すれ違いの果てに
「緋花、話があるんだけど」
文化祭二日目、人通りの少ない、静かな廊下で大翔ははっきりと言った。
どくん、と胸が跳ねる。
普段はかっこいいお兄ちゃんって感じ、という印象なのに真剣に話し始めると、やけにかっこよく見える。
ギャップ萌え?なんて場違いな事を考えつつ、こくん、と頷く。
「緋花って、・・・神崎のこと、好きなんだろ?なんで告白しないの?」
急にズバッと切り込まれても、頭がついていかない。なのに、胸の鼓動は一層速くなる。
「緋花がそういう気があいつにないんなら、・・・俺と、付き合ってよ」
予想外、というのは、些か嘘が混じっている。
幼なじみの男の子なんて、高校生にもなれば、ここまで過保護になるわけがない。
それに、あんなイケメンなのに、他の女の子を見向きもせず自分だけを見つめる大翔は、もしかして、なんて思ったこともある。
でも、だけど。
「ありがとう、大翔」
きっぱりと顔を上げ、暴走を起こす心を必死で制御する。
「やっぱり、あたし、流星先輩のことが好きなんだ。」
なぜか、すごく泣きそうだった。
「・・・ごめん、緋花。そう言うって、なんか予想してたんだ。だけど、やっぱ告わないと吹っ切れないじゃん?だから、どんな結果だったとしても、ぶつからないと駄目だよ、・・・緋花。」
俯いてしまった緋花には見えなかったが、ぐす、と鼻を啜る音がした。
「でも、俺と緋花が幼なじみってことは変わらないから。これまで通り、仲良くしてよ。・・・ほら、行ってやりな。今すぐ、告白してこいよ。ほら、早く」
とん、と文字通り背中を押す。
「ありがと、大翔・・・」
言われた通り、走り出した。
自分の思いを、伝えるために。




