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2話 ゴブリン語は通じなかった


「すげえゴブリンだ!」


 生きてる!動いてる!映像でもない!すごい!すごぉぉぃぃい!

 

「グギャ?」


 キャー首傾げたぁぁぁああ!全然可愛くない見た目だけど可愛いぃぃぃぃいい!


「まずは挨拶。そして友好関係の構築。これが異種族交流の第一歩だ!グギャ!グギャギャ!グーギャッギャッ!」


 必死になって覚えてみたゴブリン語を今ここで披露するんだ!そして肩を組んでこのゴブリンと友情をはぐくむ!

 

「グル?」


 あ、全然伝わってないっぽいな。

 

「そんな……い、いや!まだだ!俺が覚えた言語はゴブリンだけじゃない!スライムだってオークだってトレントだって龍だって言語を覚えたんだ!たまたまこいつが知らないだけ。そうに違いない!」


「グルル⋯⋯グギャア!」


「うおっと。危ない危ない。もう駄目みたいだ。俺たちの肩を組みあったあの夏の思い出はないみたいだな。」


 まあそんな記憶一切ないんだけどね。観察してみたけど、まず動きはそんなに早くない。棍棒も当たればただじゃすまないだろうけど重いのか振り上げるだけで精いっぱい見たい。

 

「グギャア!」


 動きも単調。ただ棍棒を振り下ろす、振り下ろしたところを攻めに行こうとすると無理やり棍棒を振り回して近づかせないようにする。これだけだな。

 

「どんなに勝てる戦いでも油断はしない!そう、なぜなら死んだら終わりだから!」


 冒険者たるもの常に警戒を怠らない。もしかしたらこのゴブリンはわざと隙だらけの動きを見せて油断を誘っている隠れ最強かもしれない。ほかにも俺が知らない特殊能力を持っている可能性もある。いくら知っているゴブリンだとしても、未知の相手を舐めるのは愚者のすることだ。


「まあ息が上がってるのを見ると全然そんなことなさそうだけど!」

 

「ギャッ!」


 棍棒を振り回して重心がずれたところを狙って横に一閃!お見事!


「体になじむまで振り続けたおかげだよ。俺の相棒。」

 

 【経験値の取得を確認。ステータスが反映されます】


「来たぜ!フォオオオオオ!」


 やっぱりあるよなステータス!塔に入った瞬間にステータスオープンって叫んでも出なくてめちゃくちゃ焦ったぜ!


「さて、ついにこれを言う時が来たのか、ステーッタス! オォォォォォプンッ!!」


━━━━━━━━━━━━

名前:藤原 雅人

レベル:1

職業:——


HP(体力):120

MP(魔力):0

STR(筋力):18

VIT(耐久):10

AGI(敏捷):17

DEX(器用):18

INT(知力):18

MND(精神):21

LUK(幸運):10

━━━━━━━━━━━━

保有SP:10

━━━━━━━━━━━━

スキル

・剣術 Lv 0

・鑑定 Lv 0

・応急処置 Lv 0

━━━━━━━━━━━━

 

「ほう」


 平均的な水準だと高いほうかどうかはまだわからない。SPはステータスをいじるやつに違いないだろうね。

 

「ほうほう」


 MPがともに0なのは気になるポイントではある。それにスキルが軒並みレベル0。経験としては存在してるけどレベルとしては存在しないって言うことか?


「ほうほうほうほう」


 ステータス見るのマジ面白れぇ!半透明のパネルすっげえ!フォント何だろ、やっぱMSゴシック?メイリオか?これ他の人に見えるタイプなのかな?色は?変えられる?カスタムできるのかな?……できないのかよ。


「ふう。落ち着こう。禁書目録第三章。おすすめビルド集」


 剣士に武闘家、魔術師、加えて万能型か極振り型か。大体の育成論はここに記している。そう!つまり!これを観ればどんなステータスビルドにすればいいか一目でわかるのだ!


「ステータスを見てから振れ。これ、禁書目録第3章の一番最初に書いている基本中の基本ね」


「しばらくはこのステータスについて考察しよう。『慌てない』これ大事ね。まずはMPが0だということ」


 考えろ藤原雅人。そもそも地球に魔力なんて存在しなかった。つまり――

 

「現時点で人類全員ゼロ説!」


 あり得るぞ。少なくとも辻褄は合う。


「つまりこのステータスは才能じゃない。現状を数値化したものの可能性が高いな。」


 ステータスの考察は終了!次に俺とゴブリンの差を調べよう。


「棍棒持ってみるか。おっも!少なくとも筋力は俺と同等以上か?」


 いや、断定は早いな。ゴブリンが全員そうとは限らないし、個体差もあるかもしれない。


「結論!STRで張り合うのは危険!」


 未知の相手は強い前提で考えろ、これ大事なことね。


「だが俺にも勝っている部分はある。というかSTR以外は勝ってるか。」

 

 ゴブリンの動きは遅かったし、知能も高くないように見えた。防御面も刀で結構簡単に切れたからそんなに固いわけじゃないみたいだな。


「よしよし。休憩&考察終了!先に進むぞ!」


 大体100m後でまた分かれ道。次も右に行こう。マッピングも忘れないようにっと。

 

 歩きながら壁に印を付けるのも忘れない。ダンジョン探索の基本、特に今回のような迷路系ダンジョンでは一番大事なことだ。もちろん禁書目録第五章162ページにもそう書いてある。


「ひとまず曲がり道は全て右に!どうせ全部探索するからゴールではなく迷わないことを大事に!」

 

「グギャ!」


「ゴブリンだ。今のところ遭遇数は4体。この程度なら初級ダンジョンの可能性が高いな」


 見つかってないみたいだから角に隠れて隙を伺おう。

 

「グギャギャ?」

「グルル……グル!」


 さらに角からもう2体。隠れて正解だったな。ほかにはいないみたいだし次はこの3体を倒そう。

 

「大人数の鉄則!すなわち——」


「——逃げる!」


 姿を見せて石を投げて牽制しながら逃げる!風になるんだ!うぉおおおお!

 

「と見せかけてほい、閃光弾。」


 サングラスは装着済み。角を曲がった先で発動させたので間違いなく食らうはずだ。

 

「ギャッ!」

「グッ」

「グギャァ……グギャァ……」


「作戦成功!棍棒落とした奴を優先的に……とう!」


「……!」


 首を切ったから叫べずにそのまま絶命したな。残り2体。棍棒は拾ってるので無理はしない。

 

「2体目は足を切って重傷を負わせる!せい!」


 すぐに角まで逃げる!追ってくるのはケガをしてない3体目だけ!

 

「——ばあ!」


「グギャァァァ!」

 

 曲がり角を曲がってぶつかったのは食パンを加えた美少女——ではなく刀を構えた俺でした!残念!

 

 「グッ……グギャァ……」


「これで最後、動けないところにとどめを。はい戦闘終了。」


 怪我なし!周囲に魔物は見えない!装備損耗なし!閃光弾もまだストックはある!

 ——つまり、想定通り!


「100点満点!エクセレント!」


【レベルが上がりました。藤原 雅人レベル:1 → 2】


「レベルアップ!ふぉおおおおお!」

お読み下さりありがとうございます!

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