自他ともに認めるマザコン母子だが、取り違えで赤の他人だと発覚する件(中)
ラブラブ母子の真人と聡美。
しかし、出産時に取り違えで赤の他人だと発覚する。
今回の課題:AI特有の過剰な書き込みを抑える。
20ページを超えたので分割して投稿。
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小説本文
真人はビルを見上げる。
休日なら、当然、本来なら社長も出社しないだろう。
(話があるなら自宅か,さもなくば、高級飲食店の個室で面会するはず。それをわざわざ、この大きなビルに呼び出すとは、自分がどれほどの企業の社長かを見せるけるためか)
それを真人は看破した。
真人は
(さすが俺の実の父親。あの飲んだくれとは物が違う)
と思う。真人にしてみれば、
(まあ母さんに暴力をふっていたあの男の血を引いていないと分かっただけでも、収穫か)
というところだ。
受付で訪問を告げると、さっそく社長室に通された。
広い部屋の奥に高級そうな机があり、高そうな椅子に、どこか真人と似ている中年男性が座っている。
男性は立ち上がり、扉の近寄ってくる。
「初めまして。金城隆志です」
と聡美に頭を下げ、改めて真人に向き直る。
「私が、君の血縁上の父親だ。それでも初めまして、になるのかな」
と微笑んだ。
隆志は受付に、
「君はもう下がっていい。ご苦労様」
と声をかける。
「聡美さん、真人くん、こちらへ」
と2人を、改めて応接室に案内する。
また、長い廊下を歩いて、応接室というプレートが付けられた扉をノックする。
「は、はい」と声がし、隆志が扉を開けると、部屋から飛び出してきた女性が真人に抱き着く。
女性は、聡美より少し年上のようだが、聡美と同じく実年齢より若く見えた。
しかも、いわゆる美魔女と呼ばれる部類で、大企業の社長夫人らしい華やかさがあった。
真人も思わず、顔を微かに赤らめる。
真人に抱き着いていた女性は、顔を上げる。
「貴方が真人くんね。会いたかったわ」
といい目には涙を浮かべている。
聡美は、邪魔できない雰囲気に複雑そうな表情を浮かべている。
そこに隆志が割って入る。
「麗華。真人くんも戸惑っているじゃないか。少し落ち着きなさい」
「そ、そうね。ごめんなさいね。真人くん」
と麗華が顔を赤らめ、引き下がる。
4人は改めてソファに向かい合わせに座る。
隆志と麗華が並んで座り、向かいに真人と聡美だ。
隆志が口を開く。
「真人くんも、今日来てくれたということは、聡美さんから事情は聴いていると思う。君の血縁上の母親は、この麗華なんだ」
隆志の横では、麗華が涙を浮かべて真人を見つめている。
隆志の言葉に、真人は
(流石は俺のおやじ)
と認めざるを得ない。
真人の情報を事前に集め、彼が「母親思い」だと掴んでいる。
それゆえに、自分たちが実の両親だと言わず、麗華が母親だと一点集中してきたのだ。
それを考慮しつつ真人が口を開く。
「はい。母さ……。母からある程度の話は聞いています。僕を引き取りたいとか」
「引き取りたいなんてとんでもない。ただ、まずは麗華が君の母親であると認めてほしい。それだけなんだ」
まずは……。ね。
拒絶されては話はそこで終わり、扉を少しでも開けさせれれば、そこに足を突っ込むことができる。
断ることが困難な部分から攻めて橋頭保を作るつもりか。
「ですが、僕の母は、ここに居る……聡美さんです。麗華さんを母親と認めるということは、聡美さんを母親と認めない。ということになります」
「そ、そうです。真人の母親は私です!」
状況に困惑していた聡美も声を上げる。だがそれは隆志にとって好都合。敵の弱い部分を突くのが定跡だ。真人より聡美の方が御しやすい。
「もちろん。聡美さんは、真人くんをここまで立派に育てた母親です。だが、麗華も血縁上の母親だと認めて欲しいのです」
「え、ええ。それはそうなのでしょうけど……」
「もう真人くんと二度と会うなとか、そんなことは言いません。息子が母に会うのを、母が息子に会うのを止めるなんてできるはずがありません」
「は、はい」
聡美は、隆志のこちらを配慮した言葉に、むしろ困惑している。金と権力に物を言わせて、自分たちが引き取った方が良いに決まっているだろ。
そう畳みかけてくると身構えていたところに、隆志の言葉は聡美を戸惑わせた。
しかし真人は騙されない。
(一見、こちらに配慮しているようにみえるが……)
(麗華さんを母親と認めて欲しいどころか、引き取った後の面会条件に話が飛躍しているじゃないか)
隆志はさらに好条件で畳みかける。
「真人くんお母さんに楽をさせてあげたいと、頑張っているのは私も知っています。私たちも聡美さんに援助をさせていただくつもりです」
「そ、そんなことまでは……」
「いえ。息子の母親ならば、私たちにとっても他人ではありません。真人くんの苦労を私たちにも分かち合わせていただきたい」
「は……はい」
真人は、改めて、流石俺のおやじ。と思う。
(外堀を埋めるどころじゃない。城壁の外側に、城壁より高い壁を作り、城ごと包囲しているようなものだ)
(これでは、母さんが、それでも俺と暮らしたいというのは、ただの「わがまま」でしかない)
このままでは落城だ。そうなっては打つ手がなくなる。真人が口を開く。
「わかりました。母さん、聡美さんのことまで考えていただけるなら、僕は貴方たち、いえ、隆志さん、麗華さん。お二人の息子にならせてください」
「真人くん!」
と麗華が歓喜の声を上げる。
しかし先ほどまで心が揺れていた聡美も、息子の言葉に
「マーくん、そんな……」
と、我を忘れる。
「だから母さん、いや、聡美さん」
と真人は聡美を見つめる。
「俺と結婚してほしい」
「は?」
と3人が固まる。
「俺が聡美さんの息子でなくなるなら、結婚ができるはずだ」
「い、いや真人くんいくら何でも」
「そ、そうよ真人くん……」
さすがの隆志も麗華も困惑している。
そこの聡美が、バン!と大きくテーブルをたたく。
「何を言っているの真人!」
全員の視線が聡美に集まる。
「もう馬鹿ね……」
とほほを赤らめまんざらでもなさそうだ。
「は?」
と、隆志と麗華が唖然とする。
我に返った麗華が、怒鳴りながら立ち上がる。
「ババア! 何まんざらでもなさそうにしているのよ!」
聡美も猛然と言い返す。
「ババアって何よ! 私の方が年下のはずでしょ!」
「母親ポジと彼女ポジじゃカテゴライズが違うでしょ! マックスミニマム値が違うのよ!」
「わけのわからないこと言わないでよ!」
と聡美と麗華が言い争う。
その言い争いをBGMに、冷静さを取り戻した隆志が真人を見つめる。




