302話 EPO配信!_酒場クエスト③
「はい、というわけでここからはリスナーの皆さんに協力していただきたいことがあります」
:お、なんやなんや?
:俺たちでできることならいいけどな
:食材調達以外にあるかな?
:神秘使わなくていいやつなら
「もちろん、神秘の心配はございませんよ。開拓しているジョブにも限りがございます。なので強要ではなく、可能であればという前提でのお話です」
:まぁそうなるな
:つまり、ハヤテちゃん達との共同作業になると?
「そう取ってもらっても構いません。作業内容は今から発表していくものの情報の取り扱い。実際にどれくらい交渉できるかも含めて『商人』のジョブを取得している方が望ましいです」
:まさかのジョブ指定
:いや、わからんでもない
:取得条件開示してくれてるから誰でもやりやすいのがいいね
:見返りは?
:おい、ファンサに見返りを求めるとか
「いい質問ですね。そして商人というものを分かってらっしゃる。当然タダで引き受けてくれという話ではありません。私は商人として美味い話を皆さんにご提示しております」
:ハヤテちゃん、すごく悪い顔してる
:こんな顔もできるんだな
:ハヤテちゃん、商人持ってたんだ
:フリマ便利だもんなー
「そうなんですよ。調理師とるついでに取得しちゃいましたよね。便利すぎるんですよ。神秘使えば世界線渡って欲しいものが手に入るし、取らない手はないかと。調理師に扱う素材ってステージごとに制限されちゃいますからねー……って、話が脱線しちゃいましたね。本題を発表します」
デデン、とブツをストレージから商品を取り出してリスナーさんに見せつける。
「はい、今日はですね。ステージ4という非文明社会に『焼肉のたれ』を実装するという大プロジェクトについてお話を聞いてもらいにきました」
:焼肉のたれ!?
:あの魔法の万能調味料を!?
:料理のりの字もない大昔に実装だって!?
:バカな、早すぎる!
:こんなのどんな料理レシピも霞んじゃうよぉ
「無論、実装するためにあらゆるものが足りておりません。まずは串打ちするための串。こちらは火の近くにおいても燃え尽きずしっかり残る大勢のものをご用意して欲しいのです。お近くに木工職人などはおりますか〜」
:はい!
:はいはい!
:いまーす。さっき取得したばっかだけど
「新入り大歓迎! そこで木材知識を使い、串打ち用の串を製作してくれた方に、なんと焼肉のタレをご提供しちゃいます! なんだったらタレに浸したお肉の提供もやってるので、どっちか選んでくださいねー」
:乗った!
:買った
:調理前提なら焼けてるのがいいな
:俺も出来立て食いたい
:ワイも
:おいどんも
:で、それのルートを絞って大量生産、運搬はもちろん商人だろ?
「気が早い、と言いたいところですけど理屈は合ってます。先に素材の見立て、生産体制が整ってからになりますけど『商人』の皆さんはどこと取引をするか目を光らせておいてくださいねー」
:よしきた
:まさか酒場クエスト用の仕事を発注してくれるとはな
:|ー〻◉)この海のレイの目をもってしても見通せなんだ
:もはや目を開けてなかっただけでは?
:その可能性は大いにありうる
:またこの人コメント欄に出没してら
:ハヤテちゃんのところ帰らなくてもいいんか?
「|◎〻◎)……」
:あれ、レイちゃんそこにいるな
:じゃぁここにいるのは誰だ?
