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リリィ1号

 サンフランシスコから程近いシリコンバレーは、湾を囲んだ複数の市と企業が合併してアメリカのスーパーハイテクを支える巨大都市を形成していた。その街は、生産性の高さと長年にわたる実体経済の隆盛を受けて好景気に賑わっていた。時は大晦日、じきに西暦2053年の1月1日の午前0時を迎えようとしている。

 ペースメイカー・エンタープライズ社は巨大都市の湾の南の中央近く、サニーベールの新市街に立地していた。高層ビルの上層階には新年を祝う社員たちが大勢集まって、技術部門のリーダーであるウォルター・マテウスの年越しの短い演説が始まった。それからシャンパンのグラスを手に、病院長のトーマス・ミドルトンの掛け声と一緒にカウントダウンが始まって、午前0時を大合唱で告げた。

 歓声と一緒にクラッカーが一斉に弾けた。社員たちは近くにいた者たちと相手かまわず祝いのキスをして、グラスの飲み物で乾杯した。フロアでは賑やかなパーティーが始まって、会社のCEOであるゲイリー・ワイズマンが陽気に笑い合う社員たちを見渡して、皆に向かってグラスのシャンパンを高く掲げて満足そうだった。

 ワイズマンは、サイボーグ計画を推進していた機械化医療チーム『エイドス』からの独立を経て、成し得たい理想が高かった分だけ思わぬ苦労は伴ったものの、長年の研究の成果を得て会社を設立し、こうして社を一流の企業にまで成長させてきた。ワイズマンはこれまでの起業の経緯を思い返して感無量だった。

 ペイスメイカー・エンタープライズ社は、人体に適合して神経伝達を電気信号に変換する、人体の機能とまったく違わない義肢や義眼、人工内臓や人工皮膚、人工骨や人工筋肉など、人体のすべての部位を取り扱う最高級の機械化医療を独占している、現代最もアメリカで話題性のある企業体のひとつだ。人体の機能と形質を精密に、電子工学と芸術的な形成によって損傷箇所に当てはまるインプラントは、当初は、戦争から帰還した負傷兵から傷害を取り除くことが目的だった。現在では、人体が個々に異なることから部位の作成は完全にカスタマイズされていて、そんな理由から治療は非常に高価なものとなり、患者は世界の富裕層のみに特化している。

 人工部位には老化がなく、負傷しても痛みが小さく、若干の作動不良が生じるだけで、部品を取り替え、リセットすることが出来る。そして近年、厄介な問題になっている化学物質やウイルスにも汚染されない。富裕層の人々はそんな自身の身体についての安心を、大金を支払って手に入れている。負傷者は自身の肉体と何ら変わらない人工部位を手に入れて、肉体の損傷が原因で心に生じていた劣等感や不安感を払拭する。これによってPME社は世界の富裕層を顧客とし、グループ全体に非常に堅固な人脈を作り上げてきた。

 五十代の半ばになって脂が乗り切ったワイズマンは、マテウスやミドルトンなど会社の幹部たちと談笑を交え、ビルの最上階に位置する自身の社長室へと迎え入れた。それから湾岸に広がった市街地の夜景を見晴らす広々とした室内に全員が揃うと、長年の秘書である日系ハーフのジャスティン・ワカミヤに促した。

 ジャスティンは姿勢を正しくワイズマンに頷くと、室内の中央近くに歩き出していって「タンタラターン」とファンファーレを口マネして、静脈認証でタッチして、その場所に設置されていた円筒形のガラスの柱のスモークを消した。すると、その柱が硬質ガラスの展示ケースであることが分かり、中には一体の少女の人体が展示されていた。

 年の頃は九歳か、十歳か。見た目は中国系か韓国系なのか?いいや、人相やその雰囲気が日本人であることを示している。少女はあどけない顔立ちをして、まるで生きている人間そのものに見えた。今にもふたたび呼吸を始めて、目を覚まして動き出しそうだ。それでも当時の人工皮膚の技術力の限界を表して、膝や肘、手首などの間接部の皮膚がかすかに擦り切れて破れ、そこにはナーヴァス・システムの繊細なワイヤーネットが見え、所々の表皮がわずかに擦れて薄弱になっている。そして彼女は美術品としての価値を落とさない範囲でクリーニングが施されているが、修復などは一切されていない。

 ワイズマンは稀代のサイエンス・アートの収集家で、それを見て目を細め、心から満足して、何はともあれ誇らしそうに彼女について説明した。

「どうだね。美しいだろ。これが一番欲しかったんだ。彼女は人類初のヒト型ロボットの完成形だ。ドクター・ヤナセが開発した『ヒューマノイド・ゾーイ』だよ。プロトタイプのナーヴァス・システムを搭載する『リリィ一号』だ。海底に沈んだ彼の国から探し出して、私の金で再び地上に引き揚げたものだ」


