316話 EPO配信!_しーちゃんの恩返し
シカエリアはやはり私の『剣豪』ボウガン+移動床トレインが無双。
これはもう強いなんてものじゃない。
無事にレベルアップし、私はついに念願のG・城壁を取得した。
<罠術8:城壁>
P・城壁 G・城壁
耐久 150 200
デバフ1 突進無効 突進無効+
デバフ2 攻撃不発 ダメージ反射
一度葉ちゃんに出してもらってその効果はお墨付き。
攻撃不発手段はたくさん持ってるけど、ダメージ反射と突進無効は大きなアドバンテージを得たよね。
ダメージ反射よりも突進無効が大きい。
特にシカ以降は突進持ちの害獣が多く、せっかく設置したトラップを破壊されてしまうからだ。
概要欄を見るに、これ意外に突進無効は存在しない。
耐久も高いし、いいことずくめだ。
「ようやくあたしも罠をビュンビュン動かせるようになったぞー」
お姉ちゃんはレベル6に。移動床を覚えていた。
移動床はテクニカルな技術なとこあるから、覚えても使えるかどうかは本人の資質によるんだよね。
果たしてうまく使えるかな?
「クハハハ、もうハヤっちに抜け駆けさせないもんね、レベルアーップ! あたしはボウガンを覚えた!」
「いや、抜け駆けしてるのはミルちゃんじゃん。私もレベルアップしたし」
「なぬー?」
リノちゃんとミルちゃんはレベル7になっていた。
移動床+ボウガンの担い手が増えたのである。
罠術は与えるダメージが低いからか、取得経験値が他の武器に比べて高い気がする。
ハンターがなかったら泥試合確定だったので、ハンター様々だ。
「しーさんはいかがです?」
「まだ深い眠りに入ってるよ」
「起きたら教えてくださいましね。こちらも準備を整えておりますので」
「オッケー。なんなら戦闘中に起きるかもだし、その時は城壁の出番だね」
「城壁でしーさんを囲うのですわね?」
「そうそう」
:しーちゃんを囲うために城壁使うんだ
:収穫物は?
「囲わずとも弾いて見せますわ。わたくしのG城壁で」
:そういえば葉ちゃんも城壁使いだった
:なお、水路も栄養剤もP全振りである
:水路のPってポイズンやんけ
「流石に水路はEを取っておりますわ。C栄養剤を大量生産しませんといけませんから」
:ならそれ使って収穫物量産すれば良いのでは?
:水路は城壁張ってないと使えんのよ
:そうか
:ちなみに栄養剤は水路張ってないと使えないぞ
:そんなトリックが!
:8以降がセットなんだよな
:防御に特化したトラップなんだよ
:そこから攻撃に転じる仕掛けもある
:籠城戦を選ぶか、誘い込んでもろとも毒殺、爆破を選ぶか
:これ、後々の戦争につながるトラップなのか
:そうだよ
:ステージ5~対象が人間になるしな
:川に毒流すのは人の心案件やな
:害獣にもしちゃダメだろ
:肉を食う場合は使えんよな
そんなこんなでエリアをイノシシに変更。
そこでしーちゃんがぐずり出す。
早い!
あんなにお腹いっぱいにさせたのに、シカエリアだけしか持たないなんて!
