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足りない召喚士の戦い方  作者: トリバード
再:C級昇格試験 

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80/93

80:昇格祝い

本日もよろしくお願いします。

「――だからよぉ!!」


酒場の二階。


貸切状態の一室で大声が響く。


「レオンがC級とか、感慨深ぇって話だ!!」


「声が大きいですよガドさん……」


レオンが、困ったように肩を縮める。


机の上には空いた酒瓶。

料理の皿。


そして、完全に出来上がった大人達。


「まぁ実際、あのレオンがなぁ」


リオ・ヴァレットが酒を片手に笑う。


「依頼中ずっと自信なさそうにしてたもんなぁ」


「やめてくださいよ……」


「いやでも本当によ」


ガドが、豪快に笑った。


「周りに気ぃばっか使って一歩引いてた奴が今じゃC級だぞ?」


「そこまでじゃなかったですよ!?」


「いや、割とそんなイメージあるぞ」


カイルが、普通に追撃した。


「カイルまで!?」


笑い声。


普段より賑やかな空気。


C級昇格祝い。


名目はそうだった。


だが実際は、


“よくここまで来たな”


そんな空気が強い。


そして、その騒ぎの中心には、お調子者のミナが居た。



「はいレオン!飲め飲めー!」


「いや、もうかなり飲んで――」


「C級昇格祝いだよ!?」


「今日は主役なんだから!!」


既にだいぶ酔っている。


顔が赤く、テンションも高い。


そして。


距離が近い。

パーソナルスペースがバグっている。


「ちょっ、ミナさん近――」


「んー?」


濃い酒の匂いが香る。


レオンが、露骨に視線を逸らす。


その様子を見て、リオが吹き出した。



「お前、酒も女も耐性無さ過ぎだろ」


「うるさいです……」


「ははっ!!初心だなぁ坊主!」


ガドが机を叩いて笑う。


その横で、カイルは呆れたように呟く。


「元気だよなぁ」


「カイルももっと飲みなよー!」


「いや、俺ももう十分――」


「うりゃ!!」


ミナが勢い良く肩を組む。


「うおっ」


そのまま。


ぐいぐい酒を注ぐ。


「飲め飲めー!!」


「待て、お前酔いすぎだって――」


「今日はめでたい日なんだから!!」


「いやお前主役じゃねえからな!?」


完全に酔っ払いだった。


だが誰も強くは止めない。


むしろ全員、楽しそうだった。



そして数時間後。


「…………」


レオンは、机へ突っ伏していた。


完全撃沈。


「弱いなぁ...」


リオが笑う。


「本当に弱いなこいつ」


「……潰れるの早かったな」


カイルも少し呆れていた。


その横。


ミナも机へ突っ伏していた。


「んへへぇ……」


「お前も潰れてんじゃねぇか」


ガドが笑う。


静かに夜は更けていった。




翌朝。


「…………ぅ」


眩しい。

頭が痛い。

身体が重い。


ゆっくり目を開ける。


見慣れた天井。


宿の部屋だった。


「……あれ」


どうやって帰った?


記憶が曖昧だ。


身体を起こそうとして。


「うっ……」


頭痛。


レオンが顔をしかめる。


その時。


窓際から小さな羽音が聞こえた。


ふわり。


妖精鳥。


一羽がレオンの肩へ降りる。


「……おはよう」


小さく笑う。


妖精鳥が頬を軽く突いた。


まるで。


「飲み過ぎ」


とでも言いたげだった。


「反省してます……」


呟く。


すると、別の妖精鳥が、

机の上の紙を咥えて飛んできた。


「ん?」


受け取る。


そこには。


乱雑な字。


『先に帰る。

二日酔いなら水飲め』


カイルだった。

レオンが少し笑う。


その紙の端には、


『また飲もうね!!』


やたら文字が大きい。


ミナだ。


「……絶対また潰される」


苦笑。


窓の外では、街がいつも通り動き始めている。


冒険者達の声。

商人。

荷車。


いつもの朝。


だが。


少しだけ違った。


C級冒険者。

レオン・アルバーン。


昨日までは遠く感じていた肩書き。


だが今、それが、

自分のものになっていた。


レオンは、静かに息を吐く。


「……頑張らないとな」


まだ。


足りないものはある。


だが、確かに、

前へ進んでいる実感があった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

ミナは騒ぎたいだけです。

すぐ潰れるけどすぐ回復するタイプの酒飲みです。

続きが気になると思っていただけたら、ブックマークや評価をいただけると励みになります。

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