 前年、2052年11月17日。六つのライトを煌々と灯して、濃紺色の海中深くを一隻の潜水艇がゆっくりと進んでいた。彼らは9月9日の巨大震災の後、慎重に経過を見定め、海中での調査をくり返してきた。海底では今も温泉や硫黄の泡が噴き出していて、海流が乱れていて、土砂や石油による濁流が入り混じって海中の所々がひどく煙っていた。

 灰白色の潜水艇がそんな海中を真っすぐに進んでゆく。水圧に強いシーラカンス型の頑強な船はホワイト・シークリフ号と呼ばれる有人深海調査船で、船籍表示にはそれがアメリカの民間深海調査会社、クワイエット・オーシャンの所有だと記されている。

 ゆるやかに深度を下げ、北北西に進んでゆく。やがては起伏の激しい、さながらグランド・キャニオンのように遠大に広がった歪な海底が眼下の暗闇に見えるようになった。その先にはコンビナートらしい巨大な工場群と、国際空港と思われる数本の滑走路が見えてきた。

 潜水艇はさらに深度を下げ、サーチライトで海底を注意深く舐めるように照らし出している。するとそこには崩壊したビルや筋状に伸びた道路や線路、駅や緑地で幽霊のように漂い揺れる木々などの都会の残骸が暗闇のただ中に浮き上がってみえてきた。それは崩壊もおびただしい、海に埋もれた現代文明の痕跡だ。海底の一面に広がってみえるのは、紛れもなく水没して廃墟と化した巨大都市の残骸だ。

「モニターの映像をズームアップして、ピンポイントのフォーカスに切り替える」

 メインモニターに海底の風景が拡大され、ピンポイントのマークに反応してフォーカスが安定して、そこに見渡す街の細部が明瞭になった。道路の脇には電線が千切れた、何とも華奢な電信柱が立ち並んでいて、ビルの中程にある看板にはアルファベットの文字が、それからカタカナや漢字の文字がはっきりと見える。

 クルーたちはそんな海底の映像をモニターに確認して、苦々しくその顔を見合わせた。

 以前から地震大国だったこの国では、原発の安全性と都市部の大震災の危険性が長く問題視されてきた。ところが地震の研究は特段に難しく予測が困難という理由から、政府はそれが生じても、せいぜい2011年に発生した3・11東日本大震災程度の被害にとどまるだろうと高をくくっていた。一時は首都機能が麻痺してダメージに苦しむが、この国の優秀な土木建築と民間の技術と団結力さえあれば、社会の復興は約束されていると胸を張っていた。しかし関東から関西、本州を縦断して四国から九州に延びる海底内の四枚のプレートには、日本列島を一度に飲み込む莫大な地殻エネルギーが蓄積されていた。それが唐突に爆発して、地層を網目のように崩壊させながら7日間で大地震を国中に連鎖させたのだ。

 山が割れ、大地を引き裂いて、高熱蒸気や間欠泉が地中から噴き出した。同時に、停電が起きて社会生活が寸断された。周辺火災が発生した。そして大地が崩れ落ち、いきなり割れて引き込まれるよう海中へと飲み込まれてしまった。それはアスファルトを敷き詰めて建物が密集した、外貼りが強化された都市部であっても、まったく回避することは出来なかった。いいや。人口が密集している分、その被害は甚大だった。

 地球規模の変動に対して、人の力はどうしたって無力だった。極東アジアが熱帯気候になって久しいが、この年の日本の夏は冷夏に苛まれ、気圧が常に不安定で、全国各地で竜巻が起こり、ゴルフボール大の雹が降り続くことがあった。今にして思えば、ここ数年の極東アジアの天候異常は、こうした地殻変動の前触れだったのかも知れない。そしてそれは、冷夏が一段落すると報じられた9月9日の早朝に始まって、最初の一日で太平洋岸が崩れ落ち、まるで旧約聖書の天地創造を遡るかのよう7日をかけて地上にあったほとんどの陸地を滑落させて、見る影もなく海溝に飲み込こんだ。

 大震災の影響は、中国、台湾、韓国などの周辺各国、北方はロシアの東海岸、そしてシンガポールやベトナム、インドネシア、フィリピンなどの東南アジアの沿岸から、遠くはアメリカやカナダの西海岸、フィジー諸島やオーストラリアまで環太平洋の沿岸に大津波となって表わされた。北アメリカの西岸やオートラリアの北岸では、地理的距離が幸いして、それでも被害は小さかった。ところが周辺のアジア諸国の沿岸都市や、土壌の低いフィリピンやインドネシア、ハワイやフィジーなどの島々に及ぼした影響はまったくをもって痛ましいものだった。