:いや、レイちゃんさっっきからずっと動いてないぞ
「|◉〻◉)ハッ!」
「おかえりレイちゃん」
「|◉〻◉)ただいまです。ちょっと幽体離脱してました。コメント打ち込むのって大変なんですよ。魂が抜けるっていうんですか?」
:おい、止めさせろ
:生き急ぎRTAしてるんじゃねぇ
「レイちゃんは昔からダメって言っても止まらないから。無視してます」
「|◎〻◎)!」
:めちゃくちゃショックうけとる
:落ち着きがないので仕方なし
:謎の生態系だからな
:俺たちもツッコミ疲れたよ
:なんで別ゲーのNPCが当たり前の顔して存在してるのか
:コレガワカラナイ
「はい、レイちゃんが話を逸らしてから落ち着くのに3分を消費しました。私たちはお夕飯までに帰らなくてはいけないので、無駄に時間を使いたくはありません。次はパパッと進みますよ」
「|◉〻◉)え、これ僕が悪いんですか?」
「あなたはやりすぎたのですわ、レイさん」
「レイちゃんは空気読まないからねー」
「まぁ構って欲しい気持ちも分からなくもないけど。ハヤちゃんは一人でどっか行っちゃいそうな人だから」
議論してる暇はないので次々行っちゃおう。
お姉ちゃん達が構ってあげてるので今は勘弁ね。
「続きましては、ガラス職人さんなどはおりませんか?」
:そんなジョブあったか?
:陶器職人なら最近解放されたぞ
:お、ナイス
:成り手は?
:今仕事中。後で話流してみるわ
:昨日実装されたばっかで今日話持ち込むの難度高くない?
「大丈夫でーす。こういうのは数をこなさないと勘が働かないやつですので。それに期間ノルマは設けられてないのでどのタイミングで介入しても問題ないクエストだと思いますよ」
:そんな表記あったっけ?
:確かに納期の規定はないな
:じゃあ出来次第で平気そう?
「タレができても封入する瓶がないと渡せないので、それ次第なところはありますが、木工職人さんも試作に回す時間が要りますからね。長期的に見てもらって大丈夫です。それまではバナナの木で代用します」
:バナナの木は熱に弱くないか?
:すぐ燃えそう
「どうせ枯れるのでついでですよ。串が難しかったら金網でも鉄串でも全然オッケー!」
:また無理強い放り込んできたぞ
:金網だけあってもしょうがないだろ
:鉄串はかろうじて需要あるか?
:ワンチャン武器にもなるな
:俺嫌だよ、誰かの血で濡らした後に食材刺すの
:こうやって考えると現代焼肉って実現不可能なのでは?
:金属加工とかこの時代どうなの?
:剣がある時点である程度整ってるっぽいが
:武器に回ってる時点で日常の鉄は接収されてそう
:まず採掘の時点でごく少数なのでは?
:じゃあ鉱山問題もあるな
:採掘技術も低そう
:ダイナマイトとかはないだろうしな
:人力かぁ
:一旦この話やめない?
:だな、頭がおかしくなりそうだ
:鉄砲作るとかじゃない限り、そんなに数は必要ないだろ
:この時代はまだ戦争とかないからそこまで逼迫してないでしょ
:問題はステージ5ですよ
「なんと焼き台は『石工』がいればそれっぽいのができるんですねー。これは葉ちゃんが仕上げてくれた焼き台です。ここの窪みに串をおいて、手前でクルクル回します。ある程度脂が落ちたらタレに漬け込んで、再度焼く。香ばしく焼き上がったらお皿に盛り付けて販売、または食べてもらう感じで提供しようかと。私たちはこれを地域密着型にできるように住民に技術を売り渡して歴史に名前を刻むことを前提として動きたいと思います」
:また運営が雄叫びを上げるぞ
:勝手に歴史に登場するなってな
:過去改竄もいいところのレベルだろ
:AWOから過去改竄を輸入するな
:別ゲーになってるのほんま草
「では串の件は木工職人さんか、まだ登場してない鍛冶職人さんかですね。では引き続きまして〜本題に入ります。「焼肉のたれ」を煮込む寸同鍋、または石窯鍋。あるんだったら圧力釜なんかがあれば嬉しいですね」
:圧力は無理だろ
:鉄串で悩んでる時代にぶっこむ技術レベルじゃねー
:寸同も難しいか
:可能性があるなら石窯か
:これ石工は製造不可能?
「全くもって鍋を生成できる気がしませんわ。石を整えるのが役割とはいえ、割れるのが前提のところもあります。これらは陶器職人の仕事ではないでしょうか?」
:そっか、石の強度によっては漏れるし割れるのか
:まさに土から選んで練って焼き上げる陶器職人ならでは?
