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第二次攻撃隊帰投集合地点

「ホーネット」「エンタープライズ」に致命的な損傷を与え、続いて第四次攻撃隊の発艦を急がせますが・・・

午前9:58 小林 飛龍 飛行隊長より入電

「敵空母二隻ニ爆弾命中大火災 敵戦多数ノ要撃ヲウク」

その受信電に「飛龍」艦橋の二航戦司令部は歓声に湧いたが直ぐに止む、なぜならついに一航艦に敵機動部隊の攻撃隊と思われる米艦載機の攻撃が開始しされたのだ。


同時刻 一航艦 

「利根」「筑摩」が相次いで敵機発見を報告し煙幕を展張し、主砲、高角砲が一斉に射撃を始めた。

艦隊上空に在った零戦が一斉に敵編隊に向かって急進していくのが見える。


午前10:10 第二次攻撃隊帰投集合地点

米 第16任務部隊の「エンタープライズ」「ホーネット」への攻撃終了後の機が帰投集合地点に三々五々集まってくる。

機体の被弾損傷や搭乗員が負傷し帰艦が急を要する機や帰投集合地点が敵艦隊から味方艦隊方向に三十浬というおおまなかな指示なので落ちあえず単独で母艦を目指した機もあると思われるが、付近に在空しているのは九七式艦攻十四機、九九式艦爆一機、零戦十三機であった。

敵空母への攻撃を成功させた攻撃隊の士気は未だ高く、指揮官機や僚機の生存を気にしながらも戦果を上げた者は盛んに周りにそれを伝え意気揚々である。

しかし対艦雷撃を行った九七式艦攻の損害は大きく風防が割れたり被弾による弾痕が目立つ機体やうずくまったり仰向けのまま動かない搭乗員の姿も見え、敵艦隊への航空雷撃戦の壮絶さがうかがい知れた。

第二次攻撃隊の九七式艦攻の出撃数は二十六機であったから約半数に激減していた、今回の敵空母攻撃では敵戦闘機の迎撃が低調な上、艦爆隊が目標の空母に先に投弾損傷を与え対空火器も減少していた好条件下であったが、その攻撃法自体と被弾に脆弱な機体構造は容赦なく至宝のベテラン搭乗員達を乗機もろとも靖国に召したのだ。

先攻の二航戦の艦爆隊からはぐれた機も混じっている様だが小林大尉の率いる艦爆本隊は先に帰路に就いた様だ。


牧大尉は遠くに立ち昇る敵空母からの煙を望遠しながら、機動部隊指揮官宛に電文を起草し発信させた。


午前10:11 牧「加賀」艦攻分隊士より入電

「空母ニ魚雷命中ス 二隻撃沈確実 」


爆撃隊に続き艦攻隊による魚雷攻撃にも成功し敵空母撃沈確実の報を受信した日本機動部隊各艦では、急ぎ艦内に放送で伝えられ万歳三唱が起こるが、二航戦司令部と各空母艦上では敵空襲下での第四次攻撃隊発進準備中の真っただ中であり、一発食らえば敵空母に見舞う爆弾・魚雷が誘爆し今度はこちらが撃沈確実となってしまう中で見張りと回避の操艦にと、大騒ぎする余裕はない。


それにしても不思議なことに午前10時前から始まった敵艦載機の攻撃は何故か雷撃機ばかりで護衛の戦闘機も随伴しておらず、攻撃態勢に入る前から上空直援の零戦に捕捉され片っ端から取りつかれ撃墜されるか魚雷を投棄し戦場を離脱していく、さらに零戦が撃ち漏らした敵機には対空砲火が容赦なく浴びせられ雷撃の射点に着けたのはわずかな機数であり、その様な必死の思いで投下された「マーク13型」航空魚雷も雷速は33ノットであり日本の「九一式改三型」より7ノットも低速であり全て回避されてしまっている。

あまりに一方的な防空戦闘の展開に艦隊各艦上からも歓声が徐々に哀れみの声にかわっていったが、彼らは編隊の僚機が零戦により次々に撃ち落とされ次は自分の番だとわかっても攻撃をあきらめず突っ込んでくる非常に高い闘志を持った勇敢な連中であった。


