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足りない召喚士の戦い方  作者: トリバード
異常個体:四つ腕

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68/138

68:防衛任務完了

本日もよろしくお願いします。

防衛拠点へ戻った直後、

現場は軽い騒ぎになった。


「おい、担架こっちだ!」


「ゼインさん負傷してるぞ!」


「医療班呼べ!!」


黒狼の牙。


そして、

冒険者組。


全員ボロボロだった。


特にカイルとゼインは酷い。


カイルは、

無理やり引き上げた身体強化の反動で、

筋肉と骨をかなり傷めていた。


ゼインもまた、

雷魔力の酷使による神経疲労に加え、

四つ腕から受けた一撃で内臓を損傷している。


どちらも命に別状はない。


だが、しばらく戦える状態では無かった。


「……いやぁ、マジで死ぬかと思った」


言いながら、包帯だらけのセスが寝台へ倒れ込む。


「アンタ、よくそんな軽口叩けるね……」


ミナも疲れ切った顔で座り込んだ。


彼女もまた、細かな裂傷だらけだった。


ただ、今回の戦いで、

自分が“出来ているつもり”だったこと。


実際には、

全然足りていなかったこと。


それを、

嫌というほど理解した。



レオンは比較的軽傷だった。

今回は最後まで後衛支援へ徹したからだ。


だが、精神的疲労は、

かなり大きかった。


あの四つ腕異常個体。

赤黒い瞳。

断面から蠢く黒い繊維。


思い出すだけで妙な寒気がした。



その日の夜。


バルクが、

冒険者組の元を訪れる。


「……まずは、本当に助かった」


深く頭を下げた。


「お前らが居なけりゃ、

間違いなく被害はもっと出てた」


誰も軽くは受け取らなかった。


今回の戦いがどれだけ危険だったか、

それを、全員理解している。


バルクは続けた。


「本来、お前らの依頼は防衛任務だ」


「今回の森への探索は、完全に追加の危険行為だった」


つまり。


もう、任務は十分以上に達成された。


そういう意味だった。


「療養のために村の宿を押さえた。毎日治療班を回す。勿論費用はこっち持ちだ」


「しばらく休め」


カイルが、

寝たまま苦笑する。


「……ありがてぇ」


誰も反対しなかった。

今は休息が必要だった。



その後。


防衛隊による、森周辺の再調査が行われた。

数日に渡る確認。


途中から、比較的動けるドルガとマークも同行した。


結果、明らかに魔獣の数が減っていた。


以前のような、

異常な活性化も見られない。


狼型の群れも、

散発的なものだけ。


防衛隊のみでも、

十分対処可能な水準だった。


「……やっぱ、

アイツが中心だったんだな」


報告書を見ながら、

セスが呟く。


四つ腕、あの異形。


あれが、森の異常を作り出していたのだろう。


その可能性は、

かなり高かった。


そして。


正式に。


鉱山村グランディア防衛任務は、

完了扱いとなった。


拠点の空気も、随分落ち着いた。


兵士たち、村人たちにも笑顔が戻っていた。


だが。


誰も完全に安心した訳ではない。


四つ腕は死んでいない。

魔境の奥へ逃げた。


そして。


切り落とした腕は、

未だ時折、魔封布の中で脈打っている。


今回の件は、終わったというより、


“何かの始まり”


のように思えた。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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