↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

34/40

第34話:庶子王子、襲撃に来たアデラード王女の部隊に対峙する

「お城ができると領地の印象が変わるわね」

「そうだな。もっと領地を発展させて豊かにしなきゃって思うよ」


 傍らで大魔境城を見上げるシャルロッテに頷く。

 シックな黒色の城は、上品で荘厳で非常に美しい。

 この土地の反映を示すと同時、毎日頑張ろうと思わせてくれた。


「本当にとても綺麗……何度見ても神々しい雰囲気に胸が打たれてしまうわ。曇っているのが残念だけど」

「きっと、午後からは晴れてくれるさ」


 今日も平和な毎日になりそうだと思ったとき。

 上空に濃密な魔力を感じ取った。

 なんだ? と思うと同時、紫色の雨が領地の結界に降り注いだ。

 この攻撃には見覚えがある。


「ハル……今の攻撃は……!」

「腐毒鬼の《トキシックレイン》だ!」


 毒の雨は結界を傷つけることなく消失した。

 あり得ないことだが、まず間違いない。

 厄災魔物のあの二匹はゲーム世界において一体ずつしか存在しない。

 どうして倒したはずの魔物の攻撃を喰らったのか思索を巡らす俺の目は、雲から小さな何かが多数出てくる光景を捉えた。


「なんだ、あれは……!?」


 数え切れないほどのドラゴンやワイバーン、ドレイクなどなど……最低でもAランクを誇る上位種ばかりだ。

 かつてない異変に城からは半鐘が鳴り響く。

 周囲の領民たちからはどよめきが沸き、俺はシャルロッテとともに上空を注視する。


「魔物の襲撃にしてはずいぶんと統率が取れているな」

「なんだか様子が変よ。……誰か単眼鏡を持ってきて!」


 "トライシャイン商会"の交易で入手したスコープがあるはずだ。

 結果として、それは必要なかった。


「久しぶりね、シャルロッテ。聞こえる? アデラードよ」

「えっ……嘘……この声は……」


 シャルロッテと俺と同じように、大魔境にいるみなが衝撃を受けた。

 拡声器の役割を持つ魔導具で声が大きく響いているのだと推測される。

 まさか本当に……? という疑問を解消するかのように、飛翔する魔物たちはゆっくりと下降した。

 点の如く小さかった影が徐々に拡大され、魔物の背中には全て誰か乗っているとわかった。 一番先頭のドラゴンには他より重厚な鎧が装備され、その背に乗るのはアデラード王女だ。 ただ、〔クロニクル〕でプレイしたキャラデザと同じでも、彼女の顔には妬みや嫉妬といった負の感情が滲み出ていた。

 ゲームで感じたような"抱擁力のある優しい王女"という印象は……ない。

 同時に、二体の厄災魔物は彼女が持つ【時魔法】スキルで復元されたのだとわかった。

 ミカエルの【賢者】スキルでも使えない特別な三つの魔法のうちの一つ、だ。


「シャルロッテ、あなたには国家反逆の容疑がかかっているわ。お父様は死罪を要求。王国を代表して私が裁きに来たってわけ」

「何を仰っているのですか、アデラード姉さん! 私は反逆など企てていません! ここで……ここでハルと幸せに暮らしているだけです!」

「弁明するなんて見苦しいわよ。"蒼陽商会"を介して禁制品を王国内に流通させたこと、そしてそこにいるカサンドラを帝国と内通させたこと。いずれもあなたが首謀したことでしょう」

「違います! 私は何もしていません! "蒼陽商会"の件もカサンドラの件も全て誤解です!」


 シャルロッテの訴えをアデラード王女は聞こうともしない。

 俺もまた唖然とするばかりだ。


「彼女はいったい何を言っているんだ。禁制品も内通も言いがかりだ。シャルがそんなことするはずがないのに」

「私にもわからないけど、アデラード姉さんは本気で攻撃を仕掛けてくる。これだけは確かなようね」

「ああ、悲しいことにそうらしいな……領民のみんなは城に避難してくれ! 結界の外には一歩も出ないように!」

「「りょ、了解!」」


 領民はからくり人形たちに誘導され城に走る。

 この領地で最も安全な場所だ。

 俺は人の流れに逆らうように結界の外に向かう。

 

「シャルも城に避難するんだ。ここは俺が戦う」


 そう言って一歩踏み出す俺の手は誰かに止められた。


「待って、私も戦うわ。私とハルが暮らす大切な土地だもの。自分の手で守りたい」


 さらにもう一人、俺たちの隣に立つ人物がいた。


「我も戦わせてくれ。この命、我を受け入れてくれたハルト氏とシャルロッテ氏のために使いたい」


 シャルロッテもカサンドラも力強く俺を見る。

 彼女たちの顔を見ているだけで何倍も力が増すようだった。


「……ありがとう、二人とも。一緒に戦おう」


 結界の外に出た俺たちに、アデラード王女の笑い声が降ってくる。


「たった三人で守ろうというのかしら? 健気なことね」

「ここは俺たちの大切な場所だ。誰であろうと絶対に侵略させない」


 シャルロッテやみんなが平和に暮らす大切な領地。

 それを守る戦いが今ここに始まった。

お忙しい中読んでいただきありがとうございます!


少しでも「面白い!」「早く続きが読みたい!」と思っていただけたら、ぜひ評価とブックマークをお願いします!

評価は広告下にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にタップorクリックしていただけると本当に嬉しいです!

『ブックマーク』もポチッと押すだけで超簡単にできます。


皆さまの『評価』や『ブックマーク』は執筆の大変大きな原動力になります!

何卒よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。