49:いつも通り
本日もよろしくお願いします。
■七日目
防衛基地の空気は、
数日前より明らかに落ち着いていた。
四日目の大規模襲撃以降、
現れる魔物は小規模群れが中心。
兵士たちにも余裕が戻り始めている。
「東側、小群れ二体!」
朝の警鐘。
兵士たちが慌てる様子は、
もうほとんど無い。
この数日で、
防衛基地全体が慣れ始めている。
「第一班前へ!」
エリスが指示を飛ばす。
兵士たちが配置についた。
本来なら、
事前共有済みの対処で十分処理できる規模。
だが。
「レオン、右見えるか?」
カイルが自然に聞いた。
「……はい」
レオンは反射的に四羽目を飛ばす。
視界共有。
瞬間、軽い眩暈。
「二体、右から回ります」
「了解!」
兵士たちが即座に動く。
迎撃終了。
被害なし。
⸻
「最近ほんと安定してるよなー」
ミナが剣を振って血を払う。
「あたしたち、結構上手くなってない?」
「少なくとも最初よりはな」
カイルも頷いた。
実際、連携は良くなっていた。
兵士側の対応も早い。
恐慌も減っている。
だが。
「……」
レオンは少し遅れて、
壁へ背を預けた。
妖精鳥が肩へ止まる。
「レオンさん」
今度はエリスが先に声をかけた。
「今日は休んでも大丈夫ですよ」
レオンは少し目を瞬かせる。
「え?」
「小規模ですし、事前確認した配置でも対応できます」
言葉を選びながら、エリスは続ける。
「ここ数日、頼りすぎていました」
レオンは少し黙った。
その後、苦笑する。
「……大丈夫です」
やはりそう返す。
「本当に無理なら言います」
嘘ではない。
だが。
“まだ無理じゃない”。
彼自身、そう思ってしまっている。
だから止まらない。
再び小規模襲撃。
今度は兵士主体で迎撃が始まる。
配置も悪くない。
だが。
「右から来ます!」
誰かが叫んだ瞬間、複数人の視線が、一斉にレオンへ向いた。
確認。
判断。
答え合わせ。
もう無意識だった。
レオンは反射的に視界共有を使う。
「三体です!」
「了解!」
兵士たちが動く。
問題なく処理完了。
「助かった!」
笑う兵士たち。
だが、戦闘後。
「っ……」
レオンが小さくよろめく。
ほんの一瞬のことではあった。
それを。
少し離れた場所から、
バルクは見ていた。
そして。
エリスもまた、
静かにレオンを見つめていた。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
知らずのうちの依存って怖いですよね。
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