219話 撃たれたっていい
ラッキースケベとは違い、互いの意思が合致した結果の現状。
響は抑えられなくなりそうな気持ちをグッと抑え、菖蒲の肩に優しく触れる。
「っど、どうです?待望の乙女の肌に触れた感想は?」
「…肩は別に新鮮味は無いな」
『それもそうですね』とクスクスと笑う菖蒲は、響の顔を優しく包む。
幼さの中に見え隠れする少し大人な部分に、ギャップを感じながら、菖蒲の手から伝わる体温を感じていた。
「手、熱くないか?熱でもあるんじゃないよな?」
「っただ緊張してるだけです!今はパーフェクト菖蒲状態なのでお気にせずっ」
菖蒲曰く、今は『パーフェクト菖蒲状態』のため懸念する必要はないらしい。
菖蒲の体温を測ろうと、おでこに当てた手のひらで菖蒲は自分の顔を隠す。
「響さんも十分熱いですよっ」
「やっぱりか?この部屋やけに熱い気がしてな」
パタパタと服に空気を入れる響を見兼ねた菖蒲は、響の館内着の帯を引っ張る。
中は特に何も着ておらず、響の磨かれてもない平凡な腹部が菖蒲の面前に広げられる。
「…こっちの方が涼しいんじゃ…っあ」
菖蒲は響の腹部を見ると、動きが止まる。
「お、忘れてた」
響はひと月前ほど、日本人では珍しく銃で撃たれていた。
その弾痕は今も消えておらず、温泉に入る時には少し大きめの絆創膏で隠していたのだが、色々とバタバタとしており、貼り直すのを忘れていた。
「っまだ、痛みますか?」
「いいや、全然。ほら、こんだけ叩いてもへっちゃらだぞっ」
響は弾痕を軽く叩いて見せるが、菖蒲は痛々しそうに見ているだけで、まだ安心はしていないようだった。
「菖蒲、触ってみるか?」
「っ私がですか!?っむ、無理無理無理です!!響さんにトドメをさしてしまうかもしれませんしっ!」
「どんな強さで触るつもりなんだ?」
菖蒲は終始首を振っていたが、響が半ば無理やり手を引っ張ると、フェザータッチで優しく触れた。
「っほんとのほんとに痛くありませんか?」
「ほんとのほんとに痛くないから安心してくれ」
菖蒲は優しく触れると、コツンと頭を響の腹部に預ける。
「やっぱり響さんは優しいですね。謝罪はこれ以上いらないと言っていたので、今は感謝だけ言わせてもらいます、いつもありがとうございますっ」
響の言葉を覚えていたらしく、菖蒲は微笑みながら心からの感謝を伝えてくれる。
この可愛さのためならマシンガンにでも撃たれてもいいと思った。
いや、やはり痛いのはこれ以上は勘弁してほしい。




