↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

36/40

第36話:庶子皇子、アデラード王女から話を聞く

 襲撃してきたアデラード王女と騎士、魔物たちはシャルロッテが光の縄で拘束し動きを止めた。

 気絶から目覚めても暴れることはなく、みなずいぶんと静かだ。

 俯いたままのアデラード王女に俺は尋ねる。


「以前、大魔境は二体の厄災魔物に襲われた。操っていたのはあんただろう。今回の襲撃も含め、なぜシャルを殺そうする?」


 無言の時間が流れる。

 何も話さない……か。

 どうしようかと思ったとき、彼女はぽつぽつと話し出した。


「一ヶ月ほど前、私の部屋に金髪になったシャルロッテの肖像画が置かれていた。それは美しかったわ。王国や周辺国の男性が知ったら私の王位継承権に影響が出かねない。そう思って襲撃を企てたのよ。厄災魔物を通して金髪の本人を見たら本当に美しいのだもの。ますます焦っちゃったわ。そこに、"ブルーサン商会"の禁制品とカサンドラの内通の疑惑が上がった。シャルロッテが王国への嫌がらせとして行ったと結論づけて、こうやって襲撃に来たのよ。私の手で直接始末するためにね。女は外見の美しさが全てだから」


 アデラード王女の話に俺は強い衝撃を受けた。

 拍動の強くなった心臓を胸にシャルロッテに尋ねる。


「シャルは肖像画を描かれたことはどれくらいある?」

「記憶の限り一度もないわ。少なくとも成長してからはね」


 その言葉に、俺の懸念は現実味を増していく。


 ――金髪になったシャルロッテは美しい。

 

 それを事前に知る人物がいるんじゃないのか?


「シャルの肖像画を描いたのは誰だ? 置いた人物でもいい、教えるんだ」

「どちらもわからないわ。調べているけど何の情報もない。そんなの……私だって知りたいわよ」


 アデラード王女は歯軋りして答える。

 嘘をついている印象はないし、何より一番知りたいだろう。

 シャルロッテからもそれ以上の追求は難しいと表情で伝わり、俺は質問を変える。


「"ブルーサン商会"の取り潰しとカサンドラの内通について、その経緯を全て話してくれ。どちらも悪質な濡れ衣、でっち上げだ」

「経緯も何も部下から報告を受けた、それだけよ。証拠にもおかしい点はなかった。休戦中ではあるけど、王国は帝国と戦争中でしょう。理由もなしに貴重な人材を監獄行きや死罪などにはしないわ」

「……じゃあ、調査を担当とした部下の名前を教えてくれ」

「ファビアン・フランシス。王国騎士団の優秀な騎士の一人よ」


 初めて聞く名だ。

〔クロニクル〕の記憶を探るが、本編にもエンドコンテンツにも出てこなかったキャラだった。


「……殺しなさい」


 アデラード王女は呟く。


「私たちを殺しなさい! ムーングランツに屈するつもりはないわ! 敵国に利用されるくらいなら死んだ方がマシよ! まぁ、人質に取ったところでお父様が攻撃の手を緩めることはないでしょうけどね!」


 彼女は吹っ切れたように強い口調で言う。

 シャルロッテはアデラード王女にゆっくり手を翳すと……聖魔法で傷を癒した。


「……情けのつもり? 同情なんていらないわ」

「私にしてきた仕打ちを許すことはできませんが、あなたは私の実の姉です。手を取り合って仲良くできる未来があるのなら、いつか来ることを願いたいです」


 アデラード王女は黙って下を向く。

 シャルロッテは暗に改心を促していた。

〔クロニクル〕のように姉妹手を取り合う光景が見られることを、俺も願ってやまなかった。

「私はこれからもこの大魔境でハルと幸せに平和に暮らしていきます。だから、もう二度と攻撃なんてしてこないでください」


 彼女の言葉を聞いたアデラード王女の瞳からは一筋の涙が零れる。

 戦意は完全に消失しており、領地には静けさが横たわった。

 シャルロッテは部隊全体の傷も癒し、"ブルーサン商会"とカサンドラの件は王国の誤解を解くよう俺と一緒に硬く誓わせた。


「……世話になったわね」


 呟くように言うと、アデラード王女は部下と一緒に王国の方角に飛んでいく。

 一度も振り返ることはなく、その背中にはどこか悲しみが感じられた。

 部隊が小さくなるにつれ、たくさんの領民が俺とシャルロッテの周りに集まってくる。


「さすが、ハルトさんとシャルロッテさんなのです! お二人のおかげで全然怖くなかったです!」

「二人がいなかったらワシらは死んでいた! ありがとう、本当にありがとうの!」

「やはり、お二人は最強最高の領主夫妻ですね! 仕えられること、至極幸せでございます!」


 リリス、ズゥーイさん、カサンドラ……。

 みんなに怪我がなくて本当によかった。

 シャルロッテが俺の手をそっと握る。


「私たちの毎日は守られたわね」

「ああ、シャルのおかげだよ」

「ハルのおかげでもあるわ」


 俺たちはにこりと笑い合う。

 無事に、彼女との幸せで平和な毎日を守ることができた。

お忙しい中読んでいただきありがとうございます!


少しでも「面白い!」「早く続きが読みたい!」と思っていただけたら、ぜひ評価とブックマークをお願いします!

評価は広告下にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にタップorクリックしていただけると本当に嬉しいです!

『ブックマーク』もポチッと押すだけで超簡単にできます。


皆さまの『評価』や『ブックマーク』は執筆の大変大きな原動力になります!

何卒よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。