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バーチャル配信者にどハマり

 

 学校が直り、いつも通りの学校へと戻った。

 そんなある日。十二時になってチャイムが鳴った。本来なら給食の時間だが──

 全員友達らと机を引っ付け合い、バックから弁当を取り出した。

 金城もウキウキな顔で修吾や大知らの机を引っ付け合い、弁当を食べようとしていた。


「さぁさぁ弁当食おうぜ」

「めずらしくウキウキしてるな金城」

「当たり前だ。給食が家の弁当だぜ。遠足時にしか食えない珍しい食事なんだぜ。それが当分の間食べれるって最高だよ」

「と言っても給食室が直ってないからだろ」

「まぁまぁ弁当は好きなもんだけ詰めてもらえるから、宝箱見たいなもんよ。今はそれを楽しむのも青春だ」

「あっそ……」


 呆れる修吾に対して、弁当を口に掻き込む金城。

 大知は周りを見て、あることに気づいた。


「そう言えば、最近弁当の時間になると蓮がいないけど……」

「確かに最近この時間になると姿眩ますよな」


 すると蓮が弁当と何故かノートパソコンを抱いて周りをキョロキョロしながら教室から出て行く姿が見えた。


「ノートパソコン?何でだ?追うしかないだろ!!」


 金城らは気になって追うことにした。

 追っていくと蓮は終始キョロキョロしながら屋上まで行った。


「あいつ屋上に行く気だぞ?」

「そういや、最近生気が失った顔になってたけど……あの顔、屋上、ノートパソコン。まさか!!」


 金城は何か超危険な予感が頭に過り、鬼気迫る顔で階段を駆け上がり、ドアを蹴り飛ばして屋上に乗り込んで蓮を探した。


「何処だ!蓮!!」


 と慌てて探すも蓮はすぐそこに座り込んで、ノートパソコンをニヤニヤと見つめていた。しかも弁当を食べながら。


「蓮?」


 覗き込むとCGの女の子が色んな表情しながら喋り、ゲームをしているのだ。

 その光景に金城は軽く引き気味になり、困惑する。


「な、何だコイツ……?」


 どうすれば良いか分からない金城だったが、横から大知が覗いて来た。


「あぁ。これはバーチャルキャラクターの配信だよ」

「バーチャルキャラクター?」

「知らない?CGで作られた仮想のキャラクターのことだよ。そのキャラクターを声を演じる人がモーションキャプチャーで動いたり、顔の動きを真似したりするんだよ。近年話題じゃんか、バーチャルキャラクターのゲーム配信で大人気だって。バーチャルキャラクター同士でのコラボとか、企業とコラボしたりとかどんどん視野を広げていってるらしいよ」

「そういや聞いた事あるような……蓮の奴、それにハマってるのか?」

「そのようだね。可愛いキャラクターいっぱいいるし、声にハマって、トークやゲームで興味を惹かれてどハマりする人が多いらしいよ」

「マジかよ」


 目の下にクマが出来てる蓮はずっと不気味に笑いながら配信を見ていた。


「ふへへへへ……今日も投げ銭してあげる。これでお小遣いとして使ってくれよぉ」

「投げ銭?」


 その言葉に大知は言う。


「簡単に言えばお金をその配信者に送るって事だよ」

「金を!?それは配信者が貰えるのか!?」

「事務所とかに入ってるんなら、取り分は変わるだろうけど、個人なら独り占め出来るだろうな」 

「マジかよ」


 そして金城は蓮の肩を叩き、またいやらしい顔でいう。


「そんな存在もしないバーチャルなキャラよりも俺と共に踏ん張るマンのカードゲームでもまたやろうぜ。昨日良いカード当てたからよ」


 そう言って金城は懐からカードファイルを取り出して、そこに厳重に保存された踏ん張るマンのカードを見せた。そのカードはキラキラと金ピカに光っており、裸の男が中腰で決死の表情で踏ん張っている絵だった。

