魅了解除の香水
「じゃあ魅了魔術をかけるよ。覚悟はいいかい?マリユス」
「おう、ユフィーレ殿下のためじゃ!どんとこい!」
ニコラが術をかけると、それまで豪快に笑っていたマリユスから笑みが消える。
一瞬の真顔の後、頬を染めるマリユス。
「…ああ、ニコラ。お前は本当に美しい…わし、お前にわしの剣も財産も全て捧げるきに…」
「わあ、見事に掛かってるねえ」
ニコラはケタケタ笑うが、マリユスはそれすら愛おしいと興奮するばかり。
「わあ…ねえユフィーレ殿下。この状況録画魔術で残していい?面白い」
オスカーがそう言うと、ユフィーレは首を横に振った。
「ダメよ、マリユスは善意で協力してくれているんだから」
「わかったよ、面白いけど僕たちだけの思い出にしておこう」
「さあ、マリユス。こちらを向いて」
「なんじゃ、わしはニコラと…」
ユフィーレは自分にシュッと魅了解除の薔薇の香水を吹きかけて、その香りをマリユスに届ける。
すると…マリユスがスンッと真顔になった。
「………わし、わしはなにを」
マリユスはニコラに言い寄っていた自分を思い出して悶絶する。
オスカーとニコラはそれに爆笑していた。
ユフィーレはにんまり笑う。
「魅了解除の香水、大成功ですわ!」
「あはははは!見事だね!魅了魔術が解けるのを感じたよ!」
「スンッて、表情が抜けたね。ふ、ふふっ。ああ、いや、ご苦労様、マリユス」
「このっ…斬り捨ててやろうか貴様ら!ユフィーレ殿下以外許さんきに!」
「まあまあ、これで魅了解除の香水の効果も確かめられたんだからそう怒らないで」
マリユスを宥めるオスカー。
ニコラもその様子を楽しげに見つめる。
ユフィーレは、香水を大切そうに抱きしめた。
「やっと…やっと妹の影に怯えなくて済むのね」
「ユフィーレ殿下…」
「嬉しい、嬉しいわ。三人とも、助けてくれてありがとう」
涙目でお礼を言うユフィーレに、オスカーもニコラもマリユスも穏やかな表情になる。
「…よかったね、ユフィーレ殿下。これで貴女は自由だ」
「君を助けられたならよかった」
「わしも身体を張った甲斐はあったきに」
「本当にありがとう。さあ、量産してノア殿下やアリス殿下にも届けなくちゃ。あ、国王陛下と王妃殿下にもね」
「そうだね、すぐに取り掛かろう!」
こうして国王と王妃、ノアとアリスにも魅了解除の香水が届けられた。
悪女ユフィーレの、その真実と共に。
「ユフィーレさん、そんな目に遭ってたんだ…」
「そんな…それなのに、私たちにまでこの香水を…」
ノアとアリスはユフィーレの悲劇と献身に感動して、妹からユフィーレを守ると誓った。




