第九章 パーティ結成、のようなもの
頑張って投稿しようと思います
「―というわけで、パーティを組んでほしいんです!」
冒険者ギルドの片隅、依頼書の前で仁王立ちしたノエルが、勢いよく頭を下げてきた。周りにいた冒険者たちが何事かとこちらを見てくる。
「いや、声がでかい」
「あ、すみません……。でも、本気なんです」
ノエルと森で出会ってから、もう半月が経っていた。あの日以来、ギルドで顔を合わせるたびに世間話をするようになり、いつの間にか気の置けない知り合いになっていた。
「なんでまた急に」
「レインさんの戦い方、ずっと見てたんです。的確っていうか、無駄がないっていうか……。私、一人だとどうしても無茶な依頼に手を出しがちで、この前もギルドの人に叱られたばかりで」
「危なっかしいとは思ってた」
「うぐ……。とにかく! 誰かとパーティを組んだ方がいいって前から言われてて、それなら是非レインさんと、と思ったんです」
ノエルは短剣を主武器にした軽装の戦士で、身のこなしは俺より遥かに機敏だった。ただ、本人の言う通り、突っ込みすぎるきらいがある。互いの弱点を補い合えるという意味では、悪くない組み合わせかもしれない。
「俺は構わないけど――」
「本当ですか!」
「ただし、俺には保護者兼護衛がついてくる」
俺がそう言って視線をやると、少し離れた場所で酒場のメニューを物色していたズィルガードが、こちらに気づいて手を挙げた。
「呼んだか」
「あ、あの綺麗な人、レインさんの保護者だったんですね……。てっきり、恋人か何かかと」
「竜だぞ、あれ」
「え?」
「詳しくは追々説明する」
ノエルはしばらくぽかんとした顔をしていたが、やがて「まあ、レインさんならありえるか」と謎の納得の仕方をしていた。何を基準に納得したのか、少し気になるところである。
こうして、レイン・ノエル・ズィルガードの三人(一人と一匹?)による、にわかパーティが結成されることになった。
受付でパーティ登録の手続きを済ませると、受付嬢は微笑ましそうな顔でこちらを見た。
「あら、レインくんとノエルちゃんがパーティを組むのね。お似合いだと思うわ」
「そういうんじゃないですよ!」
ノエルが真っ赤になって否定する様子を見て、俺は思わず苦笑した。前世の記憶を持つ身としては、こういう反応は微笑ましいを通り越して少しむず痒い。
「さて、記念すべき初依頼だが」
ズィルガードが掲示板を指差した。
「今回は私も、少しだけ手伝ってやろう」
「前回は見学徹底だったのに、心変わりが早いな」
「ノエル嬢という新しい仲間がいる以上、多少の目配りは必要だろう。若い芽を摘みたくはないからな」
その言葉に、ノエルが誇らしげな、それでいて照れくさそうな顔をした。
中国の古事の登竜門?にある通り、黄河の急流にある竜門を鯉が登り切ると龍になる、という伝説から、竜は水と相性いいのかなと思う僕だった。




