05
その後、伊織さんと正式にお付き合いすることになった。
伊織さんは、大学受験で忙しいのに、息抜きと称して会ってくれたり、会えなかったら電話してくれたり。
順調に交際を続けている。
「…あ、優樹!」
「っ、は、ると…と、友哉…」
冬休みも終わり、3年生は受験真っ只中の1月。
伊織さんももうすぐ受験が迫っていて、学校に来るよりも予備校に通うことが多くなってて、学校で会うことが少なくなってきた。
そんな今日も、伊織さんは予備校で、僕は学校。
今日はこの後バイトがあるから、急いでたところに、晴人と友哉が現れた。
「な、に?」
「なにってなに?」
「ぇ、?」
「ずーっと僕たちのこと無視しといてさぁ、なに?ってなくない?」
「そっ、れは…」
「晴人、言い方」
「だってさぁ!」
晴人って、こんな喋り方だったっけ?
ああ、そうだ。
昔から、自分に不利になると癇癪を起こしてたっけ。
自分の思い通りにならないと怒る。自分が中心にいないと怒る。そんな子だった。
「っ、僕バイトあるからもう行くね」
「待ってよ!話終わってない!」
「…っ、いたっ」
正直、2人とは会いたくないし、話したくもないから早くこの場から逃げたくて。
バイトがあるのは本当だから、それを言い訳に逃げようと思ったのに、強い力で腕を掴まれて阻止された。
「ねぇ。なんで避けてるの?」
「………」
「僕が友哉と付き合ってるから?」
「っ!」
「だから避けてるの?」
「……っ」
「ねぇ、答えてよ」
「晴人!」
「友哉は黙ってて!」
な、に…これ。心臓、痛い。
あ、れ…上手く息、できない…。
「僕知ってるよ?優樹が友哉のこと好きなの」
「………」
「そりゃ、友哉と付き合ったのは悪いと思ってるよ?でもさ、仕方ないじゃん。僕も友哉もお互いが好きなんだからさ」
「っ………」
「それなのに、勝手に距離置いてさ」
「………」
わかってる…わかってるよ、お互いが好き合ってるのなんか。
でも、今の僕にはもう関係ないんだよ。
僕が2人を避けてるのは、ただ単にもう関わりたくないからなんだよ。
晴人も友哉も、僕が友哉を好きだったこと知ってるのも、気づいてたよ。
それでも付き合ったのはのは2人じゃん。
それなのに、なんで僕が悪いように言われないといけないの。
距離を置くように仕向けたのは、2人じゃんか。
「……ってたよ」
「え?」
「知ってたよ…2人が僕の気持ちに気づいてることくらい」
「………」
「それなのに付き合ったのは、2人じゃん」
「………」
「だったら、距離置くしかないじゃん」
「………」
「なのに、っなのになんで僕が責められないといけないの?!」
「優樹、」
「2人を避けてた理由?そんなの、もう関わりたくないからに決まってんじゃん!」
「っ、」
「これ以上僕を惨めにさせないでよ!!僕はっ!!…僕は、2人のおもちゃじゃないんだよ…っ」
「っ…、」
「もう…僕に関わらないで…」
「優樹、」
「…っ、さようなら」
「優樹っ!!」
苦しい。苦しい。つらい。悲しい。
友達だった。幼馴染だった。一番仲良かったんだ、2人とは。
きっと、ずっと友達だと思ってた。
僕が友哉を好きにならなければ。
きっと今でも友達だった。
2人が付き合うのも、祝福出来てた。
ああ…そうか…僕が好きになったのがいけなかったんだ。そっか…好きになんか、ならなければ良かったんだ…。
2人に当たり散らして、そういう原因作ったのは、僕じゃないか…自業自得だ。
「っ、はは…、馬鹿みたいだ…っ」
苦しい。つらい。悲しい。
伊織さん。伊織さんに会いたい。伊織さん。
「いおり、さん…っ」




