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笑顔の仮面は外れない〜陽光の私と月光の貴方〜  作者: 君影 ルナ


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40 豊永 ひまり(3)

※暗いの注意


※アルファポリスにて完結した『御話喫茶 テラー』という作品のネタバレがこの話にはありますが、もしそちらも気になるという方はテラーの方から読んでいただけるとネタバレが少ないかと思います。


※テラーを読んでいなくてもこちらで話が繋がるようには書きます。

 ハッと意識が戻った私ですが、どうやら私は歩道橋を一人で歩いているようでした。まあ、通学路でしたからね。


 そこまで考え、私ははたと気が付きました。あれ、ここは前世の(ひまり)の世界、日本ではないでしょうか? ここは……現実?


 手を握ってみたり開いてみたりするのですが、この感覚は現実のようで……


 しかし、それなら今までのマリアルモンテ・ヒダンの記憶の方がもしかして白昼夢だったというのでしょうか……?


 私の現実(リアル)はどちらなのでしょう。頭は混乱します。


「陽だまりさん?」

「え? ……あ、──さん!」


 その時、誰かに私の名前を呼ばれました。そして私の口は勝手に動きます。この人のこと、私は知らないのに。


「奇遇ですね。途中まで一緒に歩いてもいいですか?」

「もちろん。」


 知らないはずなのに、何故か私の口は勝手に動きます。はて、この中性的な方はどなたでしょう?


 私は見知らぬその人と二人並んでお喋りしながら歩き、後は歩道橋を下るだけ。そんな時、この方はニヤリと笑いました。


「──さん……?」


 何故見知らぬその方がそのような表情をするのか不思議で、私はポケラっとしてしまいました。



ドン、



 一瞬だけ殺気を感じたと思ったら、時すでに遅し。この方に背中を押されていました。



 ここは階段。押されればどうなるかなど、小さな子でも分かるでしょう。


 ガラガラと階段から落ち、そのまま意識を失ったようです。




 クラインさんに突き落とされた白昼夢を見ていたのは、この出来事のせいでしょうか。












 そこで場面は切り替わり、次に私は学校にいました。階段から落ちたのは事故と処理され、私は記憶を失ってしまっていました。


 桑さんと名乗る友達は、あんなことがあった後で陽だまりが心配だからと、どこに行くもずっと連れ添ってくれました。


 そんな日常が普通になってから幾ばくかして。桑さんは私をとある一室に連れて行きました。


 そこは誰かのお家らしい場所でした。勝手に入ってもいいのかと心配しましたが、桑さんが大丈夫だと言ったのでそれを信じることにしました。


 靴を脱ぎ、桑さんに引っ張られてリビングらしき場所にやってきました。ソファに座ってて、と言われたのでその通りに。そして桑さんはまた違う部屋に一人で入っていってしまいました。


 数秒で戻ってきた桑さんは、誰かを連れて出てきました。中性的なその方は知らない人であるはずなのに、ひまりの心臓はドクンドクンと嫌な音を立てます。


「ねえ陽だまり、この人は記憶をなくす前にお世話になっ……」

「あ……ああ……」


 桑さんの話がちっとも耳に入ってこなくなりました。頭が痛い、息が吸えない、心臓の音が煩い……


 笑顔のことなんて、この時頭には一ミリもありませんでした。




 走馬灯のように私は思い出してしまいました。桑さんに連れられて行ったあの場所のこと、そこで出会ったこの人に階段から突き落とされて……


「テラー、さん……!」


 ニヤリ、突き落とされたあの時と同じ笑みを浮かべたテラーさんは、その手に包丁を持っていました。


「ああ、思い出してしまいましたか……」

「え! 陽だまり思い出したの!?」

「ああ、ああ、あの人に……私は……突き落とされて……!」

「え……? テラーさんに……?」


 桑さんは一人だけ何が何だかとこの状況を理解していない様子でした。


「ああ、そこも思い出してしまったのですね。それなら仕方ありません、死んでもらいましょうか。」


 今日の天気は晴れですね。そんななんでもない話をするかのような口ぶりでテラーさんは話します。


 桑さんもこの異様な空気に気付いたらしいです。ガチガチと体を震えさせていました。


「ああ……あああ……!」


 私が最期目に映したのは、包丁の輝きと私の身から出た赤でした。

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