 環太平洋の沿岸まで広がったそんな被害の大きさから、そして日夜続けられていた現地での復旧作業の困難さに、世界各国の報道機関は三ヶ月が経った今日でも、今回の『人類の悲劇』をトップニュースで報じていた。


 線量計に海中の放射性物質の濃度の濃さが警告されている。クルーたちは海底にある惨状を見つめて一様に深刻だった。潜水艇内のサイドモニターにはナビゲーション用に震災以前の航空写真が表示されていて、拡大した地図と照合すると、船の現在地が日本の太平洋岸、東京都内の、港区三田の上空にいることが分かった。

 日本の首都だった東京の土壌は水分を含んで液状化が進んでいたのか?都市の崩壊には落盤が目立ち、道路がひどく陥没していて、タワーマンションが傾いて、建物がことごとく倒れ、震災前の航空写真と比較すると、元から計画性が乏しかった東京都心の街並は壊滅状態になっていた。

 それでも大地に寸断された高架式の首都高をたどって、高層建築の少ない比較的敷地が広い芝公園の上空を進んでゆくと、濁流に煙った海底にランドマークとなる、古くからこの街のシンボルとされてきた東京タワーがモニターの上方に確認できるようになった。

 目的地はもう近い。住所は港区虎ノ門5丁目とある。

 航空写真を少しだけ移動して、その場所を拡大し、そこにあったとされる黄褐色のレンガの外壁の三階建ての建物を探してみた。すると第二創世会館という建物の駐車場スペースのその隣に、一階部分が潰れて壊れている、それに該当するレンガの外壁の建物を発見することが出来た。

 衛星写真で現在の日本全土の状態を確認すると、北海道の一部と東北地方の北東端の一部が無事なだけで、後は列島のほとんどが海中に飲み込まれている。それから今回の地殻変動の影響からか、尖閣諸島と千島列島が隆起して細長い新しい陸地を形成している。日本の各地に配備されていた米軍基地はすべてが壊滅し、日本は国家が崩壊して初めて、アメリカの物理的、あるいは精神的支配から解放されていた。

 これは文字通りの日本沈没だ。何より哀れなのは日本の国民だ。国家は民のためにあることが理想だが、日本人は平和ボケが著しく、マスコミが故意に垂れ流す稚拙な情報に情緒的に反応して大局を見ることなく、国家の在り方についてまったく考えてこなかった。政治家の知能の低さや官僚の狡猾さ、警察と検察の怠慢さは何よりそんな民衆の知的レベルの低さが産み出したものだ。戦争以前から日本人は天皇崇拝を洗脳されて、姑息で傲慢な政治家や官僚たちに搾取され続けてきた。そして死ななくても良かった多くの若者が、二つの戦争で大量に無駄死にした。そんな悲惨な経験を重ねたというのに、日本人は核心に目を背け、政治家や官僚たちに搾取され続け、根拠のない安全と平和にどっぷりと浸り込み、いつまでたっても成長しなかった。

 今回の大震災では、予想していなかった突然の災害に、逃げ出す間もなく日本人の九割近くが死滅してしまった。残念なのは、これでこの国の特有だった、非常に崇高な『誇りと恥の文化』が失われてしまうことだ。とは言っても、近代の日本人は数値主義に埋没して、経済活動に没頭し、売り上げの高いものこそが価値あるものと考えて、大衆迎合もはなはだしく、なんともポップなこの国の社会を見渡しても、そんな文化はとっくの昔に死滅していたが。・・・

 わずかに残った生存者たちは備えのないまま離散して海洋に漂流し、なんとか船舶に救助されて移民となれる国々を探し求めていた。また、ある者たちは残された領土にしがみ着き、細々と暮らすことを選んでいる。ところが電気も水道も、下水もガスも、電話もハイテクも、食料も流通も、病院も統治もない、一切を失った生活は、戦後の焼け野原からの復興と同様に、いいや、それよりひどく、雨風を凌いで、その日の食糧を手にすることすら大変な、きわめて困難なものだ。それより昨今大きくなっている問題は、援助物資を運んでくる中国や韓国やロシアの海軍が始めている、少しでも領海を拡大しようとする海上での小競り合いだ。


 航空写真に住所を照らし、海底を明るく照らし出しながら潜水艇が目標の建物の上方へと静止した。それからNASAの協力を得て開発された、宇宙服を軽量化した、高性能の潜水服に身を包んだ二人の深海作業員たちを海中へと降ろした。

 潜水艇内のキャプテンが、深海作業員たちのヘッドセットに質問した。

「建物の状態はどんな様子だ?捜索は可能だろうか?」

「一階の崩壊はひどいようだが、二階と三階には進入できそうだ」

 二人は海中の暗闇に明かりを灯し、建物の周囲をゆっくりと浮遊しながら建物内に進入するための入り口を探した。そして顔を見合わせ、合図し合って、注意深く、崩壊の痛々しい建物の二階部へと進入していった。

