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リコリス・ディープ・ニルヴァーナ  作者: ネオもろこし
聖魔の調律(カオス・チューニング)編

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第十三話「アストエル聖魔戦争(ハルマゲドン)、開幕」3

第三章 戦場のクロスロード


 空中で四神が激突する一方、地上でも地獄の蓋が開いていた。 聖地アストエルの市街地は、天槍騎士団と悪魔軍(黙示録団)の殺し合いによって、瓦礫の山と化していた。


「邪魔よ、鉄屑たち!」


 白雪美流愛(しらゆき みるあ)が、教会の屋根を駆け抜ける。彼女の左右を、双子の妹たちが影のように追随する。三条のワイヤーが、夜空に銀色の軌跡を描く。襲いかかる機械仕掛けの天使『ケルビム』の首を絡め取り、地上へと叩き落とす。


「お姉様! 左翼からキメラ部隊が!」


「任せなさい!」


 美流愛は、空中で身を翻し、改造ペンライトの光刃を閃かせた。 迫りくる合成魔獣の爪を切り裂き、その背中に着地する。 舞うような殺陣。戦場というステージで、彼女たちは今日も華麗に踊る。


 一方、城壁の制御室。 鉄鏡花(くろがね きょうか)は、自身のコネクタをメインフレームに直結させていた。


「アクセス承認。……防衛システムを掌握した」


 彼女の義眼が、高速で明滅する。 アストエルの自動防衛砲台が一斉に旋回し、その照準を悪魔軍へと向けた。


「計算通りだ。……敵の火力で、敵を討つ」


 砲火が、押し寄せる黒魔術師団を薙ぎ払う。だが、敵の数は減らない。 地下から次々と湧き出る異形の群れ。 そして、空からは無慈悲な天使の光が降り注ぐ。


「祈のところへ急げ! 儀式が進んでる!」


 久遠灯(くおん あかり)が、M500を乱射しながら叫ぶ。彼女は単身、中央広場への道を切り開いていた。血の霧を纏い、再生能力を盾にして突進する姿は、まさに戦場の鬼神。


 だが、その行く手を阻む者がいた。 大聖堂の巨大な正門前。 そこに、漆黒のロングコートを纏った男が立ちはだかっていた。


 ルシウス・クロウリー。 聖槍異端監察庁最強の執行官。彼は背負った巨大な十字架を地面に突き立て、冷徹な眼差しで灯を見下ろした。


「ここから先は神域だ。不浄なる者よ、去れ」


「退くわけねえだろ」


 灯は足を止めず、ニヤリと笑った。 その笑顔は、聖地の空気にはあまりに不似合いな、泥臭く、そしてふてぶてしいものだった。


「神様だろうが何だろうが……ウチの家族()を泣かせる奴は、全員ブッ飛ばす!」


 灯がトリガーを引く。 ルシウスが十字架を展開する。マグナム弾と聖銀の杭が交錯しようとした、その刹那。


 ズガァァァァァン!!


 凄まじい衝撃音と共に、空から巨大な影が落下してきた。石畳が砕け散り、土煙が舞い上がる。灯とルシウスは、咄嗟に飛び退いて衝撃を避けた。


「なっ……!?」


 煙の中から現れたのは、翼を折られ、全身から炎を噴き出している巨鳥――朱 焔陽(ジュー・イェンヤン)だった。四神の一柱、朱雀。 その神々しい姿は見る影もなく、泥にまみれて喘いでいる。


「おのれ……! 我が……あんな小娘ごときに……!」


 焔陽が、血走った目で空を睨む。 そこには、辰巳響(たつみ ひびき)が一人、悠然と滞空していた。 彼女の身体には蒼い雷だけでなく、遥か東の友から送られてくる「青い風」が渦巻いている。 その風が翼となり、彼女を空に留めていたのだ。


「……へっ。言っただろ、焼き鳥野郎」


 響は、焦げ付いた拳を突き出した。


「アタシは一人じゃねぇ。……大陸中の龍が、味方なんだよ」


「グルァァァァッ!!」


 プライドを砕かれた焔陽が、怒り狂って咆哮した。理性を失い、無差別に炎を撒き散らし始める。 敵味方の区別なく、周囲の全てを焼き尽くす暴走。騎士団も悪魔も、巻き込まれて灰になっていく。


「チッ、暴れるな!」


 灯が舌打ちする。戦場はカオスを極めた。天使、悪魔、四神、そして魔女たち。全ての勢力が入り乱れ、収拾がつかない泥沼。


 だが、その混乱こそが、灯たちが待ち望んだ「隙」だった。


「チャンスだ! 突っ込め!」


 灯が叫び、大聖堂の門へと走る。 ルシウスもまた、暴走する朱雀を抑えるために動き、灯へのマークが外れた。


「待ってろ、祈!」


 灯たちが、本丸へと雪崩れ込もうとする。しかし、彼女たちは気づいていなかった。 その混乱の影で、もう一人の捕食者が動き出していたことに。


 大聖堂の屋根の上。ベルベット・ミラーが、優雅に煙管を燻らせながら、眼下の惨劇を見下ろしていた。


「ふふ……。いいわ、もっと踊りなさい」


 彼女の真紅の瞳が、祭壇の上の祈を捉える。儀式は最終段階に入りつつある。 天界の門が開きかけ、そこから漏れ出す光が、祈の身体を蝕んでいる。そして、その光に呼応するように、地下の魔界の門もまた、開き始めていた。


「光と闇がぶつかり合い、世界が壊れる時……救世主(メシア)は現れる」


 ベルベットは、舌なめずりをした。


「舞台は整ったわね。……さあ、始めましょうか。私のためのハルマゲドンを」


 彼女の影が、コウモリのように広がり、祈の元へと忍び寄っていく。神々の戦争の裏で、最も邪悪な企みが、今まさに実を結ぼうとしていた。

自分が読みたい物語を書いています。

可能な限り更新できるようにしていきたいなぁと思っています。

(制作に関してAIを利用しています)

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