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足りない召喚士の戦い方  作者: トリバード
召喚士とは

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82/97

82:熊型討伐依頼

本日もよろしくお願いします。

リスベルを出発してから、

数時間。


森の空気は少しずつ重くなっていた。


「……静かですね」


レオンが小さく呟く。


その肩には三羽の妖精鳥。


そして。


もう一羽だけは、既に高く上空へ飛ばしていた。


木々より遥か上。


森全体を見渡すように、静かに旋回している。


セレナが、その姿を見上げた。


「……あの子だけ、随分高く飛ばすんですね」


「え?」


レオンも空を見上げる。


「あぁ、あれは索敵役なので」


自然な返答。


だが、セレナは少しだけ違和感を覚えていた。


妖精鳥は、本来索敵向きじゃない。


ましてや、長時間あの高度を維持するなど。


普通は、魔力消費が重い。


だがレオンは、まるで当たり前のように扱っている。



ガレスが周囲を見渡した。


「村の連中も、かなり警戒してたらしい」


「畑仕事も止めてるって話だったな」


バルトが肩を鳴らす。


「熊型なんざ、村人じゃどうにもならねぇよ」


その言葉にレオンも頷いた。


熊型は、狼型や猿型とは違う。

群れの規模は小さい。

だが、一体一体が重い。


力。

耐久。

突進力。


まともに受ければ、

どれだけ鍛えている人間でも骨ごと持っていかれる。


しかも、この辺りの森は、そこまで魔境に近くない。


レオンが、

ふと周囲を見る。


「……この辺りって、熊型が出る場所なんですか?」


ガレスが眉を寄せた。


「いや、珍しいな」


「もっと奥なら分かるんだが」


バルトが鼻を鳴らす。


「餌でも減ったんじゃねぇの?」


その横で、セレナが、少し考えるように森を見る。


「……それにしても。浅すぎる気がしますが...」


短い沈黙。


だが、今は原因究明が目的じゃない。


まずは討伐。


ガレスが軽く手を叩いた。


「行くぞ」


「レオン、周囲の警戒を頼む」


「はい」


レオンの肩から、二羽目の妖精鳥が飛び立つ。


セレナが、その動きを目で追った。


「二羽……」


小さな呟き。


普通、妖精鳥は補助用。

長時間維持する召喚じゃない。


しかも。


二羽同時に飛ばす。


それだけでも、少し珍しい。


だが、レオンは、

当たり前のように扱っている。



さらに森を進む。


その途中で、レオンがふと足を止めた。


同時に。


上空を飛ぶ妖精鳥が、不自然に旋回する。


「……前方、木の裏に一体います」


全員の空気が変わる。


ガレスが即座に盾を構えた。


「距離は?」


「三十歩くらいです」


ガレスが頷く。


「バルト、右から回れるか」


「任せろ」


低く姿勢を落とす。


セレナも短杖を構えた。


「サラマンダー、呼びます」


赤い魔法陣。


そこから、炎を纏った蜥蜴型の召喚獣が現れる。


熱気。

空気が揺らぐ。


レオンが、少し目を細めた。


召喚獣。


しかも、高火力型。


自分とは、全く違う召喚。


その瞬間、木々を揺らしながら、巨大な影が飛び出した。


熊型。

黒い毛皮。

人間より遥かに大きい体。


咆哮。


地面が震える。


「来るぞ!!」


ガレスが前へ出る。


真正面からは受けない。

中盾を斜めに構える。


熊型の腕が振るわれる。


凄まじい衝撃。


だがガレスは、完全には止めない。


流す。

体勢を僅かに逸らす。


その瞬間、横からバルトが踏み込んだ。


「おらぁ!!」


魔力を纏った拳。

鈍い衝撃音。


熊型の身体が、僅かによろめく。


そこへサラマンダーが吐き出した炎弾が着弾。


熊型の肩を焼いた。


咆哮。


だが、止まらない。


「硬ぇな……!」


バルトが舌打ちする。


熊型は狼型より遥かに頑丈だ。


その時、レオンが声を上げた。



「左からもう一体!!」


セレナが目を見開く。


まだ見えていない。


だがその直後。


木を薙ぎ倒しながら、二体目が突っ込んできた。


「っ!?」


ガレスが即座に動く。


だが、二方向から同時に来ると、止められない。


その瞬間、レオンの妖精鳥が、二体目の顔面へ飛び込んだ。


羽ばたき、視界を塞ぐ。


熊型の動きが、僅かに鈍る。


「助かる!!」


ガレスが盾で軌道を逸らした。


そこへ、バルト。


「下がれぇ!!」


魔力強化した拳が、熊型の側頭部へ叩き込まれる。


さらに、セレナ。


「焼き払え!!」


サラマンダーの炎。


爆炎。

熱風。

森へ火が走る。


熊型が、苦悶の咆哮を上げた。


その間にも、レオンは周囲を見続けていた。


妖精鳥。

木々。

死角。

逃走経路。


そして上空。


四羽目の妖精鳥が、森全体を俯瞰している。


「右奥、もう一体います!!」


「まだ居んのかよ!?」


バルトが顔を歪める。


だが、レオンの警告がある。


だから、不意を打たれない。


ガレスが、小さく息を吐いた。


「……本当に便利だな」


レオンは少し困ったように笑う。


その横で、セレナだけが、レオンを見ていた。


おかしい。

索敵だけじゃない。


位置把握。

接敵予測。

警告速度。


全部が、異様に正確だった。


しかも。


妖精鳥は、ただ上空を飛んでいるだけに見える。


なのに、まるで、森全体を見ているように動く。


セレナが僅かに眉を寄せた。


「……何なんですか、あの人」

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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