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足りない召喚士の戦い方  作者: トリバード
召喚士とは

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81/95

81:紅蓮の尾

本日もよろしくお願いします。

新章突入です。

リスベル冒険者ギルド。


昼過ぎ。


掲示板の前で、レオンは依頼書を眺めていた。


C級へ昇格してから数日。


昇格した事で、受けられる依頼の幅が明らかに増えていた。


護衛。

調査。

中規模討伐。


中には、危険度の高い緊急依頼も混ざっていた。


「……熊型か」


レオンが一枚の依頼書へ視線を止める。


《リスベル西方農村付近 熊型魔獣の群れ討伐》


緊急


その文字を見て、レオンが小さく眉を寄せた。


熊型。


狼型より群れ一つのあたりの頭数は少ないが、

一体一体が重い。


サイズ。

腕力。

耐久。


正面から受ければ、簡単に人が死ぬ。

勿論レオン1人で受けられる任務の範囲を超えている。


しかも。


“緊急”。


つまり、村側では既に対応不能になっている可能性が高い。


レオンは、そのまま受付へ向かった。


「すみません」


受付嬢が顔を上げる。


「あ、レオンさん」


「その熊型の依頼って、もう受けるパーティ決まってますか?」


受付嬢が資料を確認する。


「いえ、現在調整中ですね」


「本来受ける予定だったパーティが、

索敵役の欠員で難航していて……」


その時。


「その依頼、興味あるのか?」


後ろからの声に振り返る。


そこに居たのは、茶髪の青年だった。


片手剣。

中盾。

無駄の少ない装備。


視線は穏やかだが、周囲をよく見ている。


「俺はガレス・ディーン」


「C級パーティ“紅蓮の尾”のリーダーだ」


レオンも軽く頭を下げる。


「レオン・アルバーンです」


その名に、ガレスが少し目を細めた。


「……ああ、今回C級へ上がった召喚士か」


名を知られていることは少し意外だった。


するとガレスが、困ったように頭を掻く。


「実は今、索敵役を探しててな。

本来うちのシーフが担当なんだが、怪我で動けない」


そこで、視線がレオンの肩へ向く。


妖精鳥。


静かに止まっている。


「リオさんから聞いた。

お前、便利屋で索敵もできるってな」


「便利屋……」


レオンが少し苦笑する。

否定はできなかった。


護衛。

採取。

討伐。

支援。


色々やってきた結果、

最近、割とそういう扱いをされる。


「一応、周囲の警戒や索敵ならできます」


その瞬間。


後ろから別の声が割って入った。


「周囲の警戒?」


赤髪の少女。

細身。

だが装備は上質だった。


腰には、赤い魔石が埋め込まれた短杖。


その魔石の中には、

熱気のような魔力が揺らいでいる。


「妖精鳥で?

それ、補助の召喚獣ですよね?」


その声音に、悪意は無い。


純粋な疑問。


ガレスが軽く息を吐く。


「セレナ」


「……すみません」


少女――セレナ・ファルジアが小さく頭を下げる。


「召喚士だったので、少し気になって」


レオンは特に気にした様子も無かった。


むしろ、よく言われる。


「まぁ……普通はそう思いますよね」


その返答に。


セレナが逆に少し反応を止めた。


否定しない。

言い返さない。

ただ自然に受け入れた。


その時。


「おーいガレス!」


大柄な男が歩いてくる。


拳へ装着された黒鉄の手甲。

その中央には、魔石が埋め込まれている。


「そいつがリズの代わりか?」


「バルト、声が大きい」


ガレスが苦笑した。


「こっちはレオン。検討中だ」


「ふーん……」


バルト・グランがレオンを上から下まで見る。


そして、妖精鳥を見る。


「なんだこの鳥、ちっちゃくってかわいいな」


「バルト」


「分かってるって」


軽く肩を竦める。


悪気は無い。


ただ。


“戦えるのか?”


そう思っている顔だった。


それも、別に珍しくない。


ガレスが、依頼書を軽く叩く。


「熊型の小規模群れだ。

数は三〜五程度らしい。

だが村人だけじゃ対応できない。

被害が出る前に潰す」


概要を一息に説明した後、

レオンをまっすぐ見つめる。


「来てくれるか?」


「はい」


レオンが頷く。



熊型は、

狼型より群れない。


だが、一体が重い。


油断できる相手じゃない。


「準備はいいか?」


ガレスの問い。


全員が頷いた。


その時、セレナが再びレオンの妖精鳥を見る。


どこか、気になるような視線。


「……?」


レオンは首を傾げる。



紅蓮の尾。


そして、召喚士セレナ・ファルジア。


その出会いが、レオンにとって、

“召喚士”という存在を知るきっかけとなる。



妖精鳥を補助として扱う者達。



高火力召喚を主軸とする、

本来の召喚士達。



そして、その中で。



自分の戦い方が、どれほど異端だったのか。

レオンは、まだ知らなかった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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