「この家を知るドクター・ローハンの話のままだと良いんだが」

「確かに。作業用のロボットが必要になるようなら、ちょっとばかり面倒だな」

 二人の進路に見える屋内の状態が、ヘルメットに搭載したカメラに撮影されて、潜水艇内のモニターに表示されている。建物の屋内は、震災と水没の影響で荒れ放題に荒れ果てている。それでもセカンド・リビングやキッチンなど、その場所が人の住まいであった名残りを確認することが出来た。

 二人は二階のフロアを周って、それから一旦、外に出て、三階フロアへと用心深く進入した。

「ずいぶんとひどい状態だ。これじゃあ人間はひとたまりもない」

「この街の生存者は千人に満たなかったそうだ。・・・この街の人々は、売れるだろう、儲かるだろうって品物ばかりを国の全体に垂れ流し続けていた。人間の社会には提示し続けるべき正論があるのにさ。野放しってのは、まずいよな」

「そんなモノばかりじゃ、心のあり方がいい加減で、卑しくなっちまう」

「上層部や中枢にいた人間の心が貧しかったんだ。それをこの国全体に広めてきた」

「滅びるべくして滅びたってことか。この国の惨状は、世の中に真に必要なものを作り出してこなかった、そんな大人たちへの報いだってのか」

「人間は忘れやすい生き物だ。だから社会には規律や信念ってものを提示し続けなければならない。そうでなければ人間は劣化する。社会のそのものが崩壊しちまうんだ」

「この国の教育に問題があったのかも知れないな。教育っていうのは考え方や教養を植え付けて鍛え、育んでゆくものだろ。理念のない知識ばかりを詰め込むものじゃない」

「成長期に6年間、英語を勉強していても、それを話せる者たちがほとんどいなかった」

「何のための勉強だよ。知識ばかりを詰め込んだって、使い方を知らなかったらまったく意味がない。この国の大人たちはそんなことすら考えてこなかった」

 二人はこの国の問題点を話し合い、海底に沈んだ屋内の暗闇を注意深く進んだ。スピーカーにそんな話を聞いていた潜水艇内のクルーたちが苦笑いしてその顔を見合わせた。

 海底の深部には音という音がなく、光という光がない。家の中には調度品や生活用品が海水に取り留めなく漂い浮かんでいる。二人はそれぞれに室内を確認して、そんな暗闇の中に青の世界に沈み込むように進んでゆく。するとフロアの奥側に、書籍が崩落して珊瑚の棚のように山積みになっている、家の主の書斎らしい一室を見付けた。

「あったぞ。あった。見付けたぞ」

「確かに。この部屋がドクターの書斎だな」

 二人は頷き合って、窓際にある大きなデスクが印象的な、そんな室内に進み入った。

 作業員たちの報告を聞いて、潜水艇が海中に回り込んでいって、窓の外側へと緩やかに下降してきた。二人は室内の中央に留まって注意深く周辺を見回して、荒れ果てたその部屋に目的のお宝を探した。すると潜水艇のサーチライトが、そんな室内を明るく照らし出してくれた。その部屋の風景が真昼のように明瞭になった。

 目的のお宝は壁際にあった。二人はそれを発見して、感動とも恐怖ともいえない複雑な心境になった。部屋の一点を見つめ続けて凍り付いていた。

 そこには一個の大きな硬質ガラスの立方形のケースが割れて壊れていた。そしてその中には哀れにも、一人の少女の溺死体があった。生身の人間ならすでに腐敗しているか、魚に啄まれてボロボロに傷付いているはずだが、少女の遺体はなぜか傷みがなく、綺麗なままの状態にあった。水没の寸前まで呼吸していたのか?鼻の穴には小さな気泡が見えている。いいや。そこにあるのは動きもなく水浸しになって弱々しく沈んでいる、青白い肌に見える、人類初のヒト型ロボット『ヒューマノイド・ゾーイ』だ。二人はそれを間近に見つめて、自身のその目を疑った。少女は質感を豊かに、見事に精巧に作られていた。見たところはロボットなどでなく、生身の人間そのものに思えた。

 そしてサイエンス・アートの収集家たちから憧憬の芸術品だと唱われてきた『ヒューマノイド・ゾーイ』は、丁寧に透明の緩衝剤に梱包されて、取り扱いに注意を傾け、おおよそ一ヶ月ぶりに海上に引き揚げられた。列島の沈没からまだ間もない、危険性が今なお残る今回の海底探査は、単身で巨額を投じたシリコンバレーのセレブリティ、若い頃から敬意を込めて人々から『誇り高き夢想家』と称されてきたゲイリー・ワイズマン個人の要請によるものだった。

