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黒髪のエーデル 〜国王の親友だった俺が王国の反逆者になった理由〜  作者: ロナルド愛
言い訳

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2/4

その2

さて――


まず自己紹介がてら色々と言っておかなきゃならないことはあるんだけど――


結局のところ俺が現代日本からの転生者か、それとも転移者か……そんな事は俺の第二の人生にとってはどうでも良い話なのだ。


だって……俺に前世の記憶が有ろうが無かろうが、そんな事はこの物語には一切関わって来ないんだから。


例えば前世の俺が……


高校生だったとか、社会人だったとか。


陽キャだったとか、陰キャだったとか。


横断歩道でトラックに轢かれたとか、自ら快速列車に飛び込んだとか……


そんな過去の俺の人生や性格が今さらどうでも良くなるくらいの時間を、俺はこの……いわゆる異世界と呼ばれる場所で過ごしてしまったのだ。



それにさ――。


もし今、君の目の前に突然……我こそは第六天魔王織田信長である!だとか、M(エム)ナンチャラ星雲からやって来たナンタラ星人だ!とか――


そんな馬鹿げた事を大真面目に信じ込んでいる奴がいたらどう思う?


当然イタい奴だって思うし、そんなの単なる思い込みだろって……当の本人の俺ですらそう思うよ。


だから、忘れてくれて構わない。


そんな設定なんかどうせすぐに、どうでも良いものになっちゃうんだから。



 

とまぁ、蘊蓄を並べ立ててはみたけれど。


転生者と思しき俺(主人公)は、女神にも出会うこと無く、チートも授かることも無くこの世界を渡り歩いて行く理由(わけ)で、結局のところ今まで俺が語ってきたことは単なる恨み節に他ならない。




さて、前置きが長くなったが――


ここは現代日本から遠く離れた次元すらも異なる世界。


いわゆる異世界と呼ばれる場所が――

そんな不思議なこの世界の姿が――


実は地球の如く丸くてボールの様な球体をしているのか?とか……それとも何処ぞの神話に出てくる世界の様に、天動説よろしく丸いお盆に載せられた平たい大地であるのか?とか……。


まぁ、そんな小難しい事は今の俺にはどうでもいい話であり、それはこれからこの世界を作って行く、こちらの世界の賢い人間が考えれば良いことである。


それを転生者の俺が、偉そうに前世の知識をひけらかし、さもしたり顔でとやかく言うのは、なんか違うだろ?


俺だってそれくらいの分別はわきまえているつもりだ。


でも――


それでもやはり……。


俺の個人的な感想を言わせてもらえるならば――この世界はほぼ全くと言っても良いぐらいに地球と似た世界だった。


朝には東からお天道様が昇り、そのお天道様が夕方には西の彼方へと沈んで行く。そして夜に空を見上げれば頭上には幾千もの星が輝き、おまけにひと月ごとに満ち欠けを繰り返す月まで存在する。


いや、似ているどころではない。それは動植物の生態や人々の暮らしに至るまで、まるで地球そのものだ……。


ていうか、本当は、地球なんじゃないか?そんな疑問まで涌いてくる始末。


ただし……。


それは今の俺が知りうる限りの情報をまとめた結果の単なる推測なわけで……もしそこに一つでもイレギュラーな情報が加わったとしたら――



つい先日のことだ。俺はふとしたことで自らを魔法使いと名乗る老人と知り合った。


とは言っても、その老人は本当にしょうもない魔法を一つ使えるだけのチンケな魔法使いである。


『道を歩く人間を転ばすことが出来る魔法』


たったそれだけ。目の前で誰かが転ぶだけ……。


けれどもそれは疑う余地など全く無い、誰がなんと言おうが確かに魔法だった。


つまり……自分が知っているつもりになっていたこの世界も、たった一つのくだらない出来事でまるっきり別の世界になってしまう。


おそらく、ここが元の世界であったなら。俺が良く知っている地球と言う場所だったなら――


そのくだらない魔法とやらもインチキくさいペテン師の手品とたかをくくる事が出来たろう。しかし、こちらの世界で俺はそれを魔法だと自然に理解できてしまった……。


そう。


だからこそこの世界はやはり、俺にとってどう仕様もないぐらいに異世界なのだ。




そして――俺には全く馴染みの無いこちらの世界地図に描かれた一つの大陸。その極東にエーデルと呼ばれる新興国家があった。


今俺は、そのエーデルというまだ産声を上げたばかりの国の騎士団長の息子として第二の人生を歩んでいる――


だがしかし……。


そんな恵まれた環境も俺にとってはある意味針の(むしろ)でしか無かった。だって俺は、騎士団長である父親に完全に疎まれているのだから――



なんで疎まれているかって?


ちょっと話が長くなっちゃうけど、その理由を説明するには――


まず俺の生まれる前の出来事……およそ10年ほど前まで時間を遡らなければならないんだ。


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