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新米魔法使いの生きる道 その2  作者: GANON


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ヒールポーション

 私たち4人はギルドの2階会議室へと集められた。

 今は、ある露店の薬屋の品質が問題となっているようだ。

 ギルド長補佐のロウポゼさんから詳しい話があった。


「今回調べてもらいたいのは、一部ヒールポーションの質が低いことが問題になっている。国の補助によりヒールポーションの値段は100ゴールド以下で販売できるよう、売った分だけ国から補償金が支払われる。どうやら安く仕上げた品質以下の物を売って、不当に補償金を得ているらしい」


 依頼、ではなく、これはギルドに所属している人には参加が必須の仕事だった。

 もちろん直接解決してもあんまりお金は出ないが、冒険者として放置できない問題は協力しなければならない。


「とりあえず色々な店で片っ端からヒールポーションを買ってきて欲しい。著しく低品質の店が怪しい」

「わかりました」


 会議室でのやり取りが終わり、ギルドの1階ロビーから外へと出る。


「これってさ、もし色んな店のやつがダメだったらどうなるんだろ?」


 私はアイフェに聞いてみる。


「お店の信用もあるし、普通はそんなことしているところは無いと思うけども。もし、複数の店がやっていたら・・・・・・考えたくはないね」


 とりあえず、私たちはギルドから最寄りのフミワの薬屋へと向かった。


「まずは1本、信用できそうな場所で買ってみよう」


 というミナの提案で、1件目はセローさんたちと何度か買い物をした薬屋にしたのだ。


「えっと、ヒールポーションを1本」

「はい。70ゴールド」


 店員の男の人に注文すると、両手で包めるくらいのガラスの小瓶に入った薄い緑色のポーションを渡される。


「アイフェちゃん」

「はいよ」


 その瓶にフミワと書いた紙を貼り付けて、アイフェはカバンへと入れた。

 そのあとも何件か薬屋を渡り歩いて、6本になった。

 もうアイフェのカバンはパンパンだ。


「どうして問題のあるポーションがあるってわかったんだろう?」

「同一品質かを調べる魔石っていうのがアタシの国では量産されてるから。それを使ったんじゃないかな?」


 そうして歩き回ること2時間ちょっと、ついに怪しい店を発見した。治安の悪い裏通りに近いところの露店だった。


(ここ、明らかに安い・・・・・・)


 木箱に入った薄緑色のポーションの値札は30ゴールドだ。

 他店の半額に近い。1本買う。


「まいどあり」

「さて、買うもん買ったしもう帰ろうか」


 私が手でポーションを持って4人揃って路地から出た。

 ギルドに戻る。


「レイチェルはさあ、ヒールポーションの作り方って知ってる?」

「ううん、知らないけど」

「いろんな薬草入れて煮込んでさ、一定以上水気がなくなったら完成なのよ」

「じゃあ、これはダメなんだ」


 ギルドに戻って、ポーションをよく見てみた。

 露店で買ったヒールポーションは水っぽい気がする。


「原理はよくはわかってないんだけど・・・・・・」


 アイフェは説明してくれた。

 まず、水みたいな飲み物をボコボコ沸騰するくらいにアツアツにする。

 それを冷やして、漏斗で瓶に詰めて、しっかり蓋をするとお腹を壊さず飲める期間が長くなるらしい。


「前に実験に付き合ったことがあってさ。猛毒を常温、一回凍らせたやつ、一回沸騰させたやつって3人に飲ませたんだ。全員重罪人だけどね」

「全員死んじゃった?」

「それが今の話につながるんだけど、沸騰させたやつは大丈夫だったんだよね」

「それで?」

「あ~・・・・・・要は毒の部分が飛んでるんだよ。たしか、本来、ポーションは煮込まないで生のままだと毒ってこと」

「へー」

「水っぽいやつはちゃんと沸騰させてないんじゃないかな? この薬、普通の水より火力が出ないと簡単には沸騰しないから」


 どうやら素人が材料だけ混ぜて、そのまま完成したものを売っているみたいだ。

 手口は簡単なものだった。


「どう報告しようか?」

「裏通り近くの露店でしょ? そこだっていえば?」

「あの店、見た感じ不定期で出てる店だよ。現場をいきなり押さえないといけないと思う」


 ギルド長補佐に報告したところ、私たちに張り込みの依頼が正式に付与された。

 ここからはお給料が発生するらしい。

 数日後、朝の巡回で例の露店が出ているという報告があった。


『聞こえますか~? レイチェル』


「聞こえるよアイフェ~」


 アイフェから、ある魔具を借りた。

 これは持ち手があって、左右に声を伝える機能が備わっている金属の太い棒だ。

 一区画分ほど遠くまで聞こえるらしく、私たちは店に気づかれないように離れた場所から、売っている現場を確認しなければならない。

 魔具はかなり重たくて、両手で何とか耳と口に添えている状態。

 私とヨアンナのコンビは、後方で待機し、売っているとなった時点でギルドに報告。

 人員を増やし、一気に制圧して捕まえる。


『今ミナが店を発見、・・・・・・合図が来た。売ってる!』


「わかった。ヨアンナ、ゴー」


 私が横にいたヨアンナに合図する。ヨアンナがベテラン冒険者3人を連れて現地へと向かう。

 アイフェとミナは売っていることを確認し、こちらに伝え、店の人たちを足止めする係。

 確証が得られ次第、アイフェから私に連絡がきて、さらに応援を送る形になっていた。

 30分後。


「痛ってぇ」


 ヨアンナは店員を捕まえる際に抵抗され、腕に切り傷を負ってしまった。

 捕まった店員たちは背後にいる組織があることを匂わせ、取り調べになっているらしい。

 今回の顛末はこうだ。

 露店は安いものだと思っている初心者冒険者が買って、いざ使うとなった時に傷が治らなかった。

 それどころか、謎の体調不良を訴えるものが出た。

 一般的なポーションの使用方法は飲む、または塗り込む。

 ここ数か月、ポーションで傷を治そうとしたという初心者の依頼失敗が多発していたのだ。

 幸いにも死者こそ出ていなかったようだが。

 そしてベテランの冒険者からそんな体調不良の訴えは無かったそうで。

 それを不信に思ったギルドが調査したところ、出所不明のポーションを持ち込んでいたというものだった。


「あーあ。国への不利益に嘘なんて処刑ものでしょ?」

「どうなんだろう?」


 そこまで厳しいものなのだろうか?


「アタシの国だったら確実に処刑だね」


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