 それから三週間が経って、『ヒューマノイド・ゾーイ』はクワイエット・オーシャン社からシリコンバレーのゲイリー・ワイズマンの社長室に搬送されてきた。耐火耐熱性の横長型のセラミック・ケースには「ワイズマン社長のお探しの品物を、無事に発見できました。安全性を考慮の上、ここに搬送いたします」とする、ホログラムを造影するICチップが添えられていた。ワイズマンはそれを見て、社長室への人の出入りを一切禁じると、階下にある作業室から電気ドライバーとレンチを手に持ち出した。

 ネジを外して、ケースを丁寧に解体して取り除き、『リリィ一号』と名付けられた全裸の少女を注意深くストレッチャーに横たえた。ワイズマンは梱包材に包まれたままの錆びて薄汚れた少女の亡骸を目の当たりに感無量になった。それからハンディ・タイプの電磁波振動装置を手に、少女の全身を梱包しているデンプン系の緩衝剤を溶解して蒸発した。

 ワイズマンは一旦、作業の手を止めて、秘書を務めて九年目になる娘も同然のジャスティンだけに事情を話し、彼女に彼が部屋に引きこもる言い訳を考えさせた。今の会社がこうしてあるのは、すべてはここに来た少女のお陰だ。彼女がいなければ機械化医療は成長していなかった。・・・これからは私が君のことを大切に守ってゆく。私の会社には機械を保全する最新技術が常に完璧にある。ここにいれば君はエジプトのミイラと変わりなく、これからの数千年を最適の状態で保存されてゆく。・・・

 ワイズマンはいくら感謝を示しても足りない思いだった。そして、それからの一週間近くを誰とも会わずに室内に閉じこもって、人工神経や人工血管、人工筋肉など、現代の義肢や人工内臓のアイデアの祖となった憧れだった少女の肉体を、自身の手で丁寧に、丁寧に、海の塩分と水垢とサビが完全に体から抜け切るまで化学クリーニングをくり返した。


 2051年9月8日、日本巨大地震の前日。その日は残暑の厳しい夏の終わりだった。次の日に七十四才の誕生日を迎える梁瀬圭一は、ずいぶん前に隠居して、月刊ネクスト・サイエンスの購読を楽しみに静かな生活を送っていた。関心が持てる論文を見付け出し、科学技術系の古くからの友人たちに意見を仰いで、時間をかけて独自にインターネットで学習して調査することを楽しみにしていた。そんな梁瀬の生活はさながら残された人生をなかば廃人同然に、あえて孤独に費やしているかの様子だった。妻の香月は、仕事ばかりに没頭していた梁瀬に嫌気がさして、ずいぶん遠い昔に娘を残して、男を作って家から出ていった。それから長く娘の母親役を務めてくれていた妻の双子の妹である遠藤葉月は、当時いた恋人とは結局、結婚せず、今では彼の内縁の妻となって、そんな梁瀬の日常を近くで静かに見守っていた。

 若い頃から、葉月と香月は見掛けだけはとても似ていた。ところが性格がまったく違っていた。葉月は、社交的で外出好きだった香月と違っておとなしく、世間には余り関心がないらしく、読書と日本画と料理を趣味にする内向的な性格だった。

 人生は刹那というが、事件の後、自殺する勇気がなかった梁瀬にとっては、人生はまさしく死までの一本の線上にある長くて煩わしい余暇でしかなかった。梁瀬は自身の罪を罪として認め、自身を罰して、自身が幸福になることを認めてはこなかった。上品で頭脳は明晰だが、世間から見れば、彼はなんとも退屈な老人でしかなかった。食事はあれから菜食に徹して、それほど老け込む年齢ではないが、頭には白髪が目立ち、老眼鏡の下のその目はどこか虚ろで、容姿はまるで魂を失った抜け殻のようだ。

 六十二才になった葉月は、梁瀬がどうしてそんな考えに至ったかを熟知している。そして梁瀬との距離をうまく心得て、彼の生活を支えてきた。そんな葉月の存在は、残る人生を懺悔に捧げる梁瀬にとって、たったひとつの救いでもあった。

 夜になって、梁瀬が食べられる真ダコのカルパッチョを前菜に、黒オリーブが入った野菜サラダと、トマトとバジルのスパゲッティ、メインに豆腐のガーリック・ステーキで彼女の手作りの夕食を終えた。そして食器の片付けを始めながら、葉月が彼を伺うように微笑んで話した。

「今日は、お昼の間に散歩がてらにミッドタウンまで行ってきたのよ。ついでにブーヴクリコのハーフボトルと、豆乳で作った小さめのバースデイ・ケーキを買ってきたわ。明日は圭一さんの誕生日でしょ」

