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足りない召喚士の戦い方  作者: トリバード


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46/54

46:任せる

本日もよろしくお願いします。

■五日目


四日目の大規模襲撃以降、魔物の数は減っていた。


「三体確認!」


防壁外。


小規模の狼型の群れを相手に、兵士たちは即座に配置へ着く。


本来なら、既に共有済みの対処手順で十分対応可能な規模だった。


「第一班牽制、第二班側面――」


エリスが指示を出しかける。


その時。


「レオン、右見えるか?」


兵士の一人が聞いた。


レオンは反射的に四羽目を飛ばす。


視界共有。


瞬間、

軽い吐き気。


「……二体、右から回ります」


「了解!」


兵士たちが即座に対応。


数分後、戦闘終了。


被害なし。



「やっぱレオンいると楽だなー」


ミナが笑う。


「助かる」


カイルも短く頷いた。


レオンは苦笑する。


だが、本来なら、

今のは聞かなくても処理できる戦闘だった。



■六日目


「東側小規模群れ!」


再び警鐘。


今度は猪型二体。

兵士たちは落ち着いていた。


昨日の戦闘を経て、

恐慌は薄れている。


「レオン、数は?」


「……二です」


「動きは?」


「左寄りです」


自然だった。

誰も違和感を持たない。


レオンが見て。


レオンが確認して。


そこから動く。


それが、

いつの間にか当たり前になっていた。


戦闘は問題なく終了した。


だが。


「……っ」


レオンは壁へ手をつく。


視界共有の時間自体は短い。

それでも、回数が増えていた。


脳へ負担が積み重なっていく。


妖精鳥が、

心配そうに肩へ止まった。


「大丈夫です」


そう返す。


誰に聞かせるでもなく。



その夜、食堂にて。


「最近かなり安定してるよな」


兵士たちが笑っている。


「あの召喚士来てから変わった」

「助かってる」


空気は悪くない。

むしろ良い。


だが。


「……」


バルクだけは黙っていた。


彼は知っている。


“楽な現場”ほど危ういことを。


「責任者殿?」


隣の兵士が声をかける。


「どうしました?」


バルクはしばらく黙った後。


「……あの召喚士はどこだ」


「レオンですか?」


兵士は周囲を見る。

だが居ない。


まただ。


戦闘後、いつも最初に消える。


騒ぎにも加わらない。


「……」


バルクは小さく息を吐く。


今日の戦闘。


本来なら、現場判断だけで十分回せた。


だが皆、先にレオンを見た。


確認し、判断を預けた。


本人たちは、

信頼のつもりなのだろう。


だが。


「寄りかかり始めてるな……」


誰にも聞こえない声だった。



その頃


レオンは部屋で、

椅子にもたれたまま目を閉じていた。


頭が重い。


視界共有の残滓が、

まだ脳裏へちらついている。


それでも。


明日も必要なら、使う。


その考えが、

もう当たり前になっていた。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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