「まずい、しーちゃん起き出すかも」
「先に一匹仕留めますわよ。お肉をお願いします、お二人とも」
「あたしが足止めするね、とどめはお願いリノっち」
「任された」
「あたしにも任せていいよ?」
「ミルちゃんはトキちゃんの援護」
「あいあいさー」
頼りにならない返事で、私はしーちゃんをおんぶしながらG城壁を展開する。
「ししー」
「あ、しーちゃん起きた?」
「しー」
いつもの寝起きとは違う感じだ。
特にお腹空いてるとかじゃなく、何か手伝えそうなことはあるかと聞いているように見える。
「お目覚めになられましたか」
「うん、けどお腹空いてるふうでもないんだよね」
「それは一体どのような状況でしょう」
「|◉〻◉)ページが輝いてますよ」
レイちゃんに言われて、確かに魔導書のページが輝いているのを確認する。
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◇バグ=シャース 召喚・送還 :親密度3
満腹状態の時に限り、攻撃を一回行う。
満腹度25%消費【威嚇】周囲に恐慌状態を散布。
満腹度50%消費【透明化】味方を敵から見えなくする。
満腹度75%消費【大喰らい】周囲一帯を食べ散らかす。
攻撃後、送還される。
召喚時の満腹度は送還時の満腹度を引き継ぐ。
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「何かわかりまして?」
「しーちゃんがお腹いっぱいになったから、一度だけお手伝いしてくれるっぽい」
「そうなのですか。ちなみに攻撃手段は?」
「周囲に威嚇、自分たちを透明化、あとは周囲一帯を食い散らかすだね」
「どれか一つだけですの?」
「うん、一回攻撃したら帰っちゃうって」
「しーちゃんの食べちらかすって嫌な予感しかしないんだけど」
ミルちゃんがゾッとしながら呟く。
そうだね、君の思っている通りだと思うよ。
バグ=シャースという存在を知っているのはこの中じゃ私か葉ちゃんかミルちゃんくらいだ。
「食べ散らかしは無しですわね」
葉ちゃんは考えるまでもない、と言い切った。
「そうだね、使う技によっては満腹度が消費されて、もう一回呼ぶ時に帰った時の満腹度が引き継がれるらしいよ」
「帰っちゃってももう一回呼べるんだ?」
「呼べるらしいねー」
またバトル中に食事を展開しなきゃだけど。
でも、なんだかんだ楽しくはあったよね。
「今は特に必要ありませんわね。しーさんは状態的に持ちそうですの?」
「しーちゃん、まだお腹すかない?」
「しー!」
元気いっぱいな返事をいただく。
お腹は空いてないみたいだ。
でも動きたくないのか、私の背中で体温を高めていた。
赤ん坊みたいだ。
「まずは保留! しーちゃん、イノシシのお肉を解体する場所見ててね。お腹空いた時のおやつの確保をしているんだよ」
「しー!」
さっさとイノシシを始末して、クマへ挑む。
レベル次第ではバッファロー戦も考えておく。
もしそこでしーちゃん活躍の機会があれば使うのもありだし。
イノシシ戦は割と手間取ったけど『剣豪』の威力上昇もあってそこまで時間はかからなかった。
『農家』が二人揃っているのもおかわりを促すのに役立った。
私はレベルが9になり、水路を取得。
<罠術9:水路>
E・水路 P水路
配置 城壁後方 城壁前方
威力 ー 5%
バフ 収穫促進 ー
デバフ1 獣系移動阻害 獣系移動阻害
デバフ2 ー 猛毒+
これはもうわかりやすいくらいに攻撃型か防御型かに分かれた。川に毒を流すってなに?
調理人としては絶対に許せないトラップだよ。
「私はE水路をゲットしたよ」
「農家ならばそこに辿り着きますわよね」
「だね」
何せ収穫物の高効率化だ。
葉ちゃんもこれを取ったという。
木工職人的にも、川に毒を流すのは躊躇したらしい。
そういえば葉ちゃん釣りもするって言ってたしね。
なおさら川に毒は流さないか。
「で、これって植え直しても収穫率上がるのかな?」
「そこは試していませんが」
「可能なら試してみるのもいいね」
だね、やるだけならタダだから。
「それはさておき、クマ行くよ、クマ」
「イノシシは枝肉でませんでしたか?」
「一個取れたよ」
「あたしはダメだったー」
「あたしはそもそも解体持ってないし」
ミルちゃんには聞いてないんだよなー。
:ここまで順調
:一時期しーちゃんの登場でわからなくなったが
:そもそも罠のスペシャリストなんだよ
:なんで罠だけでイノシシ倒してるんや
:罠無効だよね、こいつ
:ヒント、城壁は突進無効
:城壁の反射でダメージ与える罠術師あるある
:あれでイノシシくん鎮められるんか
:鎮められるのはイノシシくんまでや
:クマは?
:罠無効なんよ
:剣術で仕留めたハヤテちゃんて凄かったんやな
:壁で逃げ場なくしてたからな
:まさかのPクラッシュですよ
:ダメージ床の追加攻撃で討伐は熱い
そんなわけでクマエリアへ赴く。
「しーちゃん、お腹空いたら言ってね、すぐ準備するから」
「し!」
まだ食べさせてくれるの? と言わんばかりに大きく体を揺らした。
うんうん、元気でいいね。
「オラァ、移動床ボウガンだ!」
:クマくん、これを無慈悲にも前足で叩いたー
:弓無効なの忘れてる?
