掌の上の斉天大聖
小説を書いてみようと思い立ったので、AI先生に助けられながら書いてみました。
ほぼほぼ初心者なので、色々とおかしかったりする所は生暖かい目で見ていただけると助かります。
感想や評価をいただければ励みになりますので、よろしくお願いします。
鋼鉄大蛇の鼻先が、近い。
金色の光はもう薄れ、坑道には魔気と砂埃だけが残る。陸の背中は岩に埋まり、右半身が熱い。動くたびに、折れる予感がある。
『おい小僧。答えは?』
霊体の悟空は、光の芯から一歩も退いていない。紅い眼が、陸ではなく大蛇の鱗を値踏みしている。
『奥へ逃げるか。死ぬか。俺様の弟子になるか。三択だ』
「……弟子になります」
声が掠れた。それでも、出た。
——ゼロのまま終わるのは、嫌だ。
『よし!』
悟空が笑った。嘲笑ではない。面白がっている笑いだ。銀翼のそれとは、熱量が違う。
『霊力0。上等だ。霊力で殴るだけの半人前どもを、”気”で追い越してみろ』
鋼鉄大蛇が、尾を上げた。次の一撃で終わりだと分かる軌道だ。
『掌を出せ』
「は……?」
『出せといったら出せ!』
陸は、坑道の泥で汚れた右手を前へ押し出した。
次の瞬間、人ほどの霊体が縮む。金色の毛並みが掌に収まり、肩に跳ね乗るサイズの——ちび猿になる。
『腹の奥だ。指先へ一本の糸。継ぎ目に通せ』
言いかけて、悟空は自分の額を指で叩いた。
『……すまん。細けえことは思い出せん。とにかく、今、起こしてやる』
腹の奥が熱いわけではない。むしろ冷たい。それでも、どこかが動く。
悟空の指が、陸の眉間を弾く。痛みではない。合図だ。
『倒せん。今のお前じゃな。だが、道は開ける』
尾が落ちる。
風圧が顔を打つ。
——川瀬は、向こうだ。
入口側の岩の隙間から、誰かの息が聞こえる。まだ生きている。
陸は折れた清掃用の鉄棒——台車の留め金だった欠片を拾い、腹から指へ、糸を通す。
糸が通った一瞬、身体が持つ。膝をついて、地面に食らいつくように踏ん張った。逃げない。逃げられない位置に、自分で残った。
何となく通った気がする。見た目に変化はない。
それでも、尖端が静かになった。
**キンッ——!**
鉄棒が、鱗の継ぎ目に刺さる。魔力に弾かれるはずの感触が、一瞬だけ薄い。
大蛇が首を振った。痛がっている、というより、不可解がっている。霊力のない攻撃なのに、鱗に弾かれず、継ぎ目へ僅かに食い込んだのだ。
『走れ!』
悟空が耳元で吠える。
陸は左脇へ転がった。巨体の外を、入口側へ。糸が切れる。背中が裂け、血が服に滲む。気はもう細い。手の震えだけが残る。
岩塊の隙間へ滑り込む。
「陸さん!?」
川瀬の顔が近い。泥だらけだ。陸は彼の腕を掴み、入口の方角へ押し出す。
「走れ。班長のとこまで——」
後ろで、大蛇が岩を砕く。追ってくる。だが通路は狭く、巨体が遅れる。
地上の明かりが、四角く見える。
陸は転がり出た。コンクリートの冷気が肺に入る。新宿の地下連絡路だ。警報が遠いところで鳴っている。
銀翼の姿はない。先に上がったらしい。
「陸……陸! 生きてるか!」
班長が駆け寄る。川瀬が陸の肩を支えている。周囲の清掃員が、遠巻きに息を殺す。
陸の肩の上で、ちび猿が欠伸をした。誰の目も、そちらへ向かない。声も、陸の頭蓋の内側だけだ。
『ふん。初歩の一点集中としては、まあ合格点だな』
「……みんなには見えていないのですか」
『見せねえときゃ見えねえ。便利だろ? 俺様は暇つぶしがしたいだけだ。人前に出る趣味はねえ』
班長が陸の傷を見て舌打ちする。
「病院だ。報告は後でいい。B級が中に残ってる。管理局とギルドが来るまで封鎖だ」
陸は頷いた。頷きながら、掌を開く。
さっきまで鉄棒を握っていた手に、まだ細い糸の感触が残っている。霊力を測れば、また0だろう。世間の目には、欠陥男のままだ。
——それでも、弾かれるはずの鱗に、刃を通した。
『明日から毎日修業だ。弟子が怠けるんじゃねえぞ』
悟空が陸の耳を引っ張る。痛くて、変に笑みがこぼれる。
「……ああ。受けて立ちますよ。師匠」
連絡路の先にある、階段で地上へ出る。
警報の向こうで、新宿の夜がざわついている。街灯と看板の光で、地上は明るい。足下——封鎖された坑道の奥では、まだ鋼鉄大蛇がいる。
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長編って設定が色々と大変ですね。。。
練習も兼ねているので、とりあえず12話くらいまでは書いてみようかと思います。
書き方などの勉強しながらなので大変ですが、それも楽しいですね。




