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シスツィーア ③ ~受け入れざるを得ないこと~


扉の外から人の気配が消えて、ゆっくりと顔をあげる




(もう・・・・・大丈夫・・・・・・)




靴を脱いで




足をソファーのうえに乗せて




顔を膝にうずめる




お行儀が悪いことはわかっているけれど、そんなことを考える余裕もなくて




ゆっくり、息を吐く




『君の『魔力生成能力』だが、低下している』




『今後君が『魔力不足』となるのは避けられないだろう』





魔道術士団長の言葉が蘇る




「わかって、いたこと、だもの」



口にだして言う



「わたしが、望んだことの結果、だもの」



アランに魔力を『還せ』ば、わたしが『魔力不足』になるなんて分かりきっていたこと




だけど




「マーシャル公のところでは、大丈夫、だったんだけど、な」



『祝福』がなくても、『回復』できるから問題ない



『エツィールド家』の資料のなかに『いつしか人々は、自身の魔力を回復させることができるようになった』とあった。




だけどそれは、きっとただの気休めでしかないこと



『女神の祝福』のほうが重要



だって、この世界の人々の『生命力』は『女神』へと奉じられ、『女神の祝福』となって人々に還元される、いわば共存関係にあるのだもの


(『生命力』が奉じられるのに、『回復』する力があるわけがないのよ)


『回復』する能力がまったくないとは思わない


だけどそれは、例えば疲れたときに休憩して、体力が回復するのと同程度



その程度のことでしかなかった



「そんなこと、分かりきってた、はず、だわ」



少し考えれば、わかること



『女神の祝福』はこの世界を成り立たせているシステム



『女神の祝福』なくしては、人々は生きられない



そう、初代国王たちが創りあげた



それなのに、都合の良いように解釈して



違っていたから



「泣きたく、なる、なんて」



わがままだわ



言葉より先に、うずめたところが熱くなる



「っ・・・・・・うぅ・・・・・ふっ」



泣き声を押し殺す



ドレスがぺとりと膝とくっつく



「なん・・・・で・・・・」



涙がとめどなく流れる



受け入れなくてはいけない



覚悟していたはずだった




なのに



「ぜんぜん・・・・覚悟なんて・・・・できてない・・・・・じゃない」



これから先、ずっと誰かの好意に縋ることでしか、生きられないなんて



「ふっ・・・・っ・・・・」



誰かに『魔力』を分けてもらわないと、生きられないなんて



「そんなこと・・・・・・」



『悲劇のヒロイン』になるつもりはない



だから



「少し、だけ・・・・泣いたら、終わりに、するわ」



ちゃんと受け入れて、先にすすむの



だから



いまはただ泣きたくて、泣くのをとめられなくて




そのまま、いつしか意識を失っていた










最後までお読み下さり、ありがとうございます。

次話もお楽しみいただければ幸いです。

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