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足りない召喚士の戦い方  作者: トリバード
再:C級昇格試験 

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76/138

76:窮地を繋ぐ

本日もよろしくお願いします。

大型狼型が、

低く唸る。


鋭く細められた瞳。


周りの小型とは、明らかに違う威圧感。


大型。


加えて、周囲の狼型達も統率されている。


ただ突っ込んでくるだけではない。


大型を中心に、

包囲するように散開している。


「……っ」


レオンは、小さく歯を食いしばった。


状況は最悪。


ノアは肩口を負傷。


アイリスも太腿を裂かれている。


この班に、受け役は居ない。

正面から止めれば崩れる。


ならば、止めない。


「セス!!」


「右二体引き付けて下さい!」


「了解!!」


返答が早い。


完全にレオンの指示を理解している動きだった。


セスが右へ移動しながら矢を放つ。


風を纏った矢が、

狼型の鼻先を掠める。


狙いは撃破じゃない。


牽制。


狼型の足を止め、引き付ける。


その間に、レオンが前へ出た。


「!?」


アイリスが目を見開く。


レオンは腰の小剣を抜いた。


狼型が飛び込んでくる。


速い。


だが、レオンは真正面で受けない。


爪へ小剣を滑らせる。


力を逸らす。

身体を半歩だけ回す。


狼型が、

横へ流れた。


その瞬間、妖精鳥を飛ばす。


レオンの視界が、切り替わる。


空。

森の上空。


四羽目の妖精鳥による視界共有。


一瞬で周囲を確認する。


木々。

気配。

大型狼型。

周囲の小型。


さらに外周。

――他の群れは居ない。


レオンは、瞬時に理解した。


狼型は縄張り意識が強い。


ここまで大きい個体が居れば、

他の群れは近寄らない。


つまり。


増援は来ない。



視界共有解除。

ほんの数秒。


以前なら、立っているだけでも負荷が大きかった。


だが今は違う。


小剣を振るいながらでも、扱えている。


「……やるな」


セスがニヤリと笑った。


その直後。


大型狼型が再び突っ込んでくる。


レオンは正面へ出ない。


横へ流す。


そこへ。


セスの矢。


大型狼型が、

鬱陶しそうに首を振った。


「アイリスさん!」


「は、はい!」


「立てますか!」


アイリスが脚を押さえながら頷く。


「……いけます!」


「三秒だけ時間を作ります!」


レオンが踏み込む。


狼型の視線を無理やり引き付ける。


当然、危険だった。


本来、レオンは前衛ではない。


一撃でもまともに食らうと終わる。


それでも、戦場を止めないために、前へ出る。


大型狼型が牙を剥いた。


飛び込む。


その瞬間。


矢。


セスが、大型の視界を潰す。


レオンが、その隙で身体を滑らせる。


さらに。


横から、炎弾。


アイリスの魔法。


爆炎。


大型狼型が後ろへ飛び退いた。


「……っ、はぁ……!」


アイリスが、荒く息を吐く。


だが。


立ち上がった。


そしてその横を、黒い影が駆け抜ける。


「すまねぇ!!代わる!!」


ノアだった。


肩口からまだ血が流れている。


それでも、

目は死んでいない。


曲剣を構え、

真正面ではなく。


今度は、横へ流れるように踏み込む。


本来の動き。


横から回り込んできた狼型の牙を躱し、首筋を切り裂く。


血飛沫。


そのまま、身体を止めず次へ移る。


レオンが、小さく息を吐いた。


「ノアさん、右お願いします!」


「分かってる!!」


返答。


そこに、最初のような反発は無かった。


セスが、弓に矢を番えながら笑う。


「ようやくマシになってきたなぁ!」


誰も返事をする余裕は無い。


だが、確かに。


崩れかけていた戦線は立て直され始めていた。


そして、大型狼型が、低く唸る。


まだ終わっていない。


ここからが本番だった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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