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とんでもねぇサイコパス

 最愛の妻、ヒトミが病死してからずっとこのプライベートラボに篭もり気味だ。

 しかし、長年の研究により一筋の希望が見えた。

 そして、私は今日、ある計画を実行に移す事とした。


「この人って・・・」

 ページの最後に添えられたヒトミと思われる女性の画像を見たヒカリが声を漏らす。

「ああ、さっきの化け物に似てる。」

 そう言ってケンジはマウスを操作しページを送る。


 ヒトミの髪の毛から入手した遺伝子データから細胞の培養を開始。しかし、途中で遺伝子が変異し奇形化。失敗は明白だったが、実験を兼ねていたので経過を観察しつつ最後まで培養を実行。

 完全なクリーチャーになってしまった。


 先程追いかけられたクリーチャーの画像が添付されている。

「とんでもねぇサイコパスだな。」

 俺の呟きをよそにケンジがページをめくる。

 

 前回である程度の目安が出来たので、順調に工程が進んでいる。

 最後の最後で少しバランスが崩れてしまったが、これは成功と言っても良いのではないだろうか。

 しかし、そう思っていたのもつかの間。これは失敗作だ。

 脳波を測定してみたら知能がミミズレベルしかなかった。


 添付された画像は包丁女だ。

「ここまで一途になれるなんて素敵な方ですね。」

「これを見てなんでそんな言葉が出るんだよ・・・」

 俺はキョウコのとんでも発言にドン引きした。

「・・・ページ、めくるぞ。」


 三度目ともなるとかなり高い精度での進行が出来ている。今回こそ成功は間違いないであろう。


 やっちまった・・・なんかタイラントみたいになった。


 そして、添付画像は両腕肥大化モンスター。

「なんでだよ!」

 オチに思わずツッコミを入れる。

 ケンジが無言ページをめくる。


 ここに来て私は気づいてしまった。

 こんなことをして何になるのだろう。

 いや、この研究自体は意義のあるもので成果も出ている。しかし、気持ち的なものはどうだろうか。これで私の気持ちが満たされるのか?そして、ヒトミ自身この事をどう思うのだろうか・・・

 なんとも言えぬ罪悪感に苛まされる。


 このページは文字だけだった。

「いや、今更!?」

 ヒカリが驚きの声を上げる。

「まさに恋は盲目ってやつですね・・・」

「次で最後みたいだ。」

 女性陣の感想をよそにケンジは淡々とパソコンを操作する。


 台風の影響で一時全電源が喪失。それによってクローンが培養室から全て脱走した。

 幸い脱走防止のプログラムをしているため外に逃げ出す事はないだろうが、プライベートルームの防護壁が破られるのは時間の問題だろう。

 防護壁が破られた時、ヒトミや自分自身、そして生命を冒涜した私への死刑が執行される。


 エタニティ社研究所遺伝子工学部門 アカバネ

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