踏破訓練
ギルド対抗の踏破訓練。
簡単にいうと、主に新人や新規のチームたちを集めて競争しようという企画だ。
もちろん観客もいるし、参加賞に賞金もでる。
「これで登録完了です。当日は時間厳守でお願いします」
実はこういった企画、そこそこの頻度で開催されて街を盛り上げるのに一役買っている。
私たちも結成3年以内のチームの枠で出場することにしたのだ。
「ウチらはさ、子供の頃に旅行で来た時にたまたま見て、カッコイイー! って憧れたんだよ」
「それで今に至るのさ」
「アタシは出る側だったよ」
それぞれ、ミナ、ヨアンナ、アイフェ談だ。
私は出たことも見たこともないので、ただただワクワクしている。
(どうせなら1位取ってみたいな)
「どんなことやるの?」
「今回は・・・・・・一番奥に置いてある金のタマゴの回収だって。他のチームと争奪ではないみたい」
「各チーム1つずつは用意されてるってことね」
配られたルールの書かれた紙を読みながら2人が教えてくれる。
どんなことをやるのか緊張とワクワクが半分ずつの心の中、数日後に当日を迎えた。
『新規チーム対抗訓練観戦 S席500ゴールド、A席300、B席200、各空きあり』
家から40分歩いて街の郊外に。
看板があり、テントで席のチケットが売られているようだ。いろんな席があるらしい。
「アタシの国の協賛でね、今年から大規模訓練は闘技場に映るんだ」
「そうなの?」
「うん。今度見に行こう。アタシの国の有名な劇も見られるから!」
現地で合流したみんなと受付を済ませ、身体検査を終え、くじ引き抽選の結果私たちは一番目にやることになった。
広い洞窟の中、左右には魔法で強化された仕切り壁で観客席が設置されている。
人影だけ見えるが、歓声も聞こえないし、こちらからは観客席の顔を伺えないようにぼやける加工がされている。
郊外に作られたとても広い石造りでできた建物。ここが訓練場の中だ。
『では開始までカウントダウン。3、2、1、スタート!』
目の前は1部屋目。
魔光石の緑色の薄明かりが照らす中、4人で両開きのドアを開いた。
「ジャイアントスライムだ!」
アイフェが叫ぶ。部屋のドアを開けるなり中央にそれは天井から落ちてきた。
大きさは2mくらい。緑色の特大ゼリーだ。
すぐさま近寄って、ヨアンナが剣で切りつけた。
緑の水しぶきが飛び散る。
しかし、地面に飛び散ったスライムはすぐに中央の一番多いところに集合して元に戻り、柔らかなゼリーは意思を持ったように、ヨアンナの腕を鞭のようにして叩いた。
「よぉっと」
硬質化したスライムをヨアンナはしっかり盾で防御した。
「ヨアンナ、剣は効かない! 防御に徹して!」
「わかった!」
魔物に関しての知識はアイフェのほうが上だ。
そう考え、私は援護することに決める。
「アイフェ、弱点を教えて」
「凍らせるのが1番早いんだけど―炎で蒸発させるのもアリ!」
「凍らせる、のは私にはできないけど炎なら!」
「五感は人間より鋭くないけど、魔法に反応するから、ヨアンナしっかりひきつけて!」
「あいよぉ!」
ヨアンナは取り込まれない程度に近づいて、防御。このタイプの魔物は窒息させられるのが一番危険だった。
ミナも散開して、背後? を取ろうとしている。
「襲い掛かれ猛き炎よ!」
「アタシのも食らえぇ!」
杖から噴き出た細い炎。
私の力ではこれが精いっぱい。
そしてアイフェの放った石から炎が出る。
どちらもスライムに直撃したが、その体を10分の1くらい、少し蒸発させたくらいだ。
「時間かかりそ。ミナー、先に行けそうなら見てきて~」
「わかった!」
回り込んで次のドアを開けにいったミナ。
「お腹空いてきたよ。ちょっと補給するね」
アイフェと私の魔法でスライムをビシバシすること暫く。ようやくスライムの大きさは4分の1くらいになった。
ここで私はポーチから取り出したドリンクタイプの魔力補給剤を飲み干す。
口の中にすんごい甘い味が広がった。様々な果物から色々を抽出したちょっと高価な飲みやすいものだった。
「次の部屋には鎧と箱があったよ!」
ドアを開けて中を覗き込んだミナが叫んでくる。
奥に居たのは剣と盾を持った銀の鎧らしい。
どうやら今回の私たちチームに当てられたのは魔法で動いているものたち。
いわゆる魔法生物と呼ばれるものだった。
「たぶんアーマーナイトか、アイツまともにやると強いんだよなぁ」
「弱点は?」
「魔力を使い切らせるのに、関節部分を攻撃するのが有効、とは言われてるけど」
「アイフェは倒したことはないってこと?」
「うん。重いからか動きが比較的遅いし、足止めするタイプの魔法とか奇跡で止めちゃえばいいから」
2分後。スライムは完全に蒸発した。