 だが、蓮はカードを見せても無反応ですぐにパソコンに目を戻した。


「おいおい蓮!お前欲しいって言ってたよな!」

「僕、踏ん張るマンのカード全て売っちゃったよ」

「はぁ!?お前、何やったんだよ!」

「お金無くなったから売って投げ銭に当てたんだよ」

「お前あんだけ大事してたのに?」

「僕の勝手だろ。放送の邪魔しないでよ!」


 蓮は金城のファイルを手で弾き、柵の向こうへと飛んでいった。


「踏ん張るマン!!」


 金城は咄嗟に走り、柵を飛び越えて踏ん張るマンをキャッチして、そのまま真下に落ちて行った。

 下から生徒の叫び声が聞こえたが、修吾と大知はあまり気にせずに話を続けた。


「これは中々の重症だな」

「ハマってしまうと人間周りが見えなくなってしまうからな。典型的な例だね」


 二人が頷いているとボロボロになって頭に落ち葉が乗っかっている金城が戻ってきた。


「大丈夫か?」

「まぁギリギリな。カードも無事だったから良かったよ」


 金城は怒り心頭な顔で、いつ爆発してもおかしくない状態となっていた。震わせた拳を突き出して、二人に言う。


「あ、アイツに復讐してやらぁ!!」

「そんなに怒ってんのか金城?」

「あ、あたぼぉよ。俺の命より大事なカードを投げ飛ばすなんて、アイツに永遠の地獄を見せてやるぅ!!」


 そう言って金城は大知の胸ぐらを掴み上げて、また鬼気迫る顔で申し出た。


「お前の力でバーチャルキャラクター作れ!!」

「む、無理だよ!!結構金かかるんだよ、アレ!僕ら程度じゃ無理だって!」

「とにかくそれっぽいのでもいいから作れ!バーチャルキャラクターで奴に仕返ししてやるんだよぉぉぉ!!」

「わ、分かった!!」


 その圧力に押し負けた大知は渋々頷いた。


 *


 数日後──出来たと言って来た大知に金城は大急ぎで確認した。


「とりあえずお前の声は変声機で女の子の声に変わる。因みにモーションキャプチャーは金掛かるので、CGで作ったキャラクターはゲームのコントローラーで操作してもらう。ボタンを押してる間は口がパクパク動くから、ボタン押しながら喋れる。後はゲームと同じでスティック押せば動いて、このボタンを押せば飛んだり手を動かしたりも出来る」