「そうだったな。・・・そうか。誕生日だなんて忘れていた」

「七十四才よ。ちょっと早いけど、今夜は少しお祝いをしましょうよ」

「ありがとう。心遣いに感謝しているよ」

 梁瀬は飾りけのない葉月を見つめて、わずかに過去を思い返して深刻な表情になった。そしてわずかに涙を目に浮かべた。

「・・・君には本当に感謝している。こんな私と一緒にいてくれて。・・・私といたって退屈なだけなのに。面倒ばかりの私なんかと」

「気にしないで。私が圭一さんを好きなだけだから。・・・あなたは決して退屈な人じゃない。私が好きでこうしているのよ」

 葉月は梁瀬の照れ臭そうな顔付きを見て、明るく微笑んでみせた。それから冷えたシャンパンのボトルと、小さなバースディ・ケーキを冷蔵庫から取り出してきた。

 二人はテーブルで向かい合い、グラスにシャンパンを注いで、微笑み合ってそれを飲み交わした。そしてロウソクに火を点けて、彼がそれを吹き消すと、デザート代わりにケーキを四分の一に取り分けて、明日で七十四才になる梁瀬の誕生日をのんびりと祝った。


 夜が更けて、葉月は浴室で長い黒髪を洗っていた。風呂上がりの梁瀬はパジャマを身に着け、ひとり三階にある自身の書斎に上がってきた。梁瀬は室内に立ち止まり、その部屋に大切に保管されている硬質ガラスのケースに入った『リリィ一号』を見つめた。当然のことだが、耐用年数を超えて動きを休めた『リリィ一号』は黙して何も話さない。もちろん瞼を開くことさえしない。

 ヒューマノイドの着想と概念はこのようなものだった。被験者を解剖し、心臓を摘出して、心臓にカテーテルを入れて溶剤を注入する。溶剤は心臓から細胞を溶かし出す、つまり細胞外マトリックスだけを残すために入れている。住宅を解体して、骨組みだけを残すような手順だ。そして我々は心臓を洗って細胞を取り除く。本来あった心臓からだ。きれいさっぱり取り除き、最後は空っぽにして、そこに幹細胞を入れてやると、理論上、心臓が蘇る。ヒューマノイドの着想は、元来そのようなものだった。梁瀬は静かに『リリィ一号』を見つめ、悲しくなって涙目になった。そしてしばらくジッと見つめて、やがては少女に虚ろげに言った。

「・・・梨々。・・・私はもうひとつ年を取るよ。・・・済まないな。私だけがこうして惨めに生き延びていて」

 それからいくらかが経って、葉月が浴室から出てきて、シュミーズを身に着けてツインのベッドルームにやって来た。梁瀬はシャンパンのお陰で久しぶりにリラックス出来たのか、十二才年下の、風呂上がりの葉月の体をすがるように抱きしめた。葉月はいきなり抱きしめられてほんの少し驚いたが、心の中では嬉しくてたまらなかった。

 葉月は自身が選んだ人生について何ひとつ後悔していなかった。梁瀬は彼女の頭に頬を寄せ、彼女のこれまでの慈愛と奉仕とその優しさに心から感謝した。重ねて彼女に感謝し続けた。彼女がそばにいてくれて本当に幸福だった。彼女がいるだけで自身の引退後の生活は、意義あるものだったと言える。梁瀬はそんな想いを深く心に噛みしめていた。

 気が付くと、風呂から上がって間もないせいなのか?それとも彼への情愛に火照ったせいなのか?彼女の体が上気して、熱した蝋のように柔らかく温かくなった。すると彼の体が溶解して、彼女の体と解け合ってひとつに融和した一体感が、不意に心に込み上げてきた。このような陶酔の感覚は、真実の愛だけがなせる力だ。

 それから二人はいたわり合うようライト・キスを交わして、その夜は久しぶりにベッドで愛を交えた。そして梁瀬と葉月がひとつのベッドで静かに眠っていた翌日の早朝に、日本ではすべてを失う大地震が起きた。・・・


 新たな日本の将来のために政府が2018年に創設した、実績を上げた優秀な科学者と技術者たちだけに支払われる科学技術者年金は、都心の中央に自宅を持って、年に数回、海外に赴いて、時に観劇や外食に出掛けるブルジョアらしい文化的な、それでいて質素であることを忘れない真に洗練された梁瀬の生活を支えるには十分だった。

 当時から日本は資源もエネルギーも軍隊もなく、少子化と教育の劣化から人材が枯渇して、経済大国の座を奪われて久しい中国にすり寄ってでしか自国の存在価値を見出すことが出来なかった。そんな中、過激な右派の政治家たちが『自立的教育法案』を提出した。彼らは規律ある日本社会の復権を目指した。イスラエルの徴兵制を模して十八才を越えたすべての男女に『寄宿訓練』と銘打った自衛隊での二年間の教育を課して、兵役期間を満了すれば積み立て給与が支払われ、一年間のワーキング・ホリディを体験して世界を知って、それから実践教育に主体を変えた大学に復学して、そこで社会人となるための基礎を整え、就職して社会に出るものだ。

