41 目覚め
ふっと目が覚めた。ここは……頭を動かせる範囲で動かしてみると我が家、マリアルモンテ・ヒダンの自室の天井であることが分かった。
ではやっぱりマリアルモンテの方が白昼夢ではなくて、むしろ先程までの方が夢……?
あれれ、どちらが現実か分からなくなってきた。
「いてて……」
原始的な方法だが、頬をつねってみたら痛かった。よし、マリアルモンテの方が現実で、ひまりの方が夢。
夢、というか前世の記憶なのだろうけれども。
「ああ……」
それにしても……私が今まで覚えていた前世の記憶というのは、あの時以前のものだけだったのね。突き落とされた時に記憶がなくなったから、死ぬ前の記憶がなかったのだろう。
「マリー! 目が覚めたのね!?」
「……お母、様。」
お母様が部屋に慌てながら入ってきた。素の自分を隠さないと。
しかしこの身に染み付いた習慣がここで役立ちました。ちゃんと無意識のうちに笑顔を浮かべられましたから。
「大丈夫!?」
「ご心配をおかけして申し訳ありません。」
私の言葉を聞いてお母様は涙を零されました。
私はゆっくり起き上がろうとしましたが、全身が痛かったです。階段から落ちたので体中色々ぶつけたのでしょう。
痛みを堪えながらも起き上がります。いてててて……
「マリーは何も悪くないじゃない! 謝ることはないわ!」
「そうだぞ! 調べさせたら、どうやらジュピター・クラインとか言う男爵令嬢がマリーを突き落としたらしいじゃないか! これは我が家から男爵家に抗議して然るべきだ!」
「お父様……」
お母様と共にお父様やお兄様、カリストも部屋にバタバタと入ってきたようで、この部屋に家族全員揃いました。そしてぷんすぷんすと怒りを露わにするお父様。
「マリー、心配することはないさ。後は私達に任せなさい。マリーを傷つけたこと、じっくりと後悔させてやるからね。」
「お兄様……いえ、そこまでなさらないでください。きっと私にも何か非があったのでしょう。」
あのお兄様のことです。手加減などしないのでしょう。笑顔でエグい報復をするに違いありません。そう考えるとサッと顔が青ざめました。
「姉さん……。加害者を庇う必要なんてないだろう? 大丈夫、兄さんの頭と僕の筋肉があれば大抵のことは解決出来るから。心配せずに体を休めてて。」
「カリスト……」
ああ、この子は筋肉馬鹿でしたわね。筋肉でどうこう出来る問題でしょうか。
心の中で溜息をつく。さて、この家族をどう宥めましょうか、と。あまり大ごとにしたくはありませんから。