「へぇ、でも蓮の時よりグラフィック雑じゃねぇか?」

「金もなんもないから、多少雑でもしょうがないよ」


 大知は金城に対してキャラクターの動かし方をレクチャーした。そして昼休み。蓮が屋上に行くのを確認すると、大知と手伝いの龍尾は先に準備へと向かった。

 金城は修吾を説得していた。


「今日はポカちゃん休みらしい。だから、今日決行する。いいな」

「本当にやっていいのか?」

「アイツを普通に戻す為だ。俺のカードを傷つけたから復讐だなんて、んなこと断じてない!アイツに地獄を見せる為でも、アイツに恐怖を与える訳でもんない!!」

「復讐する気満々じゃんか。まぁ、あのままの蓮も不気味だからやるよ」


 とにかく修吾を説得して、修吾自身も蓮をいつもの蓮に戻ってもらいたいから渋々納得した。

 そして修吾は金城に言われるがまま、蓮の元へと向かいぎこちない感じで話しかけた。


「よ、よう蓮」

「どうしたの修吾君。僕、今日は元気ないんだ」

「お前、最近バーチャルキャラクターの配信見てるんだってな。俺や大知や金城もハマってるんだ」

「え?」


 そう言うと蓮は目の色を変えて修吾の話に食いついて来た。


「誰!?推しは誰!?」

「お、推し?」

「推して子だよ!!」

「あ、アウちゃんって子だよ」

「アウちゃん!?事務所は!?」

「事務所?確か無所属だったかなぁ?」

「登録者数は!?」

「まだ数百人程度だったかなぁ。俺ら三人共その子推しでさぁ」

「ちょっとだけ見てみよう」


 質疑応答が凄まじ過ぎて、一つ一つ顔を近づけて血眼になりながら答えてくる姿はまさに異様だった。

 修吾がアウちゃんと言うとすぐにパソコンで調べ始めた。


「あった」

「まだ登録者数少ないけど、コアなファンが多いらしくてね」


 動画サイトで現在放送中と書いてあり、数十名が視聴中と書いてあった。

 蓮は気になって生放送を見た。

 画面にはボロく色が濁った制服を着た頰が痩けた乱れた長髪の女の子であった。背景も暗く、古い数十年前のゲームを実況していた。


『みんな、今日もアウチャンネルに見てくれてありがとう……今日はこのゲームを──』


 元気のなく、ゴニョゴニョとした言い方。それに古臭いゲーム。

 だけど、コメントには"可愛い!!"だの"頑張れ!!'"だの応援コメントがいくつも送られて来ていた。

 蓮は何も言う事なくじっくり見ていた。

 すると、アウちゃんに500円を誰かが投げ銭してくれた。


『あっ、常連さん今日も500円ありがとうございます。私、こんなにもボロボロになんで、本当にありがたいです。この500円は大切に使わせていただきます。もし多く金額が集まったら、皆さんに恩返しする為に、衣装チェンジしようと思います』

「え?衣装チェンジ?」

『衣装チェンジでもして皆さんがもっと喜べるような放送を目指したいと思うんでよろしくお願いします』


 そう聞き、蓮は試しに500円を投げ銭した。

 するとアウちゃんは嬉しそうに満面の笑みを浮かべて画面に手を振った。


『また500円ありがとうございます!えぇ〜とレン丸さんですね。ありがとうございます!!』

「な、名前を呼んでもらえた!結構、可愛いなぁアウちゃんって」


 少し頬を赤らめて嬉しそうに配信を見る蓮。

 その裏で修吾は大知に連絡を入れていた。


「蓮の奴、結構どハマりしてるようだが……そっちはどうだ?」

『こっちも結構だけど、金城の無駄にいい演技で虜にしてるようだな』

「変声機で声変えてるとはいえ、あの可愛らしい声が金城のだと思うと気持ち悪いな……」


 大知達はパソコン室にいた。

 パソコン室のカーテンで中を見えないようにシャットダウンし、龍尾と大知は全パソコンを起動して、生放送の画面にして視聴者数を増やしていたのだ。

 金城はホワイトボード側の先生が使うパソコン側から女の子のように喋りながら、片手でコントローラーでキャラを動かしながら、もう片方の手で普通のゲームを器用にも平然としていた。

 こんな状態の中、さくら用のコメントを打つ龍尾は器用な金城を見て大知に言う。


「金城の奴、蓮に復讐する為とは言え、ここまでやるとは」

「まっ、本人が気が済むまでやらせてあげようよ」

「それはそれで面白いけど、あの喋り方何とか何ねぇのか?聞いてる俺らは苦痛だぜ」


 配信は昼休みギリギリまでした。蓮は無言でパソコン間近まで目を近づけて放送に釘付けになった。金城は蓮の趣味などを把握している為、蓮が気になっているアニメや踏ん張るマンの話などを交えて、徐々に興味を惹かせた。

