第十四章 疑惑の切り出し方
頑張ります
「――ヴィレム兄上を、疑う?」
書庫での一件から数日後。俺はズィルガードと二人、城の中庭の隅で密談していた。
「疑うというより、確認する、と言った方が正確だな」
ズィルガードは静かに言葉を選んだ。
「レティシア王女の指摘には、一理ある。組織的な陰謀があるとすれば、感情的な隙のある者は、外部から付け込まれやすい。ヴィレム殿下は、お前に対して明確な反感を抱いている」
「でも、反感を持ってるからって、それだけで裏切り者扱いするのは違うだろ」
「その通りだ。だからこそ、確認が必要なのだ」
ズィルガードは俺の目をまっすぐに見た。
「決めつけでヴィレム殿下を糾弾するのではなく、事実を確かめる。それが、お前にとっても、彼にとっても、公正なやり方だと思わないか」
「……それは、そうだな」
俺は少し考えてから頷いた。感情に任せて疑いをぶつけるのは簡単だが、それでは何の解決にもならない。もし本当にヴィレム兄上が無関係なら、それは確かめてはっきりさせるべきだし、もし何か問題があるなら、それも早めに気づいてあげるべきだ。
「どうやって確かめる?」
「まずは、彼の周辺を静かに観察することだ。ヴィレム殿下自身というより、彼に近しい者たち――側近や、出入りの商人などにな」
「側近か……」
俺はヴィレム兄上について、あまり詳しく知らないことに気づいた。継承権のある兄弟の中でも、彼は特に閉鎖的な派閥を築いており、俺のような立場の者とは、普段ほとんど接点がない。
「フィオナ姉上に、また協力してもらうか」
「悪くない考えだ。彼女の社交界での立ち回りは侮れん」
その日の午後、俺は再びフィオナのもとを訪ね、事情を説明した。彼女は少し驚いた顔をしたが、すぐに真剣な表情になった。
「ヴィレム兄様の周辺を調べる、ね。……分かったわ。ただし、慎重にね。相手はプライドの高い人だから、下手に嗅ぎ回っているのがバレたら、面倒なことになるわ」
「わかってる。あくまで、事実を確かめるだけだ」
「私に任せて。社交界の噂話を装って、それとなく探りを入れてみるわ」
フィオナは、こういう時になると頼もしい笑みを見せる。俺は改めて、彼女という存在のありがたさを実感していた。
よろしくお願いします




