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巨大企業エタニティ

 ドアの向こうは洋風の洒落た屋敷とは打って変わって、清潔感のある無機質な白い壁と光沢のあるコンクリート床といった病院のような雰囲気の廊下だった。

「ここって・・・研究所?」

 左手に伸びる廊下の突き当りにあるドアに掲げられた培養室と書かれたプレートや、前方の廊下の両サイドに設置されたドアの研究室といった文字などから、ここが何らかの研究所であることが推測出来る。

「地下に研究所ってバイオハザードかよ・・・」

「とにかく何処かに隠れないと・・・」

 全員が呆然とする中、絞り出すように声を発したヒカリが動き出す。

「ヒカリ先輩、そっちはマズイです。」

 左の通路に行こうとしたヒカリを、キョウコが慌てて引き止めた。

「どういうこと?」

「あの部屋、培養室って書いてあります。」

 左方向唯一の部屋にはキョウコの言う通り、培養室というプレートが掲げられている。

「私結構そういうゲームとかやったりするんですが、この流れから行くと嫌な予感しかしなくて・・・」

 バツの悪そうな顔でぶっ飛んだ持論を展開するキョウコ。

「じゃあこっちだ。」

 キョウコの発言が終わらない内に俺は部屋が複数ある前方を示した。この状況じゃ、冗談だとしてもあまりに不吉だ。

 俺の提案に反対意見はないようで、そのまま流れるように、手近な研究室と書かれた部屋に入り込む。

「わぁお・・・」

 目の前に広がる光景に俺は思わず声を漏らした。

 四畳半程の広さの部屋には、ビーカーや試験管といった誰もが知る物から、何だかよくわからない大掛かりな実験機材や、得体の知れない薬瓶が詰まった棚等が配置され、さながら映画やゲームでしか見たことがない本格的な研究室を演出していた。そして、部屋のいたる所にメビウスの輪をあしらったロゴが見受られる。

「エタニティ・・・?」

 このロゴは世界中で様々な分野の事業を展開する巨大企業エタニティの物だ。

「ほらほらほら!化け物が徘徊する屋敷の地下に研究所と巨大企業の陰!もうやばい臭いしかしないですよ!」

 映画やゲームのような展開が連続で発生したことにより、キョウコはテンション高らかにはしゃぐ。

「何嬉しそうにしてんだ!危機感を持て!危機感を!」

 完全に温度差の違うキョウコに対し俺は吠えた。

「と、とにかくこの状況をどうにかしないと・・・現状、袋の鼠だ。」

 上がる息を整えながらケンジは言葉を絞り出す。

「スマホも地下だから完全に圏外になってる・・・」

 スマホのディスプレイを見つめるヒカリからも悲壮感が漂う。

「この研究所を調べれば奴らを始末出来るすんごい武器か、何らかの脱出方法がある筈です。」

「んなご都合主義な展開あるわけねぇだろ。」

 キョウコの気合の入った花畑具合に俺の気力は完全に消滅した。

「ま、まあ、武器はなくともあの化け物をどうにかするヒントくらいは出てくるんじゃない?」

 スマホをポケットにしまったヒカリは、どうにか前向きになろうと言葉を繋げる。

「そうだな、ひとまずこの部屋から調べてみるか。」

 そう言ってケンジは、部屋の奥にあるパソコンと書類が積まれたデスクに向かう。

 そして、ケンジはデスクの椅子に座るとパソコンの電源を入れた。俺を含めた三人はデスクを囲み、各々が上に載った書類や冊子を手に取りめくり始める。

 俺が意味不明な専門用語だらけの書類をめくっていると、ケンジの操作するパソコンのディスプレイが目に入った。

 ディスプレイにはユーザーパスワード入力画面が表示されている。

 これパソコン使えねぇんじゃね?

 そうぼんやりと考えるが、ケンジは迷うことなくパスワードを入力しエンターキーを叩いた。

 すると、数秒の読み込みの後、デスクトップ画面が表示される。

「お、入れた。」

 それを見たケンジが独り言のように呟いた。

「おい、どうやった?」

 普通は知り得ないパスワードをいともたやすく入力したケンジに俺は聞いた。

「表示されてたユーザーネームをそのまま入れたんだよ。まさか入れるとは思わなかった。」

 ケンジがこちらを向いて説明する。

 学校の授業で使うパソコンによくあるタイプのパスワード設定だ。

「結構ガバガバなんだな・・・」

「ま、ガバガバだったおかげでログイン出来た。さて、調べるか。」

 呆れる俺にケンジは笑ってみせると、パソコンの調査を開始した。

 そして、俺も手元の書類に再び視線を落とす。


「専門用語だらけで何言ってんのかわからん。」

「こっちは暗号みたいな数式ばかりです。」

 書類の束に書かれた専門用語の羅列を、必死に解読しようと奮闘していた俺はついに音を上げ、キョウコは手に持っていたノートを静かに閉じた。

「これは実験器具のマニュアルみたいだけど、何をどう実験するものなのか理解出来ない・・・」

 書類組最後の砦であるヒカリも、手元のバインダーに目を落としたまま止まっている。

「・・・おい、ちょっとこれを見てくれ。」

 そんな時、ケンジがパソコンの中から何かを発見する。

 ディスプレイを見ると画像付きの文章が表示されていた。

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