306話 夜ゲーム部_4【AWO】
まずは協力者を巻き込むため、連絡網で情報伝達。
私達はAWOに一時的にログインすることにした。
「ハヤちゃん、きたよ」
「リノちゃんさっきぶりー」
リノちゃんは参加しなくてもいいよって伝えたけど、仲間外れは嫌だということで参加した。
そんなつもりはないんだけどね。
「お招きいただきありがとうございますわ」
「葉ちゃんもヤッホー。紅ちゃんは?」
「たまにはお友達と楽しんでこいと追い出されましたわ」
紅ちゃんとしては自分と遊ぶより私たちと遊ばせたかったようだ。前回の教訓を活かしてかな?
「モミジ、嫌われてるんじゃないの?」
「そんなわけありませんわ」
すごい自信だ。
そしてもう二人ほど、私たちの前に現れる。
「昼間はすまなかったの。おかげでステージ4まではクリアできたぞ」
「ディノちゃん久しぶりー」
「うむ」
「ていうか、ステージ4クリアって早くない?」
「主にリノ殿のおかげでもあるがな」
「つまり?」
「ハンターのおかげで素早くクリアまで漕ぎ着けた。皆が欲しがるわけである」
ディノちゃんはしっかり私たちの恩恵に預かってたみたいだ。
で、もう一人。
「なんか私も参加していいのかなーって気分」
「こんばんは、アキルちゃん。配信始める前だから7日前ぶりかな?」
「もうそんななるっけ?」
「あれからタツ君とはどう?」
「あいつただの従兄弟だし。特にどうってことはないよ。でもおじいちゃんからさ、そろそろ合流したらどうだって」
「もりもりハンバーグさんから?」
「ブフォッ」
アキルちゃんのおじいちゃんの名前を聞いてリノちゃんが吹き出した。
面白い名前だからね、仕方ない。
「リノちゃんは初めましてだね。以前出会った時は傭兵モードだったし」
「うん、初めまして。この刀の鍔を作ってくれたって聞いたよ」
「そうそう。あれからどう? 使い勝手とか聞きたかったんだ。実際に振った時の重心とか、移動した時の不満点とかあったら教えて」
「あ、そこまでケアしてくれるんだ?」
「するする。鍛治師って自分の作ったものがどういう使われ方するのか気にしちゃう性分だし」
「わかるぞ。鍛治師とはそうあるものである」
「わっ、あなたも鍛治師なの?」
「アキルちゃんは初めてだったね。ディノちゃんはAWOでも有名な鍛治師のお嬢さんなんだ。WBOでは手癖で打った武器で最高品質叩き出したりとかすごい子だよ」
「弟子入りさせてください!」
アキルちゃんは即座にその場にしゃがみ込んだ。
そういえばWBOも少し遊んでたと言ってたっけ。
そこで錬成の壁にぶつかってAWOに舞い戻ってきたとか聞いたことがある。
「修行の道は厳しいぞ。それについて来れるか?」
「あんまり厳しいのはちょっと」
アキルちゃんは相変わらずマイペースだった。
「|◉〻◉)最後に僕ですね」
よっこいせ、と地面から生まれ出てきたのは着ぐるみモードのレイちゃんだ。
今回人型モードじゃないのはどうしてだろうか。
「|◉〻◉)ちょっと待ってくださいね。今回さらにお呼びしたい人がいまして。その人を呼び出すのに僕の人型リソース使い込んじゃって」
それは一体なんなのか。
身構えてる私たちの前に現れたのは。
「|◉〻◉)AWOの皆様初めまして。WBOの女神イグニスともうします」
もう一匹レイちゃんの親戚が現れたと思ったら、自分のことを女神と辞任し始めたではないか!
またゲーム世界を渡ってきたのか、この人。
そういえばデマを鵜呑みにして遊びにきたいって言ってたもんなぁ・
「イグニス様!?」
「え、WBOの神様だよね?」
「また厄介なものを呼び寄せたものよのぉ」
「どういうこと? このサハギンてそんなすごい人なの?」
「|⌒〻⌒)そうですよ。ただ、こちらではこの姿をお借りしています」
「女神様になんてことしてるのかな、レイちゃん」
「|◉〻◉)良かれと思って。あ、そうだ。ページめくってください、ページ」
レイちゃんが魔導書のページを捲るように急かしてくる。
言われた通りにページを取り出すと何やら書かれている。
<頁4:イグニスの加護>
EPOで貸し出した称号ジョブをAWOに輸入する。
『狩猟』今まで渡ってきたゲーム世界の能力を持ち込むことができる。
※能力が制限されています。全開放するのにページが足りません。
「あ、なんか増えてる」
「何が増えてたの?」
「なんかEPOでレイちゃんにかした称号ジョブがAWOで使えるとかなんとか」
「え、すごい。ていうか今って?」
「|◉〻◉)ハンターを所持してますので、WBO、EPOで所持したスキルを同時発動できます。ただですね、今はどちらかのゲームの能力しか持って来れない状態です」
やっぱりそうなんだ。
増えた項目は思わず二度見しちゃったよね。
イグニス様リソースを削ってまで引っ張ってきた理由はそこにあったのかって。
「え、すごくない?」
「何がどうなってそんなことに? AWOで別のゲームの能力が使えるとか」
「あ、アキルちゃんには説明がまだだったね。レイちゃん、彼女はプレイヤーじゃなくて幻影なんだ。AWOでいう幻影って飽きるちゃんのおじいちゃんのところのメディスちゃんと同じようなもので」
「あ、あの子! おじいちゃんにくっついてる。そういう感じか」
「うん、その幻影ってこのゲームのエンドコンテンツに誘う指名があってね。その幻想装備ってやつが片道チケットみたいな役割を担ってて」
「え?」
そうだよね、寝耳に水だよね?