 そして品物を大切にするよう食料品や生活必需品以外の物品を値上げして、買い替えすることを最大限に抑え、物質的には決して豊かではないが、得意のリサイクル技術を活用して、輸出や輸入に頼らない地道な日本をもう一度作り直して、内需だけで活性しようと考える『日本再生鎖国論』がもてはやされた。これはいわゆる逆転の発想で、日本再生のための一種のショック療法だ。時の政府は、科学技術の成長に唯一の復活の道を選んだのだ。

 資源やエネルギーがなければ、代替えでより良いものを作る。それこそが日本の真骨頂である。政府はさらに1ドル50円の円高を容認し、『都市鉱山』と呼ばれる国内に既存する工業製品のリサイクルを進めて、国内メーカーが生産する商品のすべてに特徴あるデザインと操作性、機能性など、付加価値と高品質を担保する約束を課した。そうすれば国内に雇用を広め、下請けや孫請けに技術の確かな職人を育てることが出来、技能立国として国民のすべてがやりがいある仕事へと就ける。そしてそれが全国に浸透すれば、やがては農作物や食料品から工業製品に至るすべての日本製品を、強いては日本そのものを高価で品質の高い商品としてブランド化することが出来る。そうなれば世界の富裕層には、さながらフランスやイタリアのオートクチュールや、フェラーリやポルシェやメルセデスのように他では手に入らない価値あるモノとなり、一流を装うための必需品、あるいは幅広く民間人の贅沢品として日本全体を復活させることが出来るはずだと。


 西暦2020年。莫大な税金を費やした東京オリンピックが終わったその年の10月の朝。三十一才の遠藤葉月と四十三才の梁瀬圭一は、テレビ電話でこんな話をした。

「梨々ちゃんの学校には、ちゃんと欠席の理由を説明しておきました」

「ありがとう。助かるよ。いつも母親の役割を押し付けてすまないな」

「私も一緒にそちらに行きましょうか?夕食の支度ぐらいなら出来るわよ。どうせ、そちらにいる間は外食ばかりなんでしょ?」

「いいや。今夜は早めに切り上げて、梨々と一緒にそっちに帰るよ。仕事の準備は万全だ。今週は長めの週末を採ることにした。夕食の時間までには帰るようにするよ」

「そうなの。分かったわ。それじゃあ、こっちで待っているわ。今夜はあなたの大好きな松坂牛のロース肉を用意しておくから」

 それから2時間ほどの後に、小学四年生の梨々は叔母である葉月の見送りを受けて、東京駅から発車した筑波行きのリニアモーター・エクスプレスの車中にいた。

 葉月は、東京駅のホームから直通のエレベーターで地階にある特区専用の駐車場に降りてくると、駐車しておいたパールホワイトのEVレクサスの傍らにやって来て、左手首のハンディコム(携帯パソコン)にアドレスを呼び出して、梁瀬に連絡を入れた。

「圭一さん。梨々ちゃんは、9時16分のマグレヴに乗りました」

「ありがとう。悪いが、私は今、打ち合わせの途中だ」

「あ、そう。わかったわ。それじゃあ、またね」

 葉月はそう言ってテレビ電話を切ると、レクサスの運転席に乗った。

 筑波にはおおよそ20分で到着する。リニアモーター・エクスプレスの車内は、ガラパゴスやiPadなどのスマート・タブレットで調べものをしたり、朝刊を読んで、あるいはメールで仕事のやり取りする通勤のビジネスマンを乗せて、驚くほどに静かだった。ただひとつ、大きな車窓から見える表の風景だけが矢のように飛び去っていった。

 梨々は携帯音源にお気に入りのグスタフ・マーラーを聴いて窓側の席に着き、紅葉が鮮やかになり始めた遠くの山々をうっとりと眺めていた。その瞳は朝の爽やかな陽光を受けて、希望に満ちて活きいきと輝いている。少女は博愛の精神の名の元に、知識を広く育てられてきた。「技術は、ミクロまで凝縮するところにその真価がある。欲望を少しだけ自制して節度をわきまえれば、人類の将来にはより良い未来が待ち受けている」そんな風に話す研究一筋の父の口癖に、少女はあくまでも感覚的にだが、世界のすべての子供たちには明るい未来が待ち受けていることを信じていた。

 バランス感覚を心得て、もう少し他人の不幸を少なく出来たなら、人類はもっと豊かで幸福でいられたはずだ。ところが世界は、資本主義と市場経済の弊害に骨の髄まで毒されている。この国の人々の場合には、傷付くことを覚悟の上で自主的に毒されているとまでは言えず、アメリカなのか、中国なのか、それともこの国をダメにした政治とかメディアのせいなのか、一人ひとりの認識の低さがためにいつでも全体的なムードに流されて、他所の誰かに訳も分からず踊らされている感覚が否めない。それでも理想を高く、自身の研究に没頭してきた梁瀬には、そんな世間の現実には目を向ける暇さえもなかった。

