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価値観の衝突

「観察ってなんだよ」


リナが苛立ちを隠さず言う。


少女は視線を逸らさない。


「強さを見るの。どこまで通じるか」


その言葉に、ユウトは眉をひそめる。


「人の命を試すためにか?」


「魔族にとっては普通よ」


あまりにもあっさりした答え。


ミリアが一歩前に出る。


「それは間違っています」


「間違い?」


少女は少しだけ首を傾げる。


「弱いものが死ぬ。それだけの話でしょ」


空気が張り詰める。


カレンが剣を抜く。


「なら、ここで証明してやる」


だがユウトは手で制した。


「……待て」


少女を見据える。


「お前は、本当にそれでいいのか」


その問いに、少女は初めてわずかに目を細めた。


「言葉じゃ分からないみたいね」


少女は一歩踏み出す。


「なら、見せて」


次の瞬間、空気が裂ける。


速い。先ほどの男とは違う、研ぎ澄まされた速度。


ユウトは即座に反応する。


剣で受けるが、衝撃は軽い。


(……軽い?)


だが次の一撃が来る。


連撃。正確で無駄がない。


カレンが割り込む。


「いい動きだな」


互角の打ち合い。


リナの支援が入り、ミリアが後方から援護する。


完全な連携。


それを見た少女の目が、わずかに揺れる。


「……なるほど」


戦いながら理解している。


“個”ではなく、“繋がり”の強さを。


戦闘は続くが、どこか決定打に欠ける。


互いに引かないが、致命傷も与えられない。


その中で、少女の動きがわずかに鈍る。


「……なんで」


小さな呟き。


ユウトは聞き逃さなかった。


「何がだ」


「どうして、庇うの」


リナを守るように動いたユウトの行動。


それが理解できないという顔。


ユウトは答える。


「仲間だからだ」


単純な理由。


だが少女は沈黙する。


その価値観は、彼女の中には存在しなかった。


戦闘は、ほぼ同時に止まった。


互いに距離を取る。


少女は剣を下ろした。


「……分からない」


正直な言葉だった。


「でも、興味はある」


ユウトを見る。


「あなたたちの強さが、どこから来てるのか」


カレンが警戒する。


「で?」


「しばらく観察させて」


とんでもない提案だった。


リナが即座に反発する。


「敵でしょ!?」


だがユウトは、少し考えた後に言う。


「……条件付きだ」


全員が彼を見る。


「仲間を傷つけないこと。それが守れるなら――来い」


少女は少しだけ驚いた顔をした。


そして、わずかに笑う。


「面白い人間ね」


こうして、敵だったはずの存在が。


新たな“歪な仲間”として加わることになる。

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