午前10:12第二航空戦隊司令より 発光信号

「第四次攻撃隊発進せよ」

第一波攻撃隊  二九機(艦上戦闘機 十一機 艦上攻撃機六機 艦上爆撃機十二機)

「飛龍隊」零戦 四機 九七式艦攻機三機

「蒼龍隊」零戦 二機 九七式艦攻機三機

「赤城隊」零戦 三機 九九式艦爆四機

「加賀隊」零戦 二機 九九式艦爆八機


二航戦司令部では敵空母三隻のうち二隻を撃破し残り一隻も友永隊と後詰めの第四次攻撃隊で敵機動部隊に止めを刺すべく準備中であったが、さすがに度重なる敵艦載機の攻撃に山口司令はこれ以上の敵空襲下での出撃準備は危険と判断。

現時点での準備完了機による攻撃隊を即時発進させ機動部隊は一時敵攻撃圏外へ退避し態勢を立て直すことを決めた。


午前10:15 第二航空戦隊 旗艦 空母「飛龍」艦上

「搭乗員飛行甲板!」「搭乗員飛行甲板に整列!」と艦内スピーカーが飛龍の搭乗員待機室に流れ本日二度目(対艦攻撃は初)の攻撃となる搭乗員達が艦橋下部の飛行甲板に集合した。

艦橋下部の黒板には刻々と変化する敵艦隊の情報が随時更新記してあり航法員がメモを書き換えたり自分なりのポイントを書き留めている。

今も断続的に敵空襲が続いており、舷側からは高角砲、機銃が散発的に撃ちあげられ転舵が繰り返されるなかでもあり二次攻撃隊出撃時と同じ様に川口飛行長を中心に円陣が組まれた。

川口飛行長は攻撃隊員を見まわすと「敵空母撃滅まであと一歩である、皆には非常にご苦労であるが敵も苦しいはずである、先の攻撃で散っていった者達の分まで必ず敵空母を撃滅してもらいた!諸子の成功を祈る」と短く訓示し敬礼を行った。

「みんなたのむぞ! 発着配置につけ!」と川口飛行長の命令一下、搭乗員達が一斉に自分の愛機目指して散らばっていく、そして搭乗機の傍らで最終の細かな注意点や最新の敵情、無線の周波数、味方艦隊の行動予定等を確認し最後に腕時計の時間調整を行った。

各搭乗機の機付き整備員が試運転の結果、機体の状況を手短に操縦員に伝え座席を交替した。

「飛龍」からの発進機数は零戦四機と出撃準備が間に合った艦上攻撃機三機のわずか七機十三名である。

若干の時間差をおいて同じような光景が「赤城」「加賀」「蒼龍」の艦上でも見られ順次攻撃隊を発艦させ始めた。この第四次攻撃隊 第一波は「加賀」艦爆隊長の小川大尉が総指揮官として艦隊が空襲を受けていることもあり、艦隊から約十海里とかなり距離をとった場所で空中集合を終え進撃を開始した。


この頃には一航艦将兵も来襲する敵機の闘志・錬度が先ほどまでの部隊とは明らかに違い、本来の宿敵である敵機動部隊の艦載機であるとの確信に変わっていた。


「飛龍」も第四次攻撃隊発艦開始間際に「エンタープライズ」第六雷撃中隊のTBDデバステーターの肉薄雷撃を受けているが寸前のところで回避し事なきを得ている。

この雷撃を行い無事生還した同中隊イーリィー隊第二小隊長のロバート・ラウブ中尉は魚雷投下後に「飛龍」艦首前方を飛び去りながら飛行甲板に攻撃隊と思われる飛行機がプロペラを回して発進準備中なのが

見え、攻撃のタイミングとしては最高であり魚雷でなくても機銃掃射でも敵は大損害を被ると思ったと証言している。


午前10:16小林「飛龍」飛行隊長より入電

「敵空母ニ魚雷命中ヲミトム 一隻大傾斜 一隻大火災」

帰投集合地点の牧大尉には見えなかったが小林大尉は艦爆隊の攻撃終了後も護衛の零戦二機と戦場上空に留まり戦果確認を行っていたのだ。


次話は運命のマックラスキー隊の急降下爆撃です。

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