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「搭乗員整列!」

ついに第一航空艦隊による敵機動部隊への反撃が始まります。

午前8:18 第二航空戦隊 旗艦 空母「飛龍」艦上

「搭乗員整列!」と艦内スピーカーが飛龍の搭乗員待機室に響き小林大尉以下艦上爆撃機、

護衛の零戦搭乗員達が艦橋下部の飛行甲板に整列した。

艦橋下部の黒板には敵艦隊の概要が記してあり航法員がメモを取っている。

断続的に敵空襲が続いてるなかでもあり山口司令、加来艦長揃っての訓示など悠長な時間はなく代わって川口飛行長が「現在索敵機が敵空母に触接中であり誘導するので必ず敵空母を撃滅してもらいた!諸子の成功を祈る」と短く訓示した。

続いて「発着配置につけ!」の命令一下、搭乗員達が一斉に自分の愛機目指して散らばっていく、

そして搭乗機の傍らで中隊ごとに集まり最終の細かな注意点や最新の敵情、無線の周波数、味方艦隊の行動予定等を確認し最後に腕時計の時間調整を行った。

各搭乗機には機付き整備員が取り付き試運転の結果、機体の状況を手短に操縦員に伝え座席を交替した。

その短い時間のなか「出撃の決意を語る者」「あらたまって今までの礼を言う者」「まるで遠足に行く様な軽口をいう者」それぞれである。

「飛龍」からの発進機数は零戦八機 艦上爆撃機十八機の二六機四四名 攻撃隊隊長は小林大尉である。

若干の時間差をおいて同じような光景が「加賀」「蒼龍」の艦上でも見られた。


午前8:20 利根四号機より入電 

「敵はその後方に空母らしきもの一隻伴う」

利根四号機も敵空母の存在を報告してくるが敵空母いや利根四号機の報告位置には誤りがある。

しかも最初の敵艦隊発見から相当の時間が経過しており何故今まで確認できなかったのかという疑問が

湧き上がる。

最初の同機からの緊急電を受信した時に素早く別の索敵機を確認の為直ぐに向かわせた山口司令官の采配は見事であった、とにかく第二次攻撃隊の発進を急がせるばかりだ。


午前8:25利根一号機より入電 

「当該海域に敵影なし 周辺索敵す」

この電信も当然各艦で受信されており利根四号機の所属元の第八戦隊司令部でも辻褄の合わない利根四号機の行動に同機に対し再度現状の敵情及び位置報告を督促している。


第二航空戦隊 旗艦 空母「飛龍」飛行甲板上

「飛龍」は風上に向かって驀進しておりすでに飛行甲板前方の遮風板も倒されており、誤爆防止用に描かれた大きな日の丸のさらに前方の先端近くから風見の蒸気が中央線に沿ってまっすぐ流れている。

全機に搭乗員が乗り込み発動機を始動させ爆音響かせる中、発着艦甲板指揮官が最終確認を行いそれを見届けた発着艦指揮官が「攻撃隊発進準備よし」を令達する。

マストに旗旒信号がはためきながら上がっていく、続いて「発進用意よし」が掛かり各機の繁止索が外された。

午前8:27 第二次攻撃隊発進の命が下り艦橋の発着艦指揮官が右手の白旗を力一杯振って発進開始を知らせる。ほぼ同時にチョークを外された先頭の零戦BⅡ-121号機の森茂大尉機がスロットルを全開にして尾部を持ち上げ爆音を響かせながら両側の乗組員が打ち振る帽子の波の中滑走を始めた。

斜め後方から見る零戦はとくに美しく 第二航空戦隊二番艦を示す二本の青帯が明灰白色の胴体に描かれた日の丸の赤色とでとてもきれいに見える。

午前8:27 第二次攻撃隊 第一波 「飛龍隊」零戦八機 九九式艦爆十八機

午前8:30 第二次攻撃隊 第二波 「蒼龍隊」零戦九機 九九式艦爆十八機

午前8:38 第二次攻撃隊 第三波 「加賀隊」零戦九機 九七式艦攻二六機

各母艦とも零戦をなんとか攻撃隊に同行させることができ、朝からの護衛戦闘機のない丸裸の敵攻撃隊が

味方艦隊上空で次々と撃墜される悲劇を味わせなくて済むと安堵し攻撃成功を祈った。

各母艦ごとに編隊を組み遠ざかる攻撃隊を見送りながら、ミッドウェー島攻撃隊の急速収容準備が下令され

飛行甲板には滑走制止索と着艦制動装置が起動されていく。

早くも燃料がギリギリなのかフラップを下げ機速を抑えた九七式艦攻が艦尾から滑りこむ様に接近してくるのが見え、注意喚起の警笛が鳴らされ飛行甲板の状況を確認していた飛行科の要員が慌てて舷側に退避していく。


午前8:40 ミッドウェー島 第一次攻撃隊 収容開始 (一〇〇機帰還)

未帰還機 九七式艦攻五機 九九式艦爆一機 零戦二機


「赤城」は未だ発着艦不能であり「飛龍」三〇機 「加賀」三七機 「蒼龍」三三機を赤城所属機含め収容した。

着艦した機体はリフトで格納庫に降ろされ整備課飛行班と兵器員たちが機体の状況を操縦員や搭乗者からの聞き取りを参考に確認していく。無傷の機体は直ちに兵器装備作業へ、機体や発動機に損傷のあるものは整備班により格納庫最下層の修理工場に運ばれ応急修理を施されていく。

飛龍の友永隊長機に搭乗した村井兵曹は着艦後艦橋に報告に上がる友永隊長と橋本大尉から別れ1人居住区に戻り食堂に向かった。入口には冷えたサイダーが柄杓と一緒にバケツに入っていて他の搭乗員達が群がっていた村井兵曹もすくって飲むと乾いた喉に炭酸の刺激とほのかな甘みが染み渡りじつに美味い。

机の上には巻き寿司と稲荷が用意してあり、ミッドウェー島攻撃の機上では戦闘と被弾の緊張で食欲も湧かず何も口にしておらず空腹であった。

「飛龍」特製のあまからく煮たやわらかな干瓢巻きに目がない村井兵曹は稲荷には目もくれず一気に三本を平らげた。

そこに橋本大尉が現れ「皆 良く聞いてくれ、敵空母が発見された。このため一次攻撃隊の帰艦機で三次攻撃隊を編成出撃することになったが急がねばならん。御苦労だが出撃準備作業を手伝ってくれ 皆格納庫へ走れ!」とまくしたてた。我々は待望の敵空母攻撃に参加できるとあって、歓声とともに格納庫で兵装搭載作業中の愛機に向かって駆け出した。





艦隊上空での防空戦で20mmの弾切の僚機を尻目に獅子奮迅の活躍を見せ、二次攻撃隊の発艦まで各母艦を守りきった零戦二一甲型の働きは殊勲甲でした。

敵攻撃隊パイロットからもその継戦能力の高さから実際の数以上の直援機がいて

味方空母への攻撃を断念せざるをえなかったとの評価をされている。

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