:こうなってくるとジョブの種類はどんどん増えそうだな
:今日のサブクエ回数余ってるからいっちょ取ってみるかな
:いよ、未来の陶器職人!
:情報って開示されてたっけ?
:されてるよ
:いっちょ掲示板回ってくるわ
:いってらー
「それでは未来の陶器職人さんに任せるとしましょう。お次は瓶に封入するためのお玉、または先が尖ったレードルなどの製造が可能な職人を探しております。分類的には鍛治になりそうですが、金物職人さんの方が仕事的には向きそうですね」
:そうか、ものができても移し替えるのにも道具が必要なのか
:ポンプとかないもんな
:その時代の技術力も大いに影響してくるか
:これはオーパーツで間違いない
:下手なレシピ考えるよりよっぽど大掛かりじゃん
:中身入りの寸同は重いもんな
:石釜も重いだろ
:ハヤテちゃんが持ち上げてる姿想像できない
:持ち上げられそう?
「無理ですねー、なので移し替えるものは必須です。そういう訳で代替アイテムを模索中です。それに、こうやってみんなでああでもない、こうでもないって模索しながらゴールに進むのって最高に楽しくないですか? 確かに時代にそぐわないかもしれない。けど、ここで肉を粗末にするのってすごく勿体無いなって。できるだけ手軽に美味しく食べていただきたいって理念で動こうと思ってます。ほとんどをリスナーさんに頼ってしまう形ですが、もしこれが形になるのなら関わってくれた人全員が得をするような報酬が出ると思います。名前を歴史に残すか、酒場を創設するときに名前が残るか。全貌は定かではありませんが、私たちはこのイベントに多くのプレイヤーが携わって欲しいなって思ってます」
:いいこと言った
:賞賛は関わったプレイヤーにも届くと?
:酒場なんて一人で全部揃えるの大変だからな
:料理レシピを俺らが
:それに関わる素材も俺ら
:調味だれなんていう脇役の功績だけハヤテちゃんで
:ほか全部俺らなのか
「もちろん、私は調理師として焼肉のたれを食材に合わせてグレードアップしていきますよ。でも目立つのは私じゃなくていい。このゲームで遊ぶプレイヤーが、楽しいと思えるイベントを提供できれば、私はそれで構わないと思っています。どうせ配信の形でしかこちらに参加できませんし。じゃあ、今ここで遊んでるプレイヤーが楽しめる企画が組めれば、最高じゃないか? だなんて思います」
:見ました? これが私の信者ですよ?
:|◉〻◉)マスターは僕が育てた
:イグニス様ウッキウキやん
:レイちゃんは何もやってなくない?
:ハヤテちゃんは昔から何かすごいことをする子だと思ってた
:それはやらかしという意味で?
:間違ってない
:ほんますごい子やで
:内容は全部丸投げでもか?
:商人的には美味しいイベントではある
:これをどう商機に繋げるか腕の見せ所だな
:最後ちょっと本音出したな
:配信でしかこっちに来ないあたりか
:元々メインゲーム別だからな
:でも顔出してくれるだけでにぎわい違うから
:そういえばハヤテちゃんたち公式の広告塔だったよな
:宣伝も兼ねてるのか
:あー
:打算的な?
「え、そうなんですか? 葉ちゃん、そうなの?」
「公式が勝手に言ってるだけですわ。姉様、そうですわよね?」
『ふふ、そうですね。活躍したプレイヤーの行動を記録するシステムが近日導入されるようです。公式のプロモーションに使われる頻度が高いのはEPOで最も活躍したプレイヤーとのことです。当然このイベントの企画者であるハヤテさんの行動記録は大きく取り上げられると思います』
なるほどねー。
:どういうこと?
:ハヤテちゃんたちには報告してないと
:公式が勝手に言ってるだけは草
:公式で取り上げるんならそうだろ
:そもそも実装前の情報喋っていいのか?
ハヤテP:ノーカットでお送りします
:パパさん!
:これもう編集するの面倒くさくなってるんじゃね?
:ありうる