 金城──じゃなくてアウちゃんは手を振って放送を終えた。


『今日はここまでで〜す。明日も見てねぇ』

「明日も見ようかなアウちゃんの放送……」


 そう言って蓮は鼻歌を歌いながら屋上を後にした。

 配信を終えると金城は修吾に電話した。


「どうだ?蓮は」

『結構ハマっているみたいだ。やはり、名前を呼んでもらった事や、好きな物の話が合ったりして明日も見る気満々だ』

「それでいいさ。ここから徐々に奴から金を奪い取って、更なる地獄を見せてやる!」

『敵に回したくないタイプだな、ホント』


 次の日はポカちゃんも昼の放送だが、金城はそれを知りながら同じ時間帯に放送をした。

 蓮は昨日のアウちゃんの言葉が気になって、ポカちゃんも気になるが少しだけアウちゃんの放送を見る事にした。

 そこには昨日より小綺麗な見た目になったアウちゃんの姿があった。


『昨日の投げ銭でまた私は綺麗になりました。本当にありがとうございます。特にレン丸さん、ありがとうございます!』

「ぼ、僕の名前を!?呼んでくれた!?」

『さぁ、今日の実況は──』

「初めて配信の時に名前呼ばれたぁ〜」


 そう言って気絶して蓮。

 また端から見ていた修吾は、頭を抱えて呆れ果てた。


「ダメだありゃ、金城の策に見事ハマっているな」


 そんな事とはつゆ知らず蓮はアウちゃんの放送に夢中になって今日もまた投げ銭をしてしまった。しかも前日よりも多い千円も投げた。


『あ、またレン丸さんありがとうございます!!私の放送楽しんで頂いているでしょうか?SNSなどで感想述べてくれたらありがたいです!!』

「ま、また名前を!!僕だけ特別な扱いに……」


 その時、別の視聴者が4000円投げ銭した。

 もちろんそれは金城らの作戦である。


『たっつーさん4000円もありがとうございます!!これで私もっと綺麗になれます!!たっつーさん大好きです!!』

「よ、4000円!?何てガチ勢が……」

『私にいっぱい投げ銭してくれて、本当にありがとうね!!たっつーさんのおかげでもっともっと頑張れます!!』

「ふざけるなよ!!4000円くらい僕だって!!」


 キレ気味になる蓮は4000円を超える5000円を投げ銭した。すると、今度は9000円を同じ奴が投げ銭して来た。


「な、何!?9000円だと!?なら、1万円……4万円!?なら、5万円でどうだぁぁぁ!!」

「オークション会場の競り合いみたいだ……」


 その後、金城改めアウちゃんは破竹の勢いで登録者数を伸ばして行った。見た目も少しずつ小綺麗になっていき、偶には別の衣装になったり、水着や着物など様々な衣装を着て喜ばせた。

 また配信者達で行うオンラインTRPGやFPSゲームなどに無理矢理参加して、アウちゃんになりながら持ち前の口撃やテクニックで他配信者を下して勝利し、配信を盛り上げた。

 いきなり現れた正体不明の期待の新星とし、ネットで取り上げられて、更には投げ銭で一定の合計金額に達すると見た目が変わっていく新たなスタイルなどが注目された。そして配信始めて1か月も経たない内に登録者数は1万を超えて、投げ銭も一日で数万円も稼ぐほどになった。多くは蓮の投げ銭だけど。

 金城らが大儲けしている所に、修吾が問いかけた。


「なぁ、お前らいつまでこんな事をやり続けてるんだ?十分に復讐出来たし、儲けもあったろ」

「辞めるわけにはいかんだろ。蓮以外からも結構儲けが来るし、結構楽しいからやめらんねぇよ」

「でも、もう蓮関係ないだろ?」

「んなもん金蔓だから、やり続けるんだよ。な、お前ら」


 と金城が隣でバーチャルキャラクターのCGグラフィックを編集している龍尾と大知に言うと、二人は快く頷いた。


「投げ銭増えれば俺らの小遣いも増えるし、結構楽しいからいいよ」

「そうそう、僕らは金城の手伝いしてるだけだから、蓮の事はどうでもいいの」


 そんな二人に呆れ果てる修吾であった。


「お前らなぁ……銭ゲバだな」


 *


 その後も蓮はどんどん投げ銭をして、アウちゃんに名前を覚えられる程までになった。これでアウちゃんとの関係を少し近くなったと思わせる事に成功した。

 そして金城は最後の作戦を展開する事にした。


「よし、作戦も大詰めだ。今一番アイツは浮かれている事だろう!最後の作戦だ!!」

「何する気なの?」

「良い質問だ大知!まぁ、見たろって、お前でも寒気がする事をしてやるよ」

「嫌な予感が……」


 そして──昼の放送が終了し、蓮が教室に戻ろうとパソコンを閉じようとした時、一本のメールが入っていた。


「ん?」


 メールをふと確認すると、それはアウちゃんからであった。

 これに驚いた蓮はびっくりしてパソコンに目をくっつけて確認した。


「あ、アウちゃん!?え?」


 メールはこう書いてあった。

 この会話アプリから、このパスワードを打って下さい。

 とだけ書いてあり、そのアプリのURLが貼り付けられていた。すぐさまスマホでそのアプリをインストールして、パスワードを打った。そこにはアウちゃんのアカウントがあり、"電話"のボタンがあり、間髪入れずに押した。

 すると2、3コールの内にアウちゃんが電話に出た。


『あのぉ、レン丸さん』


 放送と同じ声にビビりながらも、蓮は冷静を装って応答した。


「な、何ですか」

『私と少しお話してくれますか?』

「え!?僕と!?」

『は、はい。最初からのファンであり、いつも投げ銭いっぱいしてくれて、私個人がとても気になって。レン丸さんってどんの人なんだろうって。チャットぉ大丈夫でしょうか?』

