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もう一人の魔族
戦いの余韻が残る中、ユウトたちは森を抜けようとしていた。だが、背後から新たな気配が現れる。
「……逃がしたの?」
静かな声。振り向いた先にいたのは、一人の魔族の少女だった。
長い黒髪に冷たい瞳。先ほどの男とは違い、感情の揺れがほとんど見えない。
「あなたが、あれと戦った勇者?」
その視線がユウトに向けられる。
カレンが前に出る。
「敵か?」
「状況次第」
少女は淡々と答える。
「でも一つだけ確かね。あなたたち、弱くはない」
評価するような目。
それが逆に、不気味だった。
ユウトは剣を構えたまま言う。
「何者だ」
「……ただの観察者よ」
そう言いながらも、その気配は明らかに戦闘向きだった。
この出会いが、ただでは終わらないことは明白だった。




