第80話 終戦
夜間続いた主砲発射音。
反乱軍本営群の全喪失。
眼前に主砲を向けている大和。
反乱軍の陣地にざわめきが広がっていった。
後方に布陣していた帝国軍はなく、焼け野原が広がっていた。
指揮系統を失い反乱軍は大混乱に陥っていた。
「モルグレンは死んだみたいだぜ」
「俺たちを戦わせて高みの見物をしていた貴族どもは皆、戦死だとよ」
「ざまぁねぇな」
反乱軍の兵士たちは鬱憤を吐き出していた。
午前八時——
王国軍と反乱軍との折衝が行われる。
午前十時——
反乱軍は武装解除して降伏した。
◆ ◆ ◆
本営より騎士が一騎かけてきた。
騎士は馬上より終戦の報を告げ去っていった。
戦いは終わったのだ。
「終わったのじゃ」
カルラは無邪気に喜んだ。
「よかったです」
レイナは胸をなで下ろした。
だが、艦橋の空気は重苦しかった。
私は口を開いた。
「では、補給物資を降ろしましょう」
「抗生、鎮痛ポーションなどの医療品から始めます」
「ミケケ、レイナは医療品を降ろしたら負傷者の治療に向かってください」
「わかったにゃ」「はい、ミサカさま」
「ヴィヴィ、カルラ、ナターシャは積み降ろし作業をお願いします」
「まかせて」「わかったのじゃ」「あいよ」
補給物資の積み下ろし作業が始まった。
王国騎士団を中心とする5000名の王国将兵が補給物資を受け取っている。
王国騎士団長アベルトは馬上から私に叫んだ。
「ミサカ卿、今回は本当にありがとうございました」
そして、アベルトは深々と頭を下げた。
私は扶桑式敬礼で応じた。
補給物資を受け取ると、5000名の王国将兵たちはモンデール州の制圧とラルザス帝国との国境を固めるために出陣していった。
◆ ◆ ◆
正午——
「ヴィヴィ、カルラ。ミケケとレイナの応援に向かってください」
「わかったよ」「わかったのじゃ」
ふたりは返事するとタラップを降りて行った。
後部甲板に私とナターシャが残った。
二人は後部甲板から眺めていた。
夏の日差しが肌を焼く。
反乱軍の本営があった場所は焼け落ち、周りは黒ずんでいた。
兵士たちの笑い声が聞こえる。
「熱いのさ」
ナターシャは呟く。
「そうね」
私は返す。
「見ないと——」
私は呟く。
ナターシャは無言のまま私を見つめた。
「私がしたことを——」
「わかった」
ナターシャは静かに言った。
ナターシャはグラビティロッドに跨ると私に後ろに乗るように促した。
私はナターシャの後ろに跨った。
二人はゆっくりと浮上した。
「ミサカと二人で乗るのは初めてなのさ」
「そういえばそうね」
「ミサカ、そんな乗り方では速度を出せないのさ。あたいに抱きつくのさ」
「わかった」
私はナターシャに抱きついた。
「ぁぁ~!」
ナターシャの甘い声。
「ご、ごめん」
「冗談なのさ」
ナターシャは振り向き妖艶な瞳で私を見た。
「もぅぅ」
私は頬を膨らませる。
「あはは」
ナターシャは笑うと、高く飛び上がった。
そして、帝国軍が布陣していた場所へ向かった。
続く