:それってボウガンにも適用されるのかよ
:されるっぽいな
:いや、確か威力30以下のダメージカットだったはず
「うそ、あたしのボウガン弱すぎ?」
「あたしのボウガンならどうだ!」
お姉ちゃんが『剣聖』を付与した多段型ボウガンで挑む。
ミス、ミス、ミス、ミス、ミス!
素手手がその体に突き刺さることはなく弾き返された。
「ぬあーーー!」
お姉ちゃんの剣聖は威力を減衰させてヒット数を稼ぐ技なので、当然ダメージが通らない。
「ならば、城壁ホーミングだよ!」
「G城壁セット」
「スラッシュ、からのーPシャドウ。P精神統一とWフラッシュを重ねがけしつつ、威力30。そこに剣聖効果でヒット+2だぁ!」
ミルちゃんが即座に城壁をセットし、お姉ちゃんがそれをスラッシュで切りつけた後にホーミングで飛ばした。
威力は30。
カットされる前提の攻撃だけど、3ヒットすることでダメージを加算。
しかし本命はダメージ反射の方にある。
「あたしもサポートするね。クマさんの周りにG城壁。それを移動床で囲いながら道を塞ぐね」
「ナイスリノっち。あたしたちのコンビネーションを喰らえ!」
逃げ場は前方のみ。
そこへミルちゃんのボウガントレインが突っ込んでいく。
「ハヤっちの真似っこトレインだ! カカシでヘイトを取りつつ、痺れ床と落とし穴で行動を抑制させてもらうよ。極めつけに城壁だぁ!」
完全に出口を見失った子グマは上空を見上げた。
飛来する城壁だったものは視界を覆うように子グマに向かって降り注ぐ。
威力30の3ヒットメテオは、そのまま子グマの耐久を削り切った。
要約すればリノちゃんの城壁で20削り、ミルちゃんのトラップトレインで10、最後にお姉ちゃんのヤケクソホーミングの3ヒットで残りの耐久を削り切ったのだ。
「おおっし! レベルアップ これであたしも城壁持ちだ」
「おめでとう、お姉ちゃん」
「ハヤテのやり方真似してるだけでだいぶあたしもトラップの適性上がってると思うよ」
「当初は適正0だったもんね」
「0は言い過ぎだよ」
頭使うから無理とか言ってたのは誰だったかな?
二匹目の子グマは城壁トレイン(収穫物+水路付き)で振り回してやった。
まさか水路が城壁に釣られて一緒に移動するとは思わなかったよね。
獣系移動阻害効果で子グマはその場に磔状態。
農家の収穫+2効果で収穫物を無駄に回収しながら、城壁の反射ダメージでハメ殺した。
私のレベルは上がらなかったけど、お姉ちゃんは8。
リノちゃんとミルちゃんが9に上がる。
最後に親熊。
これは私とお姉ちゃんのコンボで討伐。
耐久が100あっても『剣豪』の効果上乗せでダメージ貫通させたらモノの数ではなかった。
剣豪の強みと、牽制の強みを合わせた結果である。
「レベルアーップ! E栄養剤とったどー」
「あら、爆発はさせませんのね」
「しないよ、多分これは今後の収穫にも関わってくるやつだと思うし、調理師なら爆発させる意味合いは少ないって」
「それはそうですわね」
つい、ゲームの中の技だからと深くは考えてなかったみたいだ。
<罠術10:栄養剤>
E・栄養剤 C・栄養剤
設置 城壁後方 城壁後方
バフ1 収穫促進+ ー
バフ2 即時収穫 ー
デバフ1 ー 爆発付与
デバフ2 ー 連鎖爆発
見ての通り、バフとデバフで分かれた。
爆発って何?
しかも連鎖爆発?
「ハヤテさんは数を増やすのを取りましたか。わたくしは爆破を取りましたわ」
「即時収穫に惹かれて」
「根っこが調理師だと、どこまで行っても食材確保なのですわね?」
「みんなそうじゃない? 罠はダメージ反射が強すぎる傾向。毒使わざるを得ないほど頻拍する状況に追い込まれるって意味では強いかもだけど」
「わかります。とってから後悔しましたわ。もしこれがステージ5で必要になった場合は……」
「その時は頼りにするよ。使わないことを祈るしかないけどね」




