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足りない召喚士の戦い方  作者: トリバード
異常個体:四つ腕

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60/135

60:魔獣の肉

本日もよろしくお願いします。

会議が終わる頃には、

外はすっかり暗くなっていた。


防衛基地の食堂には、

いつもより少しだけ人が多い。



「おーい」


食堂入口から、ゼインの声が響く。


振り向いた兵士たちが、一斉に目を丸くした。


「……でっかぁ」


ミナが思わず呟く。


黒狼の牙の面々が、

巨大な猪型魔獣を運び込んできていた。


牙だけで、人の腕ほどある。


ドルガが片手で担いでいる。

余計におかしい。


「道中で狩った魔猪だ」


ゼインが笑う。

「どうせなら食おうと思ってな」


調理担当の男が、慌てて駆け寄った。


「こりゃまたデカいな……」


「血抜きは済ませてある。バラしてくれるか?」


マークが補足する。


「魔力濃度もそこまで高くありません。

普通に食べられると思いますよ」


調理人が感心したように頷く。


「助かる。この人数だと食料消費も激しくてな」

「任せろ。こういうのは得意だ」


そう言って、

料理人たちは慣れた手つきで解体を始めた。


その様子を見ながらカイルが目を輝かせる。


「魔猪ってうまいんだよな!」


「個体による」


セスが即座に返す。


「臭みが強いやつは香辛料が効かないんだ」


「あー、分かる」


マークが苦笑した。


「高濃度個体は特に、しっかり魔素を抜かないと。

魔食害が起きるので人には食べられませんよ」


ミナが顔をしかめる。


「魔食害って何……」


「痺れたり、舌がピリピリしたり、魔力の流れが乱れたり、色々ですね」


「うわぁ怖ぁ...」


「強い個体ほど、

ちゃんと下処理しないと食えねぇんだよ」


ゼインが椅子へ座りながら言う。


「逆に処理上手い奴がやると、めちゃくちゃ美味いぞ」


「へぇ……」


ミナが素直に感心する。


その横で、レオンは静かに食堂を見回していた。


兵士たちの表情が、少し柔らかい。


Bランク冒険者が来た。

原因調査も始まる。

終わりが見え始めた。


それだけで、空気は変わる。



「レオンさん」


振り向くと、マークだった。


「肩、少し見せてもらっても?」


「あ、はい」


レオンが包帯を外す。


マークは傷を確認し、静かに手をかざした。


淡い水色の魔力。


そこへ、土色の光が混ざる。


じわりと、熱が広がった。


「……すごい」


思わずレオンが呟く。


「二属性ですか?」


「ええ」


マークが微笑む。


「水だけだと治癒は得意なんですが、傷の固定力が弱くて。土を混ぜると安定するんですよ」


かなり高度な制御だった。


「食事が終わったらもう一回状態を見させてください」


「ありがとうございます」


その時。


「おおおお!!」


カイルの声に振り向くと、

大量の様々な肉料理が運ばれてきていた。


香ばしい匂い。

肉汁。

湯気。


一瞬で食堂の空気が変わる。


「うまそぉ……」


ミナが本気の顔で呟く。


ゼインが笑った。


「さぁ、食える時に食っとけ!」


「戦士は、腹減ってる時が一番弱ぇ!」


その言葉に何人かの兵士が笑う。


食堂に、賑やかな声が広がっていく。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

出発までの話は後1話あります。

本日17時更新分はこちらともう1話になります。

明日からは任務のために森に出発する話になります。

続きが気になると思っていただけたら、ブックマークや評価をいただけると励みになります。

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