前へ目次 次へ 8/30 通じない力 先手を取ったのはユウトだった。詠唱すらせず、最大級の火炎魔法を放つ。 だが―― 「遅い」 その一言と共に、魔物は“消えた”。 次の瞬間、ユウトの視界の端で騎士が吹き飛ばされる。 「なっ……!?」 初めてだった。攻撃が“見えない”。対応できない。 「それで終わりか、勇者」 嘲る声。ユウトは苛立ちのまま、さらに魔法を重ねる。 だが当たらない。避けられる。いなされる。 (なんで当たらねえんだよ……!) 理解が追いつかないまま、戦いは崩れ始めていた。