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インターホンの怪異  作者: 天空 浮世


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04

「ったく、なんでここなんだよ」

「いやはや、これも仕事の内ってことで」


 俺が昨夜起きた現象について中洲座に電話すると、早速会うこたになったのだが、待ち合わせに選ばれたのは、映画館だった。


「まさか、話の内容と同様の怪異が起こるとは思いませんでしたよ。何が起こるか、楽しみですねぇ」

「んなことに、俺を巻き込むんじゃねぇ」

「まぁまぁ。——それで、今回は何か落ちてましたか?」


 俺は鞄からチケットを取り出す。

 使用済みの映画の半券だ。


「今度は映画のチケットですか。彼女に、というより映画、もしくは映画館になにかが取り憑いていたのですかね?」

「そういうのは金を払った後にしてくれ」

「あぁ、失敬」


 俺は中洲座が取り出した封筒を受け取る。


「今回も前回同様追加で十万円で」

「二十万だ」

「え?」

「初回の予想より危険度が高い。俺の仕事も増えてるしな」


 俺はチラリとスクリーンを見る。映画の前の広告は既に終わり、そこには住宅街を歩く俺の後ろ姿が流れていた。


「分かりました……ただ生憎今は持ち合わせていませんので、足りない分は次回お渡ししますね」

「まぁ、良いだろう」

「にしても、また話と同様の現象ですか。これは本格的に調べたくなってきましたね……そういえば、来る途中で振り返ったり、してないですよね?」

「来る途中……いや、たしか一度振り返ったな」


 スクリーンを見る。歩いている俺は、歩行者信号が青になるのを待っている。


「あーそうそう、この後だ。クラクションが聞こえて振り返ったんだ」


 俺の言葉に続くようにクラクションが鳴り響き、スクリーンの俺が振り返——。


 その瞬間、視界が暗闇に包まれる。視界が中洲座の手によって遮られている。


「おい、どういうことだ」

「目を閉じて下さい。忠告は聞くべきですよ」

 

 俺は抵抗するのを止めて、言われた通り目を閉じる。

 しばらくそのままにしていると、背後から。


「チッ」


 と舌打ちが聞こえた。


「もう、大丈夫ですかね」

「なんなんだ、一体」


 目を開けると、もうモニターはなんの変哲もなさそうな映画に切り替わっていた。

 

「以前話したでしょう。目を合わせてはいけないし、電話に出て返事をしてはいけない。相手のトリガーを踏んだらおしまいです。守れないと、お話の女子高生の様になりますよ」

「つまり、なんだ。さっき振り返った俺と目が合ってたら死んでたと?」

「まぁ……死ぬ程度で済めば良いんですがね」


 俺は座席にドカッと音を鳴らして座る。


「え、観てくれます?」

「あんなことがあったんだ。今後のことについて話し合うぞ」

「そうですね。私も丁度収集に一区切りついたので、本格的に調査しましょうか」


 映画は、特になんの問題もなく終わり、俺たちは早々に映画館を出た。


「いやぁ、思ったより面白かったですねぇ!」

「そうか?」

「やっぱ、呪いの人形は良いですよね。もし見つけたらぜひ下さいね」

「……お前は、あの家について、何処まで知ってるんだ」


 中洲座は顎に手を当てて首を捻る。

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