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強敵の気配
森の奥地へ進むにつれ、空気が変わっていった。これまでの討伐とは明らかに違う、張り詰めた緊張感。騎士たちも自然と無口になる。
「……妙ですね。魔物の数が減っている」
騎士の一人が呟く。普通なら増えるはずの領域で、逆に“いない”。それはつまり――上位存在の縄張りである証だった。
その時、不意に声が響いた。
「来たか、勇者」
振り向いた先にいたのは、人の形をした異形。黒い皮膚に鋭い目。明らかにこれまでの敵とは格が違う。
だがユウトは笑った。
「やっとマシなの来たじゃん」
その余裕が、まだ崩れることはなかった。




