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「駅前にさ、新しいラーメン屋できたのよ」

「へぇ」

「そこの塩ラーメンが美味しいらしくてさ、食べたくて」

「小川さん塩ラーメン好きですね」

「うん。ラーメンの中で一番好き」





着替えてから一緒に駅前に新しくできたラーメン屋さんに向かう。

小川さんは僕より30cm大きくて、いつも僕が見上げる形になってる。

見上げるたびに、まつ毛長いなとか、鼻筋通っててイケメンだなとか、なんか思っちゃって。





「…斎藤くん」

「え、あ、はい?」

「…そんなに見つめてなぁに?」

「え?あ、…いえ」





イケメンだなとか何考えてるんだろ、僕。

いや、イケメンだけど、イケメンだけど!人の顔じーっと見るとか、何考えてるの、僕。


じーっと見てたことが恥ずかしくて、今度はまともに顔が見れなくなった。




そのままラーメン屋さんについて、小川さんは塩ラーメン、僕は味噌ラーメンを頼んで、美味しい美味しいと言いながら食べた。





「はー、美味しかったー。当たりだね、このお店」

「そうですね」

「あ、斎藤くんこの後時間あったりする?」

「?はい。ありますよ」

「ちょっと寄りたいところあるんだけど付き合ってもらってもいい?」

「はい」





ラーメンも食べ終わって帰ろうかって時に、小川さんからの追加のお誘い。

断る理由もないし、なんだったらもうちょっと一緒にいたいかも…?とか思っちゃってるし。





「本屋さん?」

「そう。今読んでる小説の新刊出たからさ、欲しくて」

「小説読んでるんですか?」

「うん。恋愛小説」

「え、意外…」

「そう?」

「はい」





へぇ…小説とか読むんだ。いや、偏見とかではないけど、小説より漫画読んでそうなイメージあったから、意外だ。





「斎藤くんは?小説とか読まないの?」

「読みますけど…恋愛小説は読んだことないです」

「まじ?おすすめだよ?」

「…今度読んでみます」

「うんうん。きゅんとしたりぎゅってしたりするよー」

「…きゅんはわかりますけど、ぎゅってなんですか」

「ぎゅっは、ぎゅっだよ」

「ぎゅっ…」

「そう、ぎゅっ。こう、心臓をぎゅってされる感じ」

「………?」





小川さんの言葉遣いは不思議だな…でもなんか楽しいな。

この時間がもう少し続いたらいいのにな…なんて。

でも、この夏休みが終わったら、小川さんはバイトを辞める。

今年受験生だから、もうそろそろ勉強しないとダメで、バイトどころではない。

だから、こうやって過ごせるのはこの夏休みの間だけ。

学校が始まったら、もしかしたら学校で会えるかもしれないけど、ただのバイト仲間だし、ただの後輩だし。





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