渡した時はそんなものだって聞いてないもんね。
私たちも使いこなしてたら後出しで聞かされたんだけどね。
「ねぇ、そんなものを聞かされた後にもう一度手渡されるこちらのみになってくれません?」
「いやいや、これって超便利だから。なんなら今の状態で受け取るとWBOやEPOにも持ち込めるよ」
「それは魅力的だね」
「なんだかズルをしている気分ではあるな」
「でも、これがあればと何度か考えてしまうのは確かでしてよ」
みんなが覚悟を決めたようだ。
「それじゃ、レイちゃん。幻想装備を誕生させるよ」
「|◉〻◉)ノあいあい」
レイちゃんの許可をとり、発現。
手持ちのスキルパーツを増やす暇はない。
「私達はすでに腕と体を入手してる。だから三人には腕の他にもう一つの部位を持ってもらうつもり。提供できるのは体、足、背のどれかだね。全員分同じ部位でも良かったんだけど、どうせならそれぞれ異なる部位でも面白いかなって」
「スキルパーツというのを揃えれば部位を変えられるのだな?」
「そうだね。でも今日はWBOに予定あるから、集めるなら次の配信がいいな」
「そういうこと。腕はもらえるとして、皆様はどの部位をいただきます?」
「吾輩は足をもらおうか。我が侍道を極めるのに足は重要なパーツ。ハヤテ殿のようなトリッキーな動きを再現できるのならば、使いこなせるのは吾輩くらいであろうな」
うん、別にパーツ揃えば全員に行き渡るもんだけどね。
ディノちゃんが気に入ってるんならそれでいいよ。
「では私は体をいただきましょう。これでいつでもフォームチェンジを行えますわね。ずっと初期装備というのは私には似合いませんもの」
葉ちゃんはやっぱり地味な服装を身に纏うのはうんざりと言わんばかりだ。ドレスで剣術を振るうのもどうかと思うよ?
気持ちはわかるけど。
「では私は余り物の背中か。いや、物は考えようか。ハヤテちゃん、これって何にでもなるんだよね? 例えば収納袋みたいな」
「ストレージ以外に物を入れるの?」
「ああ、違くて。要は以前ハヤテちゃんがやったパッキングみたいに鉱脈そのものを安全に封入できないかなって」
「それってつまり?」
「マイホームみたいな鉱脈ポイントをゲットできるんならいいかなーって」
「あー、以前やったよね。幻想武器3っつ繋げて」
「あー、三つかぁ。後一つどうしよっかな」
「でも鉱脈塞ぐんならパッキングでも行けたし二つでも余裕じゃない?」
「その鉱脈というのに興味がある。吾輩も協力しよう」
「いいの?」
「一体どこで詰まっているのかも知りたいからの」
アキルちゃんとディノちゃんは意気投合してミスリル鉱山に乗り込んだ。
「じゃあ、幻想装備も渡したことだし私はこれで」
「ハヤテちゃん、また明日!」
「リノっちはもう寝ちゃう?」
「そうだね、もうちょっとしたら」
「じゃあちょっとクラスチャットで相談したいことあるから相談乗って」
「お、なんだろ?」
お姉ちゃんはリノちゃんとお話。
「葉ちゃんはどうする? お姉ちゃんところ行ってくる?」
「実は暇をしているんですのよね。もしよろしければハヤテさんのお手伝いでもいたしますわよ」
「お、じゃあ一緒に来る?」
私は葉ちゃんとWBOで会う約束をした。
「じゃあ、イグニス様。また明日」
「|◉〻◉)ノハイ、また明日」
「|◉〻◉)ノ行ってらっしゃい。僕はイグニスちゃんにちくわ大将軍を見せる約束してますので」
その神様、本当にいるんだ?
どこまでがデマかわからないレイちゃんの言動を頭から追い払いつつログアウトボタンを押した。




