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自他ともに認めるマザコン母子だが、取り違えで赤の他人だと発覚する件(上)

ラブラブ母子の真人と聡美。

しかし、出産時に取り違えで赤の他人だと発覚する。


今回の課題:AI特有の過剰な書き込みを抑える。

20ページを超えたので分割して投稿。



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挿絵(By みてみん)

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挿絵(By みてみん)

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挿絵(By みてみん)

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挿絵(By みてみん)



小説本文


高校の通路の壁にテスト結果が張り出されていた。

1位に「高木真人」の名前があり、生徒たちが高木をほめたたえている。

バスケットの試合。

真人はリングの前でボールを一度バウントさせると、リングに向かってジャンプ。

見事、ダンクシュートを決める。

成績優秀、スポーツ万能、そして容姿端麗の真人である。

女子生徒からモテモテでおかしくはない。


しかし真人が、応援席の女性に声をかける。

「母さん見てた~!」

「マーくんカッコよかったわよ!」

と女性も応える。


女子生徒たちが、

「あれでマザコンでさえなければね……」

と肩を落とす。

「今年の新入生が高木くんのファンクラブを作ったらしいんだけど、3日で解散したらしいわ……」

「3日でマザコンって気づいたのね」

「まあ、本人が隠してないからね……」


マザコン。

それは 成績優秀 スポーツ万能 容姿端麗といった光輝く要素をすべて吸い込む巨大ブラックホールなのだ


しかも、母の聡美も息子の真人を溺愛していた。

これでは、完治する余地がない。


「でも どうしてあんなにマザコンなの?」

「マザコンに理由なんてあるの?」

「そりゃあるんじゃないの? 母親がずっと溺愛してたとか」

「ああ あの母親じゃね……」


 応援席からは母の聡美の

「マーくん素敵!」

 という、母親とは思えない黄色い声援が響く。


「あ でも噂で聞いたことあるけど 高木くんって中学校まではバスケじゃなくて空手やってたっていうじゃない?」

「うん それ 聞いたことある なんで空手やめちゃったんだろうね?」

「それが 高木くんのお父さんが お母さんに暴力をふるうような奴だったらしくてね 中学生だった高木くんお父さんを叩きのめしちゃったんだって」

「え? マジ? 中学生で?」

「そうらしいのよ それでお父さんが 高木くんを怖がってお母さんが離婚したんだって」

「まあ 中学生の息子に叩きのめされちゃったらね……」

「じゃあ 空手はお父さんを叩きのめすためだけに習ってたってこと?」

「ええ お母さんを救うためにね」

「それでお母さんからすれば 高木くんは乱暴な男から自分をすくってくれた……お 王子様……らしいのよ」

「……いい話 いい話なのかも しれないけど……」


 応援席からは母の聡美の

「マーくん愛しているわ!」

 という、母親とは思えない黄色い声援が響く。

「俺も母さん愛してるよ!]

と真人が応える。


「関わりたくはないわね……」

「そうね……」

 女子生徒たちはドン引きである。


 そんなラブラブ母子に、ある日、運命の電話が鳴る。


 洗濯物を干していた聡美は、急いでリビングに戻り、最近ではめっきり役目が少なくなった固定電話の受話器を取った。


「はい。高木です」

「島田総合病院、産婦人科の主任部長の大友と申します。覚えていらっしゃらないかも知れませんが、17年前、高木さんが息子さんを出産なさった病院です」


「え、ええ。覚えていますわ。それが何か……」

 聡美は、懐かしく、そして愛しい息子を産んだ忘れるはずのない病院からの電話に首をかしげる。


「実は、大変申し訳けないことなのですが、出産時の取り違えが発覚し……」

「取り違え……?」

 聡美は身体の芯が冷えるのを感じる。


「はい……。現在、高木さんが一緒に暮らしている真人くんは……貴女の実のお子さんではありません」

「そ、そんないきなり何を言うんですか!」

「申し訳ありません。ですが、事実なのです」


 そして主任部長と名乗る男は説明を始めた。


 海外留学をしていた学生たちが乗るバスが崖から転落し、多くの学生が亡くなった。

 遺体の損傷が激しく、身元を確認するためにDNA鑑定が行われたが、どうしても1人の遺体が一致しない。

 消去法でその親子でしかありえないのに一致しないのだ。

 ご両親が不審に思い過去に遡って調べたところ、病院での取り違えが発覚したというのである。


「そ、そんな……」

 今まで育てていた我が子が我が子ではなく、我が子は亡くなっている。

 いきなりそのようなことを言われても受け止められるものではない。

 だが、主任部長は聡美の動揺をあえて気づかぬように話を続ける。


「そして、貴女のお子さんと言いますか……、先方の方は、真人さんを引き取りたいと申しております」

「な、なにを言っているんですか。私の子供を死なせて、今度は私が育てた子を取り上げるなんて、そんな馬鹿な話がありますか!」

 聡美は思わず声を上げる。


「お気持ちは分かります。ですが、事故であり先方の方に過失は無く……。そして真人さんの実親なのは間違いありません」


 話は平行線をたどる。そして主任部長も当人ではない以上、彼に不満を訴えても話は進まない。


 先方と話し合いを行うことになったが、聡美は真人にどう説明するか思い悩む。

 我が子が亡くなったのだ。もっと悲しむべきかもしれないが、あったこともない息子が亡くなったと言われても実感が湧かないし、それよりも今は真人のことだ。


 真人が帰宅し夕食になる。真人の大好物の唐揚げである。


 食事が進む中、聡美が何気ないように話題をふる。


「マーくん。そういえば……金城マテリアルって知ってる?」

「ああ、知っているよ。半導体素材で急成長している企業だね」

「そんなにすごい会社なの?」

「ああ、企業間取引の会社だから一般的には有名じゃないけど、実は俺も、将来はそこに就職したいって思ってるんだ」

「マーくんが?」

「今はAIに仕事を奪われるかもって時代だけど、そのAIも半導体がなければ役に立たない。だったら、その半導体を作る側に回れば良いんだよ。まあ、その分、競争率も高いけどね」


 真人の言葉に聡美が動揺する。

 真人が就職したいと思っていた企業。彼は、その社長の息子なのだ。競争率など考えるだけ馬鹿馬鹿しい。


「マー君、実はね……」

 と聡美は口を開いた。


 数日後、休日、余所行きのスーツを着た聡美と、学生服姿の真人が大きなビルの前でタクシーを降りた。




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