 筑波駅に到着すると、梨々は駅前のロータリーまで迎えに出ていたiAuto(iオート)というアップル社製のEVセダンの後部座席に乗り込んだ。

 マーブルブラックのiAutoが走り抜けてゆく筑波市内は、政府のいう『テクノポリス構想』に基づいて科学技術の拠点となるべく特区に指定され、工業製品から薬品にいたる既存の大手企業の研究室や技術部や工場などが移転してきて、材料物性、材料設計、トライボロジー(摩擦・摩耗・潤滑のメカニズム)、バイオメカニクス、バイオミメティクス(生体模倣)を研究する基礎技術、光工学、計測制御、システム工学、知識工学、数理工学を研究する物理情報、微小機構、精密機構、量子技術、振動制御などを研究する極限技術、熱工学、流体工学、燃焼工学、エネルギー変換、エネルギー利用技術、環境技術を研究するエネルギー、複合加工・変形工学・界面制御・生産機械・生産情報を研究する生産システム、運動機構、感覚制御、自律制御、バイオロボティクス、福祉応用を研究するロボット工学、エネルギー、生産、ロボットに関するマイクロ化、自律化、コンカレント化(異分野技術との融合)を研究する機械量子分子工学など、種々様々なベンチャー企業が丘陵地帯に集まって、通称をそのままに『テクノポリス』なる一個の巨大な未来的都市を形成していた。

 ロビーに立った梁瀬圭一が、エントランスの正面に停車したiAuto(iオート)から降りてくる梨々を見つめて明るい笑みを浮かべた。それから、投射モニターをタッチ操作する左手首のアップル社のハンディコム、iWrist(iリスト)にアドレスを呼び出して、葉月に連絡を入れた。

「圭一だ。たった今、梨々が到着した」

「時間通りね。今日一日、梨々ちゃんをよろしくね」

「分かっている。それじゃあ今夜な」

「そうね。帰ってくるのを楽しみにしているわ」

 自動ドアを開け、梨々が満面の笑みで「パパ」と言って歩み寄ってきた。圭一は少年のような笑顔になって、梨々を出迎えて話した。

「すまないな。パパの仕事のお手伝いのせいで、学校を休ませちゃってさ」

「良いのよ。私はパパと一緒にいられる方が楽しいもの」

 この時、梁瀬は『人工神経』と名付けた機械量子分子工学の研究が認められ、アメリカの財団から増資を受けて、四十代の若さでマイクロメカニック社の社長になって、すでに二年と少しが経っていた。研究は実用化に向けて応用実験を重ね、会社の成果を広く世界に発表する段階に近づいていた。発表の際にはインパクトの絶大な見せ方をする必要がある。それが出来れば『人工神経』のニュースは一瞬にして世界を駆け巡ることになる。そして株価が一夜にして跳ね上がる。そのために彼は、娘の梨々のウイークデイの生活を元妻の妹である葉月に任せて、研究開発と発表の準備を整えて月曜の朝から木曜の夜まで、または金曜の夕刻までをこの街のコンドミニアムに単身で暮らしていた。


 梨々は更衣室で全裸になって、赤外線を通して全身の骨格と筋肉を透写する薄布で作られたグレイのタイツ一枚を身に着け、スキャニングルームにやって来た。それからモニタールームにいる父親と小さく微笑んで頷き合った。梁瀬のパートナーである森本信二郎物理博士が、そんな梨々にこれからおこなう撮影について説明した。

「撮影はとても簡単だ。君はその機械の中央に立っているだけで良い。そうすればスキャナーが君の周囲をゆっくりと回るから」

「はい」

「いくつかのカメラが君の近くまで近付くことがある。それがつま先や髪の毛や、睫毛や眉毛の一本一本まで全身くまなくスキャンする。途中、ちょっとだけ姿勢を変えて貰うことがあるけど、10分もしない間に撮影は終わるからさ」

「分かりました。叔父ちゃまの言う通りにして、じっとしていれば良いわけね」

「その通り。簡単だろ」

 森本が頷いて微笑むと、撮影技師が準備万端、梨々を円筒形に組み立てたスキャナーの中央に案内した。そして彼女の立ち位置を正確に、彼女の身長に合わせてスキャナーの配置に少しだけ変更を加えた。

 スキャナーの弱光と、撮影する箇所を求めて自由に稼働する6個のカメラが、静止した梨々の周りをゆっくりと周回してゆく。モニタールームからは、梁瀬と森本がそんな進行を慎重に見守っている。そうして梨々の全身から骨格や筋肉の動き、表皮の形質など、様々なデータが収集されて『BODY』のファイルに蓄積されていった。

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