「ぼ、僕でよければ……全然良いですよ!!」

『なら良かった……これはアウちゃんとしてではなくて、私の中の人としてお話したいんです。だから、ビデオ通話してくれますか?』

「び、ビデオ通話!?だ、大丈夫なのですか?そんな事して!?」

『視聴者の方に顔を見せるのは怖いですけど、私はレン丸さんを信じています!だから、お願いします』


 アウちゃんのお願いに蓮は悩みに悩んだが、アウちゃんと話す事を決意した。


「わ、分かりました。僕はアウちゃんの中の人を誰にも言いません。だから、ビデオ通話をしましょう」

『ありがとうございます!準備しますからちょっと待ってください!』


 はしゃぐアウちゃんに頬を染める蓮。

 どんな子なんだろうか?可愛いか?服は?歳は?とヨダレを垂らしながら色々と妄想をしながら数分間待った。

 そして──


『準備はいいですか?』

「は、はい!!」

『んなら、私から掛けるんで電話に出てくれますか?』


 と言うとすぐにビデオ通話が掛かって来た。

 蓮は息を呑んでボタンを押した。アウちゃんの中の人はどんな人なんだ?いざゆかん。

 バン!


『デュワッッッハッハッハッハ!!』

「ん???き、きんじょ──」


 画面にいきなり出てきたのはバカ笑いしている金城。

 これには蓮も口が塞がらず、唖然と開けっぱなしになった。


『お前、アウちゃんが本当にいると思ったかぁ!?バァァァか!』

「え、あ……うぅ?」

『お前は騙されてたんだよ!アウちゃんは……俺だ!!俺だ、俺だ!!』

「へ?へ?」

『どした?気分は良いか?良くないよなぁ!?騙されたんだもんなぁ!!投げ銭サンキュー!!カードの恨みは恐ろしいって事を思い知るんだなぁ!!はっはっはっ!!』


 そう言ってまたバカ笑いをしながら画面は消えた。


 *


 次の日──学校では金城が修吾らの前で高らかに笑っていた。


「はっはっはぁ〜!!ざまぁねぇな!いい顔過ぎて写真撮っちゃったよ!欲しけりゃみんなに送ってやるよ!」

「自己満足でなりより。そんな事よりも蓮は大丈夫なのか?」

「しるかそんなもん。それよりも結構稼げるから、当分の間は小遣いには困らんわ!みんなガッポガッポ投げ銭してくれるし、俺はゲームして適当に雑談するだけで稼げて一件落着。はっはっは!!」

「その内、口滑って炎上するぞ」

「んな事あったら、すぐ止めりゃあいい話よ。引き際が大事なのがビジネスだ!!」


 気分が良くなる金城だったが、ドアが開き蓮が入ってきた。

 気まずい空気になるも、金城は気にする事なく話しかけた。


「よっす蓮!気分はどうだい!!っていい訳ねぇな、はっはっは!!」

「……」


 金城の前に立ち、両手で肩を静かに叩き、金城の顔を見つめた。

 その目には不気味にもハートが宿っており、金城に向けて頬を赤らめた笑顔を向けた。


「アウちゃん、君がこんなにも近くに居たなんて知らなかったよ!!」

「へっ?」


 全員が唖然とし、金城ですら笑った顔のまま顔が固まってしまった。

 蓮は金城にしっかりと抱きつき、何度蹴っても離さずずっと笑っていた。


「お、お前!!離せ!!」

「離さないよ!!絶対に!!二度と逃げないようにずっとずっと!!」

「修吾、大知!!龍尾も助けてくれ!!」

「アウちゃん!!」


 必死に三人に助けを求めるが、三人は呆れて離れていく。


「お前が変な方向に目覚めさせたんだろ。自分で何とかしろよ」

「人の愛に対するコメントは控えさせてもらうからね。お幸せに」


 蓮は金城の口の中を覗こうと手でこじ開けようとまでして来て、金城は涙ながら叫んだ。


「いてててて!!!離してくれぇぇぇ!!」

「この中にアウちゃんが居るんだ!!離さないと君を見つけるまで!!」



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