1-3-6:1対3の最初の模擬戦⑤
カルテットとの模擬戦は2分で終わった。
カルテットの表情は茫然とただ悔しいと言う面持ちだった。
そんな馬鹿なと…
自分ではこの程度なのかと…
そんなカルテットにアシュレイは声を掛ける。
「これでお前は撃墜となった。…お前には足りないものがある。…道は示すがそれに気付けるかはお前次第だ」
「たりない、もの…」
そう声を零すカルテット。
撃墜になった以上カルテットは戦線退場となる。だから離れるように指示を出した。
その指示に無言で頷き離れるカルテット。
「……さて残り二人は、っと!?」
一瞬僅かに肌を刺すような違和感を感じた。
そして感じた方に意識を向けた瞬間、一条の魔力弾がアシュレイの頭部に向けて放たれてきた。
放たれた魔力弾を左手の魔導剣=バベルで切り払った。
(初撃に頭を狙って来るか…。正確なスナイプショットに狙撃後の位置を特定できない様にする恐らくは身を隠す技術だろう。いい腕をしている。……この技法は初音ではないな、となると――)
狙撃をした人物。
恐らくはミツキ・ファン・トリニティの仕業だと把握する。
精密な狙撃だった。
だからこそ気付けたとも言えるが。
どこか躊躇いの様なものが肌に感じたのだ。
(どこだ…)
狙撃してきた相手であるトリニティを狙撃してきた角度から探すが、視界には何も映らない。
姿を隠しての狙撃かと考え、一対一なら問題ないが、襲わくと言う確信をもって相手は二人だ。姿を隠しての狙撃は複数対一では厄介だ。
推察したアシュレイの前に相方である【魔杖】を構えた初音が立ち塞がった。
此方の視線を塞ぐ様に立つ初音。
恐らくすでに狙撃手は動いているだろう。
そしてそれを邪魔する為するように塞いでいる。
どうやら初音とトリニティは組んで挑むようだ。
連携面を把握できると思いつつ面前の初音に集中する。
無論周辺にも意識を割く。
確かに精密で正確な狙撃だが、攻撃の瞬間には攻撃の予兆を感じ取ることが出来る。
相手に撃ち込む事に戸惑いがあるのだろう。
傷付ける事に躊躇していると言った所だろうか。
その辺は減点だ。
相手を傷つける事を恐れる者に、自分や他の者を傷付けない様にすることは出来ない。
その点では最後に殺す覚悟を込めた一撃を放ったカルテットは問題はないだろう。
だからこそ合格点だと言ったのだから。
「あら。私を目の前にしてミツキばっかりに目を向けるなんてダメだと思いますよ先生」
「初音を蔑ろにはしていないがな。まあいいか」
とにかく今は初音に集中しよう。
数か月間に教えていたのは基礎部分と初音の個性を生かす術を伝えた事だ。
ふと初音の持つ【魔杖】に目を向け質問した。
「…初音?お前の【魔装】だが変わった形と言うか、初音が好きなアニメに出てくる奴に似ている気がするな」
「はい。その通りです。まだ名を付けていませんが、魔法と言えば杖。これは魔法少女としてなくてはならないものです!そしてッ……杖は魔法を撃つばかりではありませんよ!」
そう宣言した次には初音が【魔杖】を横に振るう。
【魔杖】の先端から光の刃が放射された。
掃射された光の刃を魔導剣で切り払う。
「光の刃か」
「あら、”光”だけではありませんよ!”フレイムバレット”!!」
初音が距離を取るため移動しながら【魔杖】を向けつつ今度は炎弾を4発撃ち放つ。
初音は属性変換能力が高い。それに広域に魔法展開する技術もある。ただ広域展開は時間が掛かるので今回は使って来ないだろう。
迫る炎弾を躱したり魔導剣で切り伏せる。
そして初音との距離を開けるのは得策と言えない。
なので距離を縮めようとしたその瞬間、狙撃の予兆の感覚がした。
此方の移動を妨害する目的か足を狙てきた。
撃たれる魔法弾を躱す。そして目線を向けず撃って来た方角に当たりを付け右の魔導銃=フェイズを向け魔法弾を撃ち込んだ。
姿は見えないが慌てた感覚が撃った方角にした。
「ミツキは討たせませんよ先生!”エンゼルフェザー”ぁ!!」
初音が【魔杖】を撃ち込んだ方向に向け、まるで光の羽の様な守りを作った。
そして放った魔弾は光の羽に阻まれた。
だがそれは想定内。
目的は一瞬でも相手の行動を妨げる事にあった。
一気に初音に迫る。
接近された初音は瞬間驚きの表情だったが、直ぐに笑みに変わる。
「…油断大敵ですよ、先生っ!”ミツキ”!」
魔導剣で斬りつけようとしたがまたトリニティによる狙撃が死角から襲ってきた。
そしてそれに合わせ初音も距離を取る。
初音による属性による多様な中間攻撃に隠蔽しての正確なトリニティの魔導銃の狙撃魔法攻撃。
今日組んだ割には二人共上手く連携を取れている。
この連携に接近メインのカルテットが加わればいい線行くと思った。
2人の連携によりアシュレイは攻めきれず、4分が経過しようとしていた。
アシュレイは仕方ないと少々本気を出すことにした。




