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新米魔法使いの生きる道 その2  作者: GANON


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3/10

魔物襲来

「・・・・・・何か来てるよ!」

 

 ミナが空を指さす。

 先ほど火を焚いて、煙が出たせいか魔物が集まってきたようだ。


「レイチェル! 狙われてる!」


 私の腕の横を弓矢がピュと通り過ぎる。

 フォークほどの小さい矢だった。


「リトルデビルだ。毒の弓矢に気を付けて!」

「っていっても、空に浮いてたらあたいたちは防御しかできないよ! チェル、アイフェ、頼んだ!」


 敵は空中に浮いていた。数は2体。

 見た目は子供くらいの大きさ。背中から黒い羽が生えていて、それで空を飛んでいる。

 常にゆがんだ笑顔を浮かべるやつらの長い足の指先に弦がついていて、そこに矢をつがえて撃ってくる。


「ミナ! 前頼んだ!」


 アイフェはスリングを構える。

 私は杖を構える。

 

(こういう敵には・・・・・・風の魔法で態勢を崩す!)


 羽で飛んでいるということは、それでバランスをとっているということ。

 アイフェに向けて矢が放たれる。

 それをミナが短剣を投げて弾いてとばす。短剣には紐がついていて回収できるのだ。

 アイフェはスリングから魔石を飛ばし、次弾をつがえているリトルデビルにぶつけた。

 バァンと爆発が起こり、リトルデビルは肉塊となった。

 爆発の風圧でもう一体のリトルデビルも体制を崩して、矢を撃てなくなっていた。


「風よ! 思いのとおりに吹け!」


 私はリトルデビルの上からかぶせるようにして風を吹きかける。

 案の定、上から押しつぶされたようにリトルデビルは墜落した。

 そこにヨアンナが一気に距離を詰めて一撃。

 両方のリトルデビルは息絶えた。


「・・・・・・平気そうか?」

「もう大丈夫。デイビスはさっさとやって!」

「わかってる!」


 アイフェは年上に対しても口調は変わらない。

 デイビスは巣の下に焚き木を組み、延々と煙で巣をいぶした。


縄梯子なわばしご、それに木箱をいくつか持ってきてくれ」

「はいよ! 聞いたね? ミナとアイフェは後始末と護衛、あたいとチェルが荷物を取ってくる!」


 ヨアンナの指示に従い、私たちはキャンプへと戻る。

 戻る道中、


『フゥー、フゥー』


 木の影から現れた猪とばったり出くわしてしまった。

 急に人をみて驚いたのか、猪は突進をしてきた。

 その突進をヨアンナは盾で受け止め、手甲のついた腕で頭を殴りつける。

 脳天に一撃を食らった猪は我に返り、どこかへ逃げて行った。


「木箱、木箱・・・・・・どのサイズがいいと思う?」

「うーん、これかなぁ」


 私は肩幅より少し小さめの木箱を重ねて3つ持つ。

 ヨアンナは木箱に加え、長い縄梯子を肩に担ぐ。

 急ぎ、巣のところまで戻った。


「2人、えーとミナちゃんは確定で、崖の上に登る人を決めて欲しい」


 チラリとヨアンナに顔を見られて、私はブンブンと横に首を振った。


「じゃあアイフェ」

「ほい」


 ミナが選ばれた理由はすぐにわかった。

 まず、回り込み遠回りして3人は崖の上へ。

 私とヨアンナは下で待機。

 アイフェが松明で、荒ぶる蜂たちを追い払う。

 既にだいぶん勢いは弱くなっているが、できるだけ払う。


「今だ」


 ミナが合図とともに崖から垂らした縄梯子を降りる。木箱を片手に。

 デイビスはその上から、巣を斧のようなもので叩き割る。怒った蜂はものすごい勢いでデイビスへと襲い掛かる。

 それをアイフェが近くで松明を振り追い払う。

 破片をミナが受け取って木箱に回収。するすると縄梯子を降りてくるミナ。

 木箱をヨアンナがもらい、空き箱を渡す。

 ミナは上に戻っていった。


(うわ! 気持ち悪!)


 巣の破片には大量の幼虫が入っていた。もぞもぞと蠢いている。弱った成虫もだ。

 この中からひときわ大きい茶色い線の入った成虫がいるそうだ。

 それを殺してしまえば、巣は抵抗をやめ、蜂は四散するという。


「ヨアンナ」

「何?」

「平気なの?」

「全然大丈夫だよ」


 ヨアンナは革の手袋越しに幼虫をつまみ、空き箱に入れている。

 この幼虫も食べられるらしい。どうやって食べるのか想像もしたくなかったが。

 私も、気持ち悪いという感情を抑えながらなんとか選別に入る。


「これがハチミツ」


 巣の六角形のなかに入った黄色いドロリとした液体。

 それがほぼすべての区画に入っていた。


「! いた! これが女王ってやつだろ!」


 ヨアンナはナイフでひときわデカイそいつを潰した。

 その瞬間。


「お、やったかな? これで楽になるよ!」


 デイビスが叫んでくる。

 そのあとは無事に巣をすべて取り切り、あとは中の蜂蜜をとるだけになっている。


「はー痛い痛い」

「薬をどーぞ」

「ありがとう」


 デイビスは、弱っていたとはいえ、蜂の残党に刺されまくっていた。

 そのすべての針を毛抜きで抜き、薬を塗りこみ、飲み薬を飲ませてテントで安静にさせた。

 幸い、私たち4人はまるで刺されていなかった。完全にデイビスだけが狙われていたのだ。


「まあいつもこんなもんさ。やり方を教えるから僕が寝ている間やってみて」

「わかった」


 巣を圧搾機にセットして、ハンドルを回すと、巣が潰れて粉々になった巣と蜂蜜が出てくる。

 それをさらに網などがある濾し機に流し込むと、巣など不純物がとれ、さらに分離機を回すことで純粋な蜂蜜が出来上がった。

 それを樽に移し、保管。

 一晩をテントで過ごし、翌朝には大量の瓶を積んだ馬車が来て、樽から移し替えた。

 その場でデイビスは現金のやり取りをしていた。おそらくそこで商人が買い取ったのだろう。

 これで荷物をまとめて帰るだけだ。

 さらに後から来た別の馬車に乗って街へと帰り、今回の仕事は終わり、報酬金を受け取ったのだった。



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