↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛されないモブ令嬢は、大人しく退場する義理はないので復讐します  作者: 天田 れおぽん @初書籍発売中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
4/10

第四話 王立学園卒業式

 王立学園の卒業式は華やかだ。アンジェリカは忙しい父のエスコートも断って、ひとりで参加した。選んだドレスは花柄ではあるが茶系のもので、茶色の髪と瞳を持つアンジェリカを映えさせるものではない。だが母のものを仕立て直したそのドレスは、アンジェリカにとっては鎧のようなものだ。


「アンジェリカさま、出席なさったのね」

「あら。何かあったの?」

「聞いてない? アンジェリカさまは、婚約を解消されてしまったのよ」

「ああ。それでリッキーさまは、ロジータさまと……」

「お可哀そうに、アンジェリカさま」

「でもアンジェリカさまは、おひとりで卒業式典に出席される度胸がおありなのですもの。どこでも生きていけますわよね」

「そうよね。お強いわ」


 クスクス笑いながら囁きあい、こちらを眺めている視線を感じながら、アンジェリカは背筋をスッと伸ばした。


(こうなることを見越して、お父さまがエスコートを申し出てくださいましたけど……お父さまはお忙しいし)


 王立学園を卒業する晴れの日。同級生たちは婚約者にエスコートされたり、エスコートしたりと忙しい。また大事な子どもの晴れの日を見るために、保護者である親たちも出席している。


(我が家はお母さまがいない分、お父さまに仕事が集中している。わたしのことで手を煩わせるのは違う。それに……わたしはお爺さまのところへ養子にいくのだから。お父さまに甘えてはいけないわ)

 

 そこまで考えて、アンジェリカは祖父に来てもらえばよかったことに気付いた。


(あら、わたしったら間抜けね。お爺さまにエスコートしてもらえば、同級生から馬鹿にされるようなことはなかったのに。お爺さまは年を取ったと言っても、辺境伯さまですもの。お爺さまにエスコートしてもらえば、リッキーさまやロジータさまに、あんな表情でニヤニヤと眺められる必要もなかったわね)


 アンジェリカは、挨拶のために壇上へと向かった国王の姿を目で追う。


(今年の来賓は国王さま。卒業生には公爵家の子息もいるせいかしら。今までは身分に差があるからと、お爺さまのことは意識して頼らないようにしていたけれど。これからは違う。わたしは辺境伯家の娘になるのですもの)


 まだ正式に公表してはいないため、同級生たちもそのことは知らない。こちらを見てコソコソしながら嗤っていられるのは、アンジェリカが男爵令嬢だと思っているからだ。


(一番下位の貴族だから、何の気兼ねもなく馬鹿にできる。貴族にとって爵位は大事だわ。わたしが辺境伯家の娘になったら、周りの人たちはどんな反応をするのかしら?)


 慌ててご機嫌伺いしてくれば面白い、とも思うし、面倒だとも思う。アンジェリカ自身、思ってもみなかった展開に戸惑っているのだ。皆も驚くことだろう。問題は、その先だ。


(辺境伯家の娘となれば、高位貴族や王族とのお付き合いも必要なのかしら? そこはあまり考えたくないわ。頭を下げていればしのげる下位貴族のほうが、わたしは気楽)


 アンジェリカはそんなことを考えらながら、周囲からの不快な視線に耐え、人生の大きな門出を迎えたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。