悪女の幽閉
「へえ、幽閉ね」
三人の頭が高速で回転する。
脳筋のマリユスでさえ、ユフィーレの言葉の意味を掴もうと頭を回した。
最初にユフィーレの求めるものを察したオスカーが口を開く。
「ならそうしよう」
「おい、オスカー!?」
ユフィーレはにやりと笑い、ニコラはハッとなにかに気付き、マリユスはオスカーを咎めるように大声で叫ぶ。
同盟国から輿入れしてきた姫をいきなり幽閉などあり得ない。
だが、それこそがユフィーレの求めるものだ。
オスカーはその「あり得ない」話にユフィーレが「ワケあり」だと気付いて、ユフィーレのために幽閉を決めたのだ。
それに気付いたニコラもオスカーに追従する。
「オスカー、離宮の支度を。結界を張り巡らすのも忘れずにね」
「はーい、結界は任せてよ!」
「ま、そうなりますわよね?お互い都合がいいもの」
ユフィーレもご満悦である。
「ただし、絶対に失礼のないように。最高の調度品、最高の料理長、最高のメイドと侍女。すべて手配しろ。第二妃殿下のご要望は全て叶えろ」
「…あら?」
ユフィーレはオスカーの言葉に目を丸くした。
そんな扱いを受けるつもりはなかったのだが。
「私の思惑と違いますわ…?」
「なにがや、下手な扱いされるよりいいじゃろ」
やっとオスカーとニコラの思惑に思い至ったマリユスもそれにようやく乗っかる。
こうしてユフィーレはエトワール王国に嫁いでそうそうに、豪華に整えられた離宮に「幽閉」されることになったのである。
「ねえ、三人とも。一応俺はちゃんとユフィーレさんと仲良くなろうと思ってたんだけど」
「うん」
「何考えてるの?」
「そうです、輿入れ早々に幽閉なんて!」
ノアとアリスの抗議の声にオスカーとニコラとマリユスは困ったように言った。
「それが本人の望みなんだから、仕方ないじゃないか」
「それはそうかもしれないけど、でも」
「ワケありみたいだし、むしろ結界を張り巡らせた離宮の方が安全でいいんじゃない?本人も満足してるんだしさ」
オスカーとニコラの言葉にノアとアリスは困ったように顔を見合わせる。
「ノア殿下、許してや。ユフィーレ殿下の望みを叶えるのもわしらの仕事やき」
「それは…」
「気になるなら定期的にユフィーレ殿下に接触して、ノア殿下に様子を知らせるきに。アリス殿下にも。それでええな?」
「う…」
有無を言わせずに納得させようとしてくる三人に、いつも三人に助けられているノアとアリスもタジタジだ。
「ま、安心してよ。離宮の手配は完璧だ。ユフィーレ殿下に不満を持たれない程度にはね」
「…わかったよ、そのかわりちゃんと定期的に報告してね?」
「うん、もちろん」
こうしてユフィーレの幽閉は確定した。




