身はあまり気にしていなかった。
(別に王位を継ぐわけじゃないし、のんびり生きられればそれでいいんだよな)
女神様の予言通り、継承権のない立場は、俺にとって都合が良かった。周りが跡目争いにピリピリする中、俺だけはマイペースに、剣の稽古をしたり、城の図書室で本を読み漁ったり、たまにアリシアと城下町にこっそり抜け出したりして過ごしていた。
「レイン様、またこっそり城下に出ようとしていますね」
「ばれた?」
「バレバレです。今日は何をするおつもりですか」
「屋台の串焼きが食べたい」
「陛下に見つかったら、私が叱られるんですよ」
そう言いながらも、アリシアは結局いつも付き合ってくれた。彼女は俺より三つ年上で、物腰は丁寧だが、たまに呆れたようなため息をつく。その距離感が、俺にとってはとても心地よかった。
こうして俺は、王子という肩書きを持ちながらも、驚くほど平凡で、のんびりとした少年時代を送っていた。
――このときはまだ、自分の身に何が起こるか、想